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概要:この研究では特定の面積に何頭の成体のティラノサウルスが生きることができるかを推定した。 これにより、これまでに存在したティラノサウルスの総数を計算することができた。
1993年公開の映画『ジュラシック・パーク』で描かれたティラノサウルス。
Universal Pictures
ティラノサウルスは、他の恐竜とともに6600万年前に絶滅するまで、250万年にわたって繁栄した。
その間のティラノサウルスの成体の総数はおよそ25億頭だったことが、新たな論文で発表された。
これは、ティラノサウルスの生息密度や世代交代に要する期間などに基づき算出された。
成体のティラノサウルスが生き延びるためには、獲物のいる広いスペースが必要だった。
カリフォルニア大学バークレー校の古生物学者が発表した新しい計算方法によると、ティラノサウルスの成体は、100平方キロメートルに1頭の割合で存在していた。
4月16日付けで学術雑誌「サイエンス」に掲載された論文によると、おそよ6800万年前から6600万年前までの白亜紀の末期に地球上を闊歩したこの肉食動物の総数は25億頭と推定できるという。
論文の筆頭著者であるバークレー大学の古生物学者チャールズ・マーシャル(Charles Marshall)は、「この数には本当に驚かされた」とInsiderに語っている。
彼の分析によると、マンハッタン島やサンフランシスコの街全体が、ティラノサウルス1頭分のテリトリーということになる。
彼は、ティラノサウルスの化石を見つけることがどのくらい珍しいことなのか、何年も前から疑問に思っていたという。
「化石を手にすると、私はいつも『これはとんでもなく珍しいものなんだ』と自分に言い聞かせていた。だが、どのくらいの珍しさなのだろうか。100万分の1なのか、あるいは1兆分の1なのか」
コモドドラゴンとの比較で必要なカロリーを算出
ティラノサウルスは、過去に地球に生息した陸上肉食動物の中で最大級の大きさだった(現代では、ホッキョクグマが陸上最大の肉食動物)。成体のティラノサウルスは、少なくとも5トンの重さがあり、体高は3.7から4メートル、体長は12から13メートルだった。
捕食者が大きいほど、同じエリアに生息できる捕食者の数は減っていく。彼らの巨大な体を維持するための食料が足りなくなるからだ。これは「ダラムの法則」として知られている。つまり、肉食動物が生きていくために必要なカロリーが分かれば、面積当たりの生息数が計算できるということになる。
ティラノサウルスほどの大きさの肉食動物は現存してないので、マーシャルは恐竜が必要とするカロリーを世界最大のトカゲであるコモドドラゴンとの比較で分析した。
コモドドラゴン。インドネシアのコモド国立公園で撮影。
Danadi Sutjianto/Wikimedia Commons
コモドドラゴンをベンチマークにして算出したティラノサウルスの必要カロリーを基準にすると、カリフォルニア州ほどの広さには、およそ3800頭のティラノサウルスが生息していたことになる。ワシントンD.C.の広さだとわずか2頭だ。
成体のティラノサウルスが常に約2万頭生息していた
マーシャルの研究チームは、地球上に生息していたティラノサウルスの総数を割り出すために3つの変数を計算に入れる必要があった。ティラノサウルスの生息に適した土地の総面積、生殖可能になる年齢と世代交代に要する期間、ティラノサウルスが地球上に存在していた期間だ。
成体のティラノサウルスは、体重6から9トン、体高3.7から4メートル、体長12から13メートルだった。
Illustration by Zhao Chuang/Courtesy of PNSO
研究チームは、これまでに発見されたティラノサウルスの化石の位置を確認し、その生息地は北アメリカ大陸の約230万平方キロメートルの範囲だったと結論づけた。それ以外の場所で生息していた形跡はない。ティラノサウルスは現在のシベリアにあたる地域でも生き延びることができたかもしれないが、もし北アメリカ大陸以外で化石が発見されたとしたら驚くべきことだと、マーシャルは述べた。
この生息範囲を前提とすると、ティラノサウルスは常に約2万頭の成体が生息していたと推計された。
ティラノサウルスが存在していた期間を推計するのは、もっと簡単だった。
これまでに発見された最も古いティラノサウルスの化石は6800万年前のもので、それ以降、白亜紀の最後の250万年間に存在していたと考えられている。その後、チクシュルーブ衝突体によって恐竜は絶滅した。
世代交代に要する期間については、ティラノサウルスが生殖可能になる年齢(平均15.5歳)から30歳代前半で死ぬまで、年齢層ごとの生存率などのデータから約19.5年と推計した。
幼いティラノサウルスの想像図。
Julius T. Csotonyi
つまり、250万年の間におよそ12万7000世代のティラノサウルスが存在し、これを2万倍すると25億頭が存在したことになる。
ただし、この数字にはティラノサウルスの幼体は含まれていないとマーシャルは述べている。幼体は成体よりも小さいため、早く動くことができ、狩る獲物も違ったという研究結果に基づいて、計算から除外されたからだ。
STANと名付けられたティラノサウルスの骨格標本。2020年9月15日、ニューヨークのクリスティーズのオークションに出品された。
Photo by ANGELA WEISS/AFP via Getty Images
論文によると、世界の博物館には保存状態のよいティラノサウルスの成体骨格が現在約32体あることから、化石が見つかったのは成体8000万頭につき1頭の割合だという。つまり確立は0.00000125%ということになる。
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[原文:A whopping 2.5 billion fully grown T. rexes walked the Earth in the course of the species' existence, paleontologists found]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)
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