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概要:家計についてよく知らないサラリーマン男性と、家計を任された妻。多くの人がイメージする日本の夫婦像は変わってきている。若い世代ほど、夫婦でお金について話している。
より若い世代ほど、夫婦でお金について話し合っている傾向がある。
Shutterstock/buritora
サラリーマン男性は家計のことをよく知らず、お金のことは妻まかせ——そんな日本の夫婦像をイメージしている人も多いかもしれない。
大和総研が2020年1月に実施した既婚者約2万人のアンケート結果を分析したところ、 若い世代を中心により夫婦対等なお金に関する新しい価値観が見えてきた。
※詳細な調査結果は、是枝俊悟・金融リテラシーチーム「資産形成のためのリテラシー調査」NO.5 若い世代ほど、お金のことを夫婦で決める」(大和総研レポート、2020年9月16日)を参照。
Advertisement若い世代ほど夫婦でお金について話している
図表1は、「あなたの世帯では、貯蓄計画や住宅ローンの返済計画の決定について、どのように意思決定をしていますか」という質問に対する回答だ。
まず、どの世代で見ても「夫婦共同で決定」している世帯が4割を超え最多であり、「主に妻が決定」している世帯よりは「主に夫が決定」している世帯の方が多くなっている。
月々の生活費の管理でみると違う結果になるかもしれないが、少なくとも長期的な貯蓄や住宅ローンの返済計画については「夫婦共同で決定」している世帯が多く、「お金のことは妻まかせ」という夫婦像はすでに当てはまらないことが分かる。
年代別に見ると、より若い世代ほど「夫婦共同で決定」している割合が高く、夫か妻いずれかが主に決定している割合が低くなる。若い世代ほど、お金のことを夫婦で話し合うようになっているのだ。
夫婦の収入の差が意思決定方法に大きく影響
収入バランスが、意思決定に大きく影響しているという調査結果が出た。
撮影:今村拓馬
では、夫婦のいずれかが主に決定する場合、夫か妻のどちらになるのか。それは、世帯収入に占める夫婦の収入の割合により大きく左右される。次の図表2は、同じ質問の回答について、「世帯収入に占める夫の収入の割合」別のグラフにしてみたものだ。
グラフを見ると、世帯収入に占める夫の収入の割合が高いほど、夫が決める割合が高く、逆に夫の収入の割合が低い(妻の収入の割合が高い)ほど、妻が決める割合が高いことが分かる。
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世帯収入が全て夫の収入(世帯収入に占める夫の収入の割合が100%)の世帯では、「主に妻が決定」している割合が6.9%であるのに対し、「主に夫が決定」している割合が27.0%だ。
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逆に、世帯収入が全て妻の収入(夫の収入の割合が0%)の世帯では、「主に夫が決定」している割合が10.5%であるのに対し「主に妻が決定」している割合が17.9%となっている。夫婦のうち経済力がある方が、家計の意思決定をリードしている傾向が見て取れる。
夫婦の収入がほぼ均衡している世帯(世帯収入に占める夫の収入の割合が40%超60%以下の世帯)では、、「夫婦共同で決定」している割合が51.3%と過半数を占めている。また、 「主に夫が決定」している割合と「主に妻が決定」している割合もほぼ同程度。
そもそも、夫婦の収入が対等に近づくほど、夫婦のいずれかが決定するのではなく、「夫婦で話し合って決定している」世帯の割合が高くなっている。夫婦の経済力が対等に近づくほど、対等な話し合いがしやすくなっているのだろう。
妻が専業主婦でも若い世代の意識は違う
では、若い世代ほどお金のことを夫婦で話し合うようになっているのは、共働き世帯の割合が高まり、夫婦の収入の内訳が変化したからだろうか。その要因もあるが、それだけではない。
図表3は、妻が専業主婦の世帯に限って、先の質問の回答結果を年代別に比較したもの。「夫婦共同で決定」している割合は50代の39.8%に対し、20代では53.1%と13.3ポイント高い。「主に夫が決定」している割合は50代では27.8%いるが、20代では16.1%と11.7ポイント低い。
専業主婦世帯同士で比べても、より若い世代ほど、家計の意思決定を(夫がリードするのではなく)夫婦で話し合うようになっているのだ。なお、ここには図を載せていないが、共働き世帯同士で比較しても、若い世代ほど夫婦でお金のことを話し合うようになっている。
それでも住宅購入時のローン返済計画は夫が主導?
住宅ローンになると、共働きでも夫の裁量権が大きくなる傾向がある。
撮影:今村拓馬
一方、住宅ローンの借り入れ時には、世代によらず夫が主導して返済計画を決めている世帯が少なくないようだ。図表4は、年代ごとに(例えば、同じ20代同士で)住宅ローンありの世帯と住宅ローンなしの世帯における、夫婦の貯蓄(および住宅ローン返済)の計画の意思決定方法がどの程度異なるかを比較したものだ。
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図表4をみると、いずれの年代であっても、住宅ローンありの世帯の方が住宅ローンなしの世帯よりも、「夫婦共同で決定」する世帯と「主に夫が決定」する世帯の割合が多くなり、「主に妻が決定」する世帯の割合は低くなっていることが分かる(この傾向は、20代、40代、50代でも同じである)。
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このことから、それまで貯蓄計画がなかった世帯や夫婦別々に貯蓄を計画していた世帯において、住宅ローンの返済計画について決定する際には「夫婦共同」で決定することが多いものの、「主に夫が決定」する世帯もそれに次いで一定数いることが推測される。
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住宅ローンの返済計画を「主に夫が決定」することが多いのは、住宅を夫名義で購入し、ローンも夫名義で組む世帯が多いためなのだろう。
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若い世代ほど働く女性の割合が増え、経済力をつけてきているものの、住宅ローンのような、将来に渡る大きな決定と責任を背負う場面においては、「妻をリードしたい夫」と「夫に頼りたい妻」の姿が現れているのかもしれない。
住宅ローンになると夫の決定割合が、妻に比べて多くなるとはいえ、より若い世代ほど、より収入が均衡するほど、「お金にまつわる意思決定」を、夫婦で話し合う傾向がはっきり表れた。
共働き家庭が増加するなど、社会的に男女の役割固定化が流動化するのに合わせて、夫婦間の関係性や、家族のかたちも変化しているのは間違いない。
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是枝俊悟:大和総研研究員。1985年生まれ、2008年に早稲田大学政治経済学部卒、大和総研入社。証券税制を中心とした金融制度や税財政の調査・分析を担当。Business Insider Japanでは、ミレニアル世代を中心とした男女の働き方や子育てへの関わり方についてレポートする。主な著書に『NISA、DCから一括贈与まで 税制優遇商品の選び方・すすめ方』『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(共著)など。
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