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概要:「もうはまだなり、まだはもうなり」という相場の格言がある。そろそろ天井と思ってもまだ上昇する可能性もあるし、反対にまだまだ上昇すると思っても、実はそこが天井となる場合もあるので、色々な可能性を想定すべしという意味だ。個人の思い込みや相場観への過信に対する戒めである。
[東京 28日] - 「もうはまだなり、まだはもうなり」という相場の格言がある。そろそろ天井と思ってもまだ上昇する可能性もあるし、反対にまだまだ上昇すると思っても、実はそこが天井となる場合もあるので、色々な可能性を想定すべしという意味だ。個人の思い込みや相場観への過信に対する戒めである。
4月28日、「もうはまだなり、まだはもうなり」という相場の格言がある。そろそろ天井と思ってもまだ上昇する可能性もあるし、反対にまだまだ上昇すると思っても、実はそこが天井となる場合もあるので、色々な可能性を想定すべしという意味だ。尾河眞樹氏のコラム。
<久しぶりの大相場>
実際、今回のドル円上昇は久々に見る大相場だ。3月7日の週から足元まで、ローソク足は7週連続の陽線で、約14円もの上昇幅となっている。さすがに人々の関心も高まっているようで、為替取引の有無にかかわらず、幅広い知人、友人から「まだ上がりますか?」との質問を頻繁に受けるようになった。結論から言うと、短期的には、いったんの調整局面がいつ来てもおかしくないと考えている。
理由は、1)投機筋が大きく円売りポジションに傾いていること、2)市場で年内の米国の大幅利上げが既に織り込まれていること、3)日本政府が円安に対する警戒感を強めていること、の主に3点だ。
<投機筋の動き>
順番に見ていこう。シカゴ通貨先物市場IMMにおける投機筋の円ポジションをみると、ネットの円ショートが11万枚規模に膨らんでいる。過去10年程度遡っても、10万枚を超える円ショートはピークに近く、ほどなくして調整局面を迎えるケースが殆どだ。それでも2017年11月に13.6万枚、13年12月には14.4万枚と、現状より大規模な円ショートに傾いたことはあった。したがって、もちろん今がピークとは限らないし、IMMは投機筋の一部でしかなくあくまで「傾向」しか分からない。とはいえ、3月中旬からかなりのペースで円ショートが積み増されており、少なくとも今後投機筋の円売りの動きは徐々にペースダウンする可能性が高そうだ。
<米利上げ織り込み具合>
金利面では、米連邦準備理事会(FRB)がこのところ一段とタカ派に傾斜したことで、市場では利上げ期待が一段と高まった。4月に入ってから米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる一連の発言を見る限り、「年内、中立金利(2.375%)まで利上げする」というのがコンセンサスになっているようで、セントルイス連銀のブラード総裁に至っては「年内3.5%への利上げ」を公言している。
これを受けてFF金利先物では、4月22日時点で、年内ほぼ毎会合での50Bpsの利上げ決定が織り込まれた。さすがに相当程度大幅な利上げが織り込まれた状況であり、ドル高のペースにいったんは陰りが出てもおかしくはない。
<当局の姿勢>
日本の通貨当局の動きについては、22日に鈴木財務大臣がイエレン財務長官と会談し、「日米間の通貨当局で緊密に意思疎通を図っていくことを確認した」という。足元インフレにあえぐ米国にとっては、ドル高は歓迎であることを踏まえれば、政府・日銀による円買い介入は米国の理解を得にくく、可能性は極めて低いといえよう。しかし、当局の「警鐘」は、市場参加者に多少なりとも心理的な影響を及ぼし、加速する円安へのブレーキとなる効果はあるのではないか。
<ボラ急上昇のリスク>
ただ、短期的にドル円の上昇に歯止めがかかったとしても、そこでトレンドが下落に転じる可能性は低いとみている。問題は、FRBの金融政策が依然として不透明なことだ。3月のFOMCでドットチャートが公表されたが、その後FOMCメンバーが一段とタカ派にギアチェンジしたのを見る限り、6月のFOMCでドットチャートが公表された後も、インフレの状況次第では再び見通しが変わる可能性がある。なお、5月のFOMCは3日、4日と、日本のゴールデンウィーク中に開催される。今回の注目ポイントは、利上げの幅とパウエル議長の会見だが、マーケットが薄いなかで発表内容次第では金融市場のボラティリティーが急上昇するリスクはあるだろう。
<トレンド形成と終焉>
一方、長期的なドル円相場は、日米の実質金利差とおおむね連動している。振り返れば2012年から2015年、ドル円は4年にも及ぶ長期の上昇トレンドとなった。上昇幅は1ドル=76円台から125円台までの49円(約64%)で、「アベノミクス」が主因だった。日銀のインフレ目標設定や、「量的・質的緩和」による、「バズーカ」と言われる大規模緩和が実施された一方で、FRBの量的緩和縮小など緩和からの出口戦略が注目を集めた。この間日米実質金利差は拡大し続け、これと共にドル円が上昇していたのは記憶に新しい。日米の金融政策の方向性が完全に逆向きだったことで、ドル円の上昇ペースも速かった。
このトレンドは2015年の黒田日銀総裁による円安けん制、いわゆる「黒田ライン」発言や、米国政府がドル高への警戒感を強めたこと、2015年末から2016年年明けの原油価格急落と米株価下落などで終焉した。このように、それまで為替相場のトレンドをけん引していたテーマが終わる、あるいはほかのテーマに切り替わる時、相場のトレンドは終わりを迎えるものだ。
<ドル年末130円、来年央135円も>
黒田日銀総裁は22日、米コロンビア大学の講演で、足元のインフレは資源価格の上昇によるコストプッシュインフレであり、金融政策でコントロールできるものではないと説明した。また、日本の需要サイドによるディマンドプル型のインフレ圧力は弱く、むしろ緩和的な金融環境を維持することで経済を支える姿勢を示した。日本の金利環境は当面変わらないうえ、米国はまだタカ派に傾斜する可能性もあるとすれば、原油価格が何かのきっかけで急落するなどしない限り、ドル円相場の上昇トレンドは、今後ペースダウンしたとしても当面変わらないのではないか。
上昇ペースのカギを握るのは、やはり米国の金融政策だ。ソニーフィナンシャルグループでは、FRBの利上げ予測を引き上げた。5月から9月まで、4回連続して50Bpsの利上げを実施、残りの2回は25Bpsで、年末の政策金利は2.75%─3.00%と予想する。これにより、米長期金利ももう一段上昇し、来年央にかけて3.4%をうかがう動きとなるとみている。日米実質金利差からみれば、日本の金利環境が変わらい限り、ドル円は年末にかけて130円付近、来年央にかけて135円付近を試す可能性が示唆される。
日米の金融政策のギャップが為替市場のテーマになっている以上は、このトレンドが終了するのは、日銀が政策を変更するか、FRBが引き締め政策を変更する、あるいはその兆しが表れた時になるだろう。しかし日銀が長期金利の上昇を許容する可能性があるとすれば、来年後半になるだろうし、米国の景気減速によって、FRBが利下げに転じるような環境になるのは、2024年以降となりそうだ。したがって少なくとも来年前半ごろまでは、緩やかなドル円の上昇が続く公算が大きい。
(編集 橋本浩)
*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルグループの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。
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