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概要:イーロン・マスク氏とツイッターのパラグ・アグラワル最高経営責任者(CEO)が衝突している「ボット」の問題は、マスク氏が440億ドル(約5兆6300億円)のツイッター買収の値下げを求める、あるいは買収を取りやめるのではないかとの臆測を呼んだ。マスク氏の言い分によれば、ツイッターのアカウントに占める偽ユーザーの割合は少なくとも20%で、90%に達している可能性もある。ツイッターはこれを否定し、比率は5%未満だと主張。
イーロン・マスク氏とツイッターのパラグ・アグラワル最高経営責任者(CEO)が衝突している「ボット」の問題は、マスク氏が440億ドル(約5兆6300億円)のツイッター買収の値下げを求める、あるいは買収を取りやめるのではないかとの臆測を呼んだ。マスク氏の言い分によれば、ツイッターのアカウントに占める偽ユーザーの割合は少なくとも20%で、90%に達している可能性もある。ツイッターはこれを否定し、比率は5%未満だと主張。
1.ツイッターのボットとは何か
ツイッターのボットは人間と同じようなことができる自動アカウントだ。ツイートを投稿し、他のユーザーをフォローし、「いいね」で応援し、他人のツイートをリツイート(再投稿)することができる。詐欺的で有害、もしくは迷惑な行為にこうした機能を悪用するスパム・ボットというものもある。商業目的でプログラムされたスパム・ボットは、ユーザーを特定のウェブサイトに誘導し、商品やサービスを購入させようとしつこくツイートする。偽情報や政治的メッセージの拡散にも使われる。2016年の米大統領選挙では、ロシアのボットが暗躍しドナルド・トランプ氏の当選を助けたとの懸念があった。スパムの中には無料の商品進呈をうたう偽のキャンペーンなど、金銭に関連したリンクを拡散するものもある。マスク氏はツイッター買収計画の発表後、仮想通貨に関連した詐欺を広めるスパム・ボットを根絶することを、優先事項の一つに挙げていた。
2.ボットや偽アカウントはツイッターで許されているのか
ツイッターはボットを認めるが、それが自動アカウントであることを明示するよう求めている。休憩や水分補給を促す@tinycarebotのようなボットには、「良い」ボットであることを表示するラベルもある。しかしスパム・ボットは容認されておらず、ツイッターはこれと闘うことを社の方針としている。怪しい動きがあればアカウントをロックし、電話番号といった追加情報の提供や、表示された文字をタイプするリキャプチャやパズルをクリアするなど、人間であることを証明するするまで解除しない。ツイッターはスパムアカウントを恒久的に停止することもある。同社の推計によれば、2021年10ー12月(第4四半期)におけるデイリーアクティブユーザー(DAU)のうち、偽アカウントとスパムが占める比率は5%未満だった。
3.マスク氏はボットを撲滅できるのか
マスク氏は確かにそう考えているようだ。同氏は4月25日、「スパム・ボットを打ちのめし、すべての人間を認証する」ことでツイッターを改善したいと述べた。リキャプチャのようなセキュリティーツールを多用することで、スパム・ボット撲滅に役立てられるという。電話や電子メールなど複数の経路を通じた多要素認証をもっと普及させることも可能だとしている。ツイッター上での活動に基づいてスパム・ボットを検知すべく、機械学習のアルゴリズムをさらに活用することもあり得るという。マスク氏はツイートで、なぜツイッターは電話で本人確認をしないのかとも問いかけた。
Have you tried just calling them?
— Elon Musk (@elonmusk) May 16, 2022
4.ツイッターが失いかねないものは何か
スパム・ボットとその詐欺的な活動で不快な思いをしたり、不安になったり、ましてや被害に遭ったユーザーはツイッターを去るかもしれない。ハイテク業界全体への締め付けを強めたい規制当局は、ツイッターで続くセキュリティーの問題に注目する可能性がある。その半面、スパム・ボットを撲滅すれば偽アカウントが一掃され、ツイッターのユーザー数を減らしかねない。マスク氏は17日、ツイッターがユーザー数に占めるボットの比率が5%未満であることを証明しない限り、買収は進めないと述べた。
5.なぜツイッターにとってセキュリティーはこれほど難しいのか
デスクトップコンピューターやノート型パソコンでアクセスするウェブサイトに比べ、モバイルアプリは脆弱であることが多い。グーグル・クロームなどのウェブ・ブラウザーはバックグラウンド更新で、ユーザーが知らないうちにセキュリティーを改善する。モバイルアプリの場合、新しいセキュリティーパッチがきちんと実装されるためにはユーザー自身が更新しなくてはならない。セキュリティーの問題に関しては、グーグルやマイクロソフトといった大手ハイテク企業の方がソーシャルメディア企業の先を行き、セキュリティーチームに大きなリソースを振り分けている。
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