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概要:数十年ぶりの円安と世界的な債券市場の波乱が、日銀の長短金利操作(イールドカーブコントロール=YCC)政策を限界へと追い詰めている。
[オーランド(米フロリダ州) 20日 ロイター] - 数十年ぶりの円安と世界的な債券市場の波乱が、日銀の長短金利操作(イールドカーブコントロール=YCC)政策を限界へと追い詰めている。
10月20日、 数十年ぶりの円安と世界的な債券市場の波乱が、日銀の長短金利操作(イールドカーブコントロール=YCC)政策を限界へと追い詰めている。
10年物国債利回りを0.25%以下に抑えるこの政策を、日銀が撤廃、あるいは修正しただけでも円は急騰し、ただでさえ辛酸をなめている2022年の世界市場に新たな爆弾を投げ込むことになるだろう。
主要10カ国(G10)の中で今年、金融引き締めを行っていない中央銀行は日銀だけだ。日銀の超緩和政策は投資資金の国外流出を加速させ、円の歴史的な下落に手を貸している。
しかし諸外国との比較で見た日本の金利見通しが急に変化すれば、大量の資金が日本に還流する可能性がある。
日本は世界最大の純債権国だ。日本が保有する外国の資産と、外国人が保有する日本の資産の差である対外資産負債残高は6月末時点で3兆2900億ドルだった。
国際通貨基金(IMF)の推計では、公的準備を含む日本の対外資産9兆9600億ドルのうち、約3兆7000億ドルは株式関係、約5兆7000億ドルは債券関係の投資となっている。
このうち、ほんの一部が日本に還流しただけでも円相場を押し上げる多大な影響をもたらすかもしれない。日本の投資家による資金還流は過去にも為替レートを大きく動かしてきた。
日本の対外・対内証券投資は7兆3000億ドル前後と巨額で、為替レートが急激に変動すると投資家の世界的なレバレッジ、ヘッジ、デリバティブ投資にショックを広げかねない。
ドイツ銀行のストラテジスト、アラン・ラスキン氏は、YCCが変更されれば、その余波は数週間続く可能性があると指摘。「YCCを急に変更すれば、幅広い資産クラスに大きな影響をもたらしかねない。5円以上の動きがあり得るかと問われれば、答えは間違いなくイエスだ。そのこと自体が副次作用として金融市場を大混乱させるかというと、それについてはもう少し楽観視している」と述べた。
日銀は現在、YCCをさらに積極的に推進し、デフレの脅威を根絶するために大量の国債を買い続けている。IMFも、市場が不安定な状態にあることを理由にYCCを修正しないよう釘を刺している。
しかし圧力は蓄積している。足元では、10年物国債利回りが繰り返し0.25%の上限を突破。先を見ると、来年4月に控える黒田東彦・日銀総裁の任期満了が政策変更のタイミングになると考えられている。
<資金還流>
日本の投資家は年度末のバランスシートを良く見せるため、例年1─3月期に資金を本国に送還する。今年3月に向けても差し引き約1600億ドルの証券投資資金が日本に還流した。
しかしその後、日本人の海外資産需要は急増。4─6月期の対外株式・債券投資は約1200億ドルに達し、7─9月期も対外投資が続いた。
一方、日本の銀行にある個人投資家の外貨預金は8月末時点で26兆5800億円と、年初から8.3%増えている。日銀のデータによると、1月から8月にかけての増加率は2015年以来で最高だ。
JPモルガンのアナリストによると、日本の投資家は円高になると外貨を買い、円安になると外貨を売る傾向があるため、今年の現象は異例。日本の金利が上昇した場合、この大量の外貨預金が解約されて円を押し上げるもう一つの要因になるかもしれない。
ドルが今年、対円で約30%と過去最大の上げ幅を記録した背景には日米の金利差がある。
HSBCのFXストラテジー米国責任者、ダラグ・メーハー氏は、ドル/円が天井を打つのは近く、来年初めには140円に下がると予想している。YCCの修正が相場を動かすことになるが、相場変動の度合いは、日本国債と同様に米国債の利回りにも大きく左右されるとみる。
メーハー氏は、円相場を押し上げる突然の資金還流は米国債利回りが低下する局面で起こる傾向があると指摘。2011年3月の東日本大震災とその後の福島第1原子力発電所の爆発、2008年のリーマンショック、1998年のロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)破綻とロシア債務危機などが、その例だと説明する。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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