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概要:このホテルは、1日あたり1万5000リットルのテキーラを生産する蒸留所の中にある。
マティセス・オテル・デ・バリカスは、メキシコ名物のテキーラをテーマにした宿泊施設だ。
Courtesy of Matices, Hotel de Barricas
メキシコのテキーラ町にあるおしゃれなホテルでは、宿泊客に醸造樽を模したキャビンに滞在する体験を提供している。
このホテル「マティセス・オテル・デ・バリカス」は、1日あたり1万5000リットルのテキーラを生産する蒸留所の敷地内にある。
ホテルでは、試飲や見学ツアーなど、メキシコ産の人気の蒸留酒テキーラに関するすべてを知る機会が提供されている。
スイスのある町では2020年8月、チョコレート工場の故障で町に「チョコの雪」が降るという事件が起こった。とはいえ、「チョコレートでできた家に住む」という夢についてはあきらめている人も多いだろう。一方で、それと同じくらい魅力的な体験はできるかもしれない。「テキーラ樽の中で眠る」ことだ。
蒸留酒のテキーラ誕生の地であるメキシコのテキーラ町の郊外には、テキーラ蒸留所の敷地内に設けられたおしゃれなプチホテル「マティセス・オテル・デ・バリカス(Matices Hotel de Barricas、スペイン語で「樽のホテル」)」がある。ひとつの文章のなかにこのように「テキーラ」という単語が頻繁に登場しても気にならない人には、このホテルはうってつけの宿泊先だろう。
このホテルは宿泊客に対して、見た目も雰囲気も本物のテキーラ熟成樽にそっくりな、巨大な樽型のキャビン(バレルルーム)に滞在する体験を提供している。しかもこれらのキャビンは、テキーラの原材料となる植物、リュウゼツランが植えられた畑のまっただ中に設置されている。
ホテルの樽型のキャビンの周囲には、広大なリュウゼツランの畑が広がる。
Courtesy of Matices, Hotel de Barricas
このホテルのコンセプトは、「テキーラの魔法を、人の五感と融合させ、テキーラを熟成させる道のりをたどる」ことだという。
このホテルの樽型キャビン(30室)や、スタンダードタイプの「シルバー・キング」ルーム(4室、この名前からして、どれほど「スタンダード」なのかは疑問だ)でくつろぐだけでも、ほろ酔い気分になれるかもしれない。
このホテルは、テキーラの魔法と人の五感の融合をコンセプトとしている。
Courtesy of Matices, Hotel de Barricas
砂漠のような風景に惑わされてはいけない。それぞれの部屋には、テレビやエアコンからバスローブやミニバーまで、通常のホテルの客室にある設備はすべてそろっている。さらに、「エクストラ・エイジド」と呼ばれるバレルルームには、専用のジェットバスが備えられている。
宿泊料金は、スタンダードタイプの「シルバー・キング」ルームおよび「エイジド・キング」バレルルームで1泊1室3950メキシコペソ(約1万9700円)。さらに奮発して200ドル(約2万1200円)ほどの料金を払えば、高級タイプの「エクストラ・エイジド」バレルルームで、樽の中で過ごす最高の宿泊体験ができる。
バレルルームの室内の様子はこんな感じだ。
「エイジド・キング」バレルルームには、キングサイズのベッドが1台、テレビ、エアコン、バスローブ、ミニバーが備えられている。
Courtesy of Matices, Hotel de Barricas
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あるいは、こんな内装の部屋もある。
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2台のダブルベッドが設置されたダブルルームも選択できる。
Courtesy of Matices, Hotel de Barricas
このホテルは、テキーラ蒸留所「ラ・コフラディア(La Cofradia)」の敷地内にある。1日あたりの生産量が1万5000リットルに達する大規模な蒸留所だ。試飲会や蒸留所の見学ツアーも用意されていて、テキーラができるまでの全過程を間近で見ることができる。
蒸留が終わったテキーラの原酒は、マンゴーの木で作られた丸い木樽に詰められ、熟成し飲用に適する状態になるまで、敷地内のセラーに保管される(中には、特に長期間にわたって熟成されるものもある)。
宿泊客は、蒸留所内のショップでお好みのテキーラをボトル単位で買うことができるほか、コフラディア内の陶芸工房でオリジナルのボトルをデザインすることもできる。
セラーに置かれたマンゴーの木でできた樽の中で、テキーラは熟成を重ねる。
Courtesy of Matices, Hotel de Barricas
テキーラの歴史をさらにくわしく知りたいなら、敷地内にあるミュージアムを訪ねるのもいいだろう。また、地下4.5メートルの空間に広がる、由緒あるエレガントなバー兼レストラン「ラ・タベルナ・デル・コフラーデ(La Taberna del Cofrade)」にも、足を運んでおきたい。メキシコがスペイン領だった時代の後半、テキーラの製造が禁止されていたころには、今はレストランになったこの場所で、人々はひそかにテキーラを蒸留し、販売していたという。
現在は、このレストランは伝統的なメキシコ料理に加え、テキーラをベースにしたさまざまなカクテルを提供している。
敷地内の地下4.5メートルの空間に広がるレストランバー。
Courtesy of Matices, Hotel de Barricas
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、メキシコとアメリカは、両国間の陸上国境をまたぐ不要不急の移動を制限する共同イニシアティブを実施している(執筆時)。これにより、アメリカから陸路でメキシコに入ろうとする旅行者は、訪問の目的が不要不急と判断された場合、入国を拒否される可能性がある。
空路でメキシコ入りする選択肢は残されている。アメリカ国務省による外国への渡航を避けるよう求める勧告が、8月6日付で緩和されたからだ。とはいえ、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、「旅行は、COVID-19への感染および拡散のリスクを高める」と警告している。
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安全に旅行できる状況になったら、お気に入りのバレルルームを選び、リュウゼツランの香りが漂う、テキーラづくしのバケーションに出かける用意を整えよう。
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マティセスのバレルルームは、ぐっすりと眠り、疲れを癒やすのに最適の場所だ。
Courtesy of Matices, Hotel de Barricas
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[原文:You can sleep in a barrel in a blue agave field in Mexico and drink tequila right from the source]
(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)
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