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概要:2030年をゴールとした、SDGs(持続可能な開発目標)達成。日本企業も当事者だ。KDDIは通信事業者として、どのようにサステナビリティに取り組んでいるのだろうか。大崎麻子さんとKDDIのサステナビリティ担当役員、田中さんが語り合った。
2030年をゴールとした、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて、いま企業はどうあるべきか——。通信サービスのパイオニアであるKDDIでサステナビリティ担当役員を務める田中稔さんとジェンダー・国際協力専門家の大崎麻子さんが、SDGsの持つ「変革力」について対談を行った。
「事業を通じた社会的活動」の難しさ
SDGsの17の目標。
国際連合広報センター資料より
大崎さん(以下、大崎):サステナブルな社会をいかに構築するかは、いま世界の議論の中心になっています。私はいろいろな国際会議に行くのですが、グローバル化と気候変動、人口動態の変化を背景として生まれるさまざまな社会課題の解決に、いかに技術革新やテクノロジーを活用するかが議論されています。今日は国内外の通信サービスを牽引し、情報化社会の基盤を作ってきたKDDIのビジョンをうかがうのを楽しみにしてきました。
田中さん(以下、田中):おっしゃる通り、技術革新やテクノロジーは、通信と非常に強く結びついていますよね。KDDIの企業理念は“お客様の期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献する”こと——これはまさに、SDGsの「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」や、「10.人や国の不平等をなくそう」に通じるものです。
KDDIではSDGsに先んじて、ESG(環境 Environment/社会 Social/ガバナンス Governance)の観点から社会貢献に取り組んできています。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のESG投資で、以前KDDIへの投資額が1位になったこともあり、改めてこうした取り組みが企業価値を高めてくれていると実感しています。
KDDIのサステナビリティ担当役員の田中稔さん。
大崎:SDGsができたから急に取り組むことにしたというものではなく、すでにお持ちの企業理念に時代がついてきたという感じですね。
田中:2019年5月の中期経営計画発表では「KDDIが目指すSDGs」を打ち出しましたが、SDGsは事業を通じて社会的活動を行う必要があり、これがキーポイントですね。社内の各事業のキーパーソンを動かしてローリングしていく必要があるので、取り組みが全社的で広く、大きいです。従来とは取り組みの大きさ、深さが違いますね。
日本も変わった。SDGsはすべての国が「当事者」
大崎:SDGsの新しいところは、すべての国が当事者というところ。日本も途上国に対して支援を行う“ドナー国”という立場だけではなく、“自分ごと”として取り組まなくてはいけない。企業としては全社的に、日本としては全領域的に取り組まなければいけないという方向に転換したなと。
機関投資家も、SDGsに注目していますよね。SDGsが掲げる「サステナビリティ」が投資判断にも活用され、ESGに沿った事業経営を強く求めるようになりました。ESG投資の規模が拡大し続けているということは、やはり企業のパフォーマンスとの相関関係が見えてきたということだと思います。
田中:そうですね。当社も2019年10月に初めてSDGs説明会を開催し、投資家向けに取り組みをご紹介しています。
ミャンマー、モンゴル。成長市場での取り組みは?
ジェンダー・国際協力専門家の大崎麻子さん。
大崎:実は私、学生時代にKDDIさんにとてもお世話になったんです。高校・大学とアメリカに留学していまして、当時は本当に国際電話が高くて。
田中:まだインターネットがなかった時代ですから、大変でしたよね! ご利用いただき厚くお礼申し上げます。
大崎:空港で涙の別れをして、アメリカに行ったら唯一の楽しみは1週間に1度の国際電話。決まった時間に家族全員が待機してくれて、順番に1人3分ずつ話していました(笑)。
離れていても繋がりが持てるというのは本当に嬉しく、励みになるものでした。KDDIさんは、アジア圏の途上国のインフラ整備にも尽力されていますよね。
田中:そうですね、例えばモンゴルでは通信会社に出資していて、ミャンマーでは現地の郵電公社と、KDDIと住友商事の合弁会社が、共同事業として通信事業を提供しています。
今では日本と同じ4Gの通信環境が利用できるようになり、モンゴルではスマホによる決済サービスが好評です。事業を通じて利益を上げながら社会課題を解決するというSDGsの理念にピタッとハマったという感じです。
これまで自己流で農業をしていた農村地帯の方も、スマホを持ったことで作物の値段や天気予報を調べることができます。生活レベルも上がってきていると聞いています。
大崎:私が最近訪れたヨルダンのシリア難民キャンプでも、みんながスマホを持っていてびっくりしました。女の子はK-POP、男の子はアニメに夢中なんですが、スマホのアプリで外国語を勉強している高校生もいて驚きました。
