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概要:■中長期の成長戦略1. 新たな中期経営計画の公表シュッピン (TYO:3179)は、毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を更新(ローリング)しており、2022年5月に新たな中期経営計画を公表した。 前期業
■中長期の成長戦略
1. 新たな中期経営計画の公表
シュッピン (TYO:3179)は、毎年、向こう3ヶ年の中期経営計画を更新(ローリング)しており、2022年5月に新たな中期経営計画を公表した。
前期業績が計画を大きく上振れたことから、昨年公表した前中期経営計画を全般的に増額修正した水準となっている※。
※昨年公表した前中期経営計画と比較すると、2023年3月期の売上高は42,718百万円 → 48,260百万円、営業利益は2,145百万円 → 3,507百万円、2024年3月期の売上高は47,844百万円 → 53,936百万円、営業利益は2,624百万円 → 4,500百万円とそれぞれ大幅に増額修正している。
主軸となるカメラ・時計のさらなる成長と、越境ECによるグローバル展開の活性化に取り組む方向性であり、シェア拡大に伴うEC売上の持続的成長をドライバーとして位置付けている。
また、引き続きAI活用による利益率の改善、スリムな経営による販管費率の低減により、売上高の成長以上に利益成長を重視する方針としており、特に売上総利益率については、AIMD本格稼働によるカメラ中古品売上総利益率を改善するとともに、販管費についても、取引量の拡大に伴って一部ロジに係る費用負担が増加するものの、システム導入による業務フローの仕組み化を推進することで固定費の抑制と変動費の低減を図っていく。
また、業容の拡大に向けて社員数の増加を計画する一方、生産性や効率性改善のためのIT投資※を見込んでおり、1人当たり売上高の向上につなげていく方針である。
それらの結果、最終年度となる2025年3月期の目標として、売上高60,385百万円(3年間の年平均成長率11.6%)、営業利益5,091百万円(営業利益率8.4%)を目指していく。
※3年間の設備投資額は約10.2億円を計画
2. 2023年3月期の取り組み
(1) 3つのサイクルのさらなる拡大(LINEの積極活用)
同社では、これまでも購入前・購入時・購入後のどのシーンにおいても楽しさや利便性を感じてもらう仕組み作りに取り組み、3つのサイクルにOne to OneマーケティングとAIMDを掛け合わせ、プラットフォームとしての価値を高めてきた。
2023年3月期は、さらにAIコンテンツレコメンドの開始やLINEの活用により情報提供機能を強化し、3つのサイクルの輪をさらに大きくしていく方針である。
(2) 4つのシンカの追求
前中期経営計画に掲げた4つの価値の「シンカ」についても、引き続き追求していく。
すなわち、1) 進価(進む価値)、2) 深価(知識を深める価値)、3) 真価(真実の価値)、4) 新価(新しい価値)の4つのシンカを、同社のすべての取り組みと全社員の行動目標に紐づけ、人材の育成やエンゲージメントの強化、業務の見直しなどに活かすとともに、生産性(1人当たりの売上高)の向上につなげていく考えだ。
3. SDGsへの取り組み
投資家からの関心も高いSDGs(持続可能な開発目標)については、これまで同様、「価値ある大切な商品の新たな創造事業」と「働きやすい職場づくり」を通じて、社会課題の解決に向けた取り組みを自らの企業価値向上につなげていく方針である。
特に、「価値ある大切な商品の新たな創造事業」については具体的な取り組みの1つとして、商品の梱包材や名刺など、使用する紙は環境に配慮したものに変更した。
オリジナルグッズやノベルティグッズについても、環境に配慮したものに変えていく方針である。
また、コーポレートサイトをリニューアルし、「サステナビリティ」のページを新設した。
現在はTCFD提言に基づく情報開示にも取り組んでいる。
4. 弊社の注目点
弊社でも、AIの活用や様々な価値の追求により、特定分野でさらにプレゼンスを高め、利益成長を重視していく戦略には合理性があると評価している。
一方、アップサイド(上乗せ要因)として注目されるのは、M&Aを含めた海外への本格展開及び新たな収益源の創出にある。
すでにテストマーケティング的に取り組み、時計事業を中心に知名度が上がってきた海外展開については、利用者から高い評価を受けており、国内と同様、海外(現地)での買取の仕組みを確立することで新たな成長の軸となる可能性は大きい。
特に、一定の顧客基盤を持つ現地企業との連携により、同社の成功モデルを融合することができれば具現性はさらに高まるものと期待できる。
また、新たな収益源の創出(例えば、有料サービスの展開等)についても、ロイヤリティ(熱量)が高く、質・量ともに充実した会員基盤をはじめ、愛好者にとって魅力的なコンテンツ情報が集まる仕組みを、いかに収益化に結び付けていくのかがカギを握ると見ており、同社ならではの事業モデルの確立に注目したい。
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