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概要:米国以外の各国が相次いで利上げや自国通貨を買い支える為替介入に乗り出しているにもかかわらず、ドルの高騰は止まらずに新たな高値をつけている。これは、各国にとってこの「逆通貨戦争」には絶望的な未来が待っていることを物語っている。
[オーランド(米フロリダ州) 23日 ロイター] - 米国以外の各国が相次いで利上げや自国通貨を買い支える為替介入に乗り出しているにもかかわらず、ドルの高騰は止まらずに新たな高値をつけている。これは、各国にとってこの「逆通貨戦争」には絶望的な未来が待っていることを物語っている。
米国以外の各国が相次いで利上げや自国通貨を買い支える為替介入に乗り出しているにもかかわらず、ドルの高騰は止まらずに新たな高値をつけている。これは、各国にとってこの「逆通貨戦争」には絶望的な未来が待っていることを物語っている。写真は1ドル紙幣。2021年2月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)
つまり超タカ派的な米連邦準備理事会(FRB)に勝負を挑んだとしても、最終的な唯一の勝者はドルになる。
今年の9月第3週は早くも歴史的な節目になろうとしている。FRBが3会合連続の75ベーシスポイント(bp)幅の利上げに動くとともに、さらなる引き締めを約束し、世界中の市場が足元から崩れる中で、ドルだけが上昇する構図となったからだ。
残念ながら米国以外の世界にとって、ドル高は各自の経済と金融市場に大打撃を与える要素であり、そうした惨状が待っている以上、投資家はこれらの国・地域の通貨を一層敬遠してドルに向かうという悪循環が強まる。
例えばスウェーデンを見てみよう。同国の中央銀行は1993年以降で最も大幅な100bp利上げに踏み切って市場を驚かせた。だがスウェーデンクローナは対ドルで1週間に4%余り下落し、過去最安値を更新した。
欧州中央銀行(ECB)も75bpの利上げを実施し、追加利上げを約束したのにユーロ/ドルの下げ歩調を止められず、23日には0.97ドルと20年ぶりの安値を記録した。
「通貨戦争」という言葉は2010年に当時ブラジル財務相だったグイド・マンテガ氏が名付けの親。世界金融危機後、先進国間で成長てこ入れとデフレ防止のために相次いで通貨安政策が採用された局面を指す。
ところが今は、新型コロナウイルスのパンデミックが和らぐとともに世界中にインフレの波が押し寄せ、事態は完全に逆転。主要中銀は競うように利上げに走り、何とか自国通貨の価値を高めることでインフレを抑え込もうとしている。ただこの「逆通貨戦争」は、FRBとドルに立ち向かっても勝ち目が非常に乏しい。
国際通貨基金(IMF)が7月に公表した論文は、1990年から2018年まで先進国と新興国合計26カ国で行われた為替介入を分析し、「長期的なマクロ経済要因に起因する為替レートの適正水準からのかい離を介入で減殺させようとしても効果を発揮する公算は乏しい」との結論を導き出した。
さらにこの論文によると、自国通貨売りの方が自国通貨買いよりまだ効果が期待でき、相対的に流動性が高い外為市場では介入効果は弱まる。
つまり中銀が目的を果たせる可能性がより大きいのは、伝統的な通貨戦争の下で自国通貨を売って通貨価値を低く保ち、競争力を維持する政策であって、自国通貨買い・ドル売り介入の場合ではない。
<日英の苦境>
ドル高の打撃は世界各国が感じているが、恐らく最も痛感しているのは日本と英国だろう。
円は対ドルで24年ぶりの安値となり、日本政府と日銀は1998年以降で初めて円買い介入を実行。ポンド/ドルも37年ぶり安値まで売り込まれ、英国債が歴史的急落に見舞われたため、イングランド銀行(BOE)もこれまでで最も厳しい局面の1つに置かれた。
日英がいかに脆弱な立場にあるかは事実が示している。
日本政府・日銀はドル/円が150円へと向かう流れをようやく食い止めたとはいえ、市場関係者は介入効果が長続きするかどうか疑問視している。日本政府の外貨準備は1兆3000億ドル相当あり、その大半がドル建て資産。しかしそれだけの規模でも限りがあることは間違いないので、円買い介入能力はいつまでも続くわけではない。また円買い介入は、日銀が長短金利をほぼゼロにする政策運営を継続し、FRBが一段の利上げに動く限り、成功しにくいだろう。
BOEは、ポンド急落によって英国が欧州為替メカニズム(ERM)離脱を迫られた1992年9月16日の「ブラックウェンズデー」のトラウマをなお引きずっており、今回まだポンド買い介入には動いていない。しかしクワーテング財務相が23日に打ち出した積極財政政策に市場が否定的評価を下し、ポンド安が進んだ現状では、BOEに何らかの対応を求める声が強まっている。
ポンド/ドルは23日に3.5%も下がった。1日の下落率としてこれより大きかったケースは、50年前に変動相場制が始まってからわずか6回しかない。
英国債の値崩れはもっと激しかった。5年債利回りは1週間でほぼ100bp上がり、上昇幅が過去最大に達した。10年債利回りの上昇幅も約70bpと、1981年以来で一番大きかった。
ドイツ銀行のジョージ・サラベロス氏は23日、「今の事態に必要な政策対応は誰の目にも明らかだ。すなわち早ければ次週にも大幅な緊急利上げを行って市場の信認を取り戻すことに尽きる」と記した。
一方ドルの勢いは衰えていない。HSBCは今、世界中のマルチ資産の資金配分について、株式と高利回り社債、先進国のソブリン債のいずれも「最大限」のアンダーウエートを維持していると説明し、「ただ1つだけ堅調を維持している主要資産がドルキャッシュだ」と付け加えた。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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