田中:それはすごい。ITシステムの強さですね。
モンゴルの女子教育を左右する「トイレ問題」
「WASHプロジェクト」で導入された衛生設備を使い、手洗いを行うモンゴルの子どもたち。導入前は汲み取り式トイレの穴に子どもが落下する事故もあったという。
KDDI提供
大崎:でも一方で、デジタル・ディバイド(情報格差)が広がる恐れもあります。通信環境が整備されても、情報にアクセスできるのは読み書きができる人。基礎教育ができていないと、格差が広がってしまう。KDDIは、モンゴルでは基礎教育に関わる取り組みもされていると聞きました。
田中:KDDIの連結子会社である「モビコム」で、という活動を5年ほど続けています。モンゴルの下水設備は発展途上で、地方の「WASHプロジェクト(地方の学校の健康と衛生の改善プロジェクト)」学校のトイレは汲み取り式がほとんど。このプロジェクトで衛生的で安全な水洗トイレや洗面台などの設備を導入したことで、モンゴルのおよそ5万4000人の子どもたちが近代的な衛生設備を利用できるようになりました。
大崎:トイレの問題は、特に女子教育にとっては大きい。明るくて安全なトイレでないと、暴力の現場になりますし、非衛生的なトイレだと感染症のリスクが高まります。特に、生理が始まると、安全で衛生的なトイレがあるかどうかが鍵になります。女子の就学率を高めるために、「WASHプロジェクト」は非常に重要な取り組みですね。
“パラボラ女子”佐々木貴美さんが南極へ
大崎:2019年に、KDDIから南極の国立極地研究所(以下、極地研)に出向された女性がいますよね。パラボラアンテナが大好きという彼女の記事、最近読んだ女性活躍に関する記事で、一番気持ちが上がりました(笑)。
田中:我々は前身のKDDの頃から毎年1名、昭和基地の通信担当として社員を派遣しています。今期初めて女性(2014年入社の佐々木貴美さん)の派遣が決まったんですよ。
大崎:極地研というと映画の『南極物語』とか『南極料理人』とか……。やはり男性の場所で、女性は男性を送り出す側というイメージがあったので、「そこに女性が?」と衝撃的でした。
田中:会社としては「あえて女性を」というよりは、「できる人なら性別問わず」という考え方をしています。今回の佐々木さんの派遣も、反対する理由はありませんでした。
大崎:サステナブル社会の構築には、デジタル技術が欠かせません。でもアルゴリズムを設定する側が男性メインだと、これまでの男性中心社会のあり方が再生産される恐れがある。コンピューターサイエンスを始め、STEM(科学・技術・工学・数学)分野には女性がもっと増えるべき。男女のバランスがとれた形でデザインしていくことは非常に重要です。
私も高校生の娘が進路選択のタイミングなのですが、こういうストーリーが、もっと女子中高生に広がればいいなと。今こそ佐々木さんのようなロールモデルが必要なんだと、すごく思いましたね。
「サステナブルな未来」のビジョンが持てる社会に
田中:KDDIでは、他にも女性ライン長(部下のいる管理職)200人を目指しています。男性に関する目標も設定しようかと。今はそれができる時代になってきていますよね。
大崎:通信インフラのおかげですね。私も恩恵を受けています。職場に行かなくても仕事ができる。男女ともに子育てと仕事を両立しやすくなりますよね。
田中:そういう意味でも、通信会社はまだまだ頑張っていかないと。「KDDIが目指すSDGs」で目標とした、5G時代に向けたイノベーションの創出や地方創生、教育、「au PAY」をベースとした身近な金融サービスなどを通じて、もっと便利に、もっと豊かに、持続的に成長できる社会を実現していきたいと思っています。
大崎:テクノロジーを通して持続可能な社会のビジョンが持てる……そんな社会になるといいですよね。人生100年時代を楽しめるインフラ整備を進めていただけると、世界はもっと楽しくなってくると思います。
田中:それは「KDDIが目指すSDGs」の究極的な目標です。よりよい明日のために、ということですね。
■KDDIについて、詳しくはこちらから
田中稔(たなか・みのる):KDDI株式会社 コーポレート統括本部 総務本部長兼総務部長 理事・弁護士 サステナビリティ担当役員。1987年4月入社。グローバル事業に従事中、1996年に司法試験合格(50期)。司法修習後、法務部長を経て現職。法務、コンプライアンス、災害対策BCP、コーポレートガバナンス、ファシリティマネジメント、サステナビリティなどを担当。
大崎麻子(おおさき・あさこ):ジェンダー・国際協力専門家。 元国連開発計画(UNDP)職員。ジェンダー平等と女性のための教育、雇用、起業支援などを手がける。現在、関西学院大学総合政策学部客員教授、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事、内閣府男女共同参画推進連携会議有識者議員、UN Women/ILO/EU協調プログラム「We Empower」日本コーディネーター等を務める。 近著に「エンパワーメント 働くミレニアル女子が身につけたい力」(経済界)などがある。
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