ＪＰモルガン貴金属不正取引、ヘッジファンド満足させる狙いも－証言

米銀ＪＰモルガン・チェースの貴金属トレーダーらが約定を意図しない見せ玉を注文してはキャンセルする「スプーフィング」と呼ばれる不正慣行を繰り返していたとされる問題を巡る裁判で、同行の元トレーダーは13日、ムーア・キャピタル・マネジメントやチューダー・キャピタルといった大手ヘッジファンドがＪＰモルガンにとって極めて重要で、顧客の注文に関して最良の価格を得るため日常的に価格が操作されていたと、シカゴの連邦陪審に証言した。

同行貴金属デスクの元トレーダー、ジョン・エドモンズ氏はチューダーに関する質問に対し、「彼らが大量の取引を持ち込んだことで、ＪＰモルガンやわれわれのチームは大もうけした」と述べた。ムーア・キャピタルについても同様の証言を行い、「彼らが市場で取引している事実と何をしているかを知ること」は同行にとって貴重な情報だったと語った。

エドモンズ氏は10年以上にわたってＪＰモルガンの貴金属デスクに在籍。2018年にはスプーフィングに関連して共謀と商品詐欺の罪を認めた。元上司でトレーディングデスク責任者を長く務めたマイケル・ノーワーク被告と金トレーダーのグレッグ・スミス被告、ヘッジファンド営業担当者ジェフリー・ルッフォ被告はスプーフィングを繰り返したとされ、エドモンズ氏は検察側証人として証言した。

検察側によると、トレーダーらは多額の資金に相当する貴金属をわずか数秒や数分で売買することもあるヘッジファンド顧客のニーズに影響された。エドモンズ氏は、顧客が注文の執行を必要としていた時にはデスクの誰もがそれを「邪魔」しないように取引を停止したと述べた。ノーワーク被告やスミス被告がスプーフィングを通じてこうした注文に対応するのをいつも目にしていたという。

ヘッジファンドの顧客は「価格に敏感」で、注文が大規模であることから価格にわずかな差が生じても気にしていたとも指摘した。

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