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概要:サッカーのイングランド・プレミアムリーグのマンチェスター・ユナイテッドを所有する米国のグレーザー一族が、クラブの完全な売却を含めた選択肢を模索している。過去10年でチームをすっかり弱体化させ、何百万人ものサッカーファンを激怒させてきた同一族だが、純粋な投資の面で考えると、ここで売却すればかなりの収益が得られる可能性がある。
[ロンドン/ニューヨーク 24日 ロイター] - サッカーのイングランド・プレミアムリーグのマンチェスター・ユナイテッドを所有する米国のグレーザー一族が、クラブの完全な売却を含めた選択肢を模索している。過去10年でチームをすっかり弱体化させ、何百万人ものサッカーファンを激怒させてきた同一族だが、純粋な投資の面で考えると、ここで売却すればかなりの収益が得られる可能性がある。
11月24日、サッカーのイングランド・プレミアムリーグのマンチェスター・ユナイテッドを所有する米国のグレーザー一族が、クラブの完全な売却を含めた選択肢を模索している。英マンチェスターのオールド・トラッフォード前で23日撮影(2022年 ロイター/Phil Noble)
今年は欧州サッカークラブの買収金額が高騰。その始まりは、ロシアのウクライナ侵攻に伴う経済制裁に絡み、ロシア新興財閥(オリガルヒ)のロマン・アブラモビッチ氏がプレミアリーグのチェルシーを売却した案件だった。
事情に詳しい2人の関係者の話では、グレーザー一族がマンチェスター・ユナイテッドの売却に向けて正式に動き出した背景には、こうしたクラブの評価額の高さがあったという。
不動産や小売り、ヘルスケアなどの分野で財をなし、米プロフットボールNFLのタンパベイ・バッカニアーズも所有するグレーザー一族は、2005年にマンチェスター・ユナイテッドを7億9000万ポンド(9億3907万ドル)で取得した。もしチェルシーなどのディールと同水準の評価で売りに出された場合、利益は数十億ドルに上る、と先の関係者は説明する。
もっとも関係者は、「デュアルクラス(複数議決権株)」を通じてマンチャスター・ユナイテッドの3分の2の持ち分を握るグレーザー一族が最終的に、少数株の売却にとどまるか、何の取引もしない可能性もあるとくぎを刺す。
ファンにとっては、グレーザー一族がマンチェスター・ユナイテッドを手放せば長年の願いがようやくかなうことになる。
多くのサポーターは、一族が買収の際にクラブに多額の借金を背負わせたことや、優秀な選手を獲得したり引き留めるのに、より多くの資金が必要になったことに不満を募らせてきた。さらに今月、スーパースターのクリスチャーノ・ロナルド選手の退団騒動で、サポーターの不満は再び高まった。
ロナルド選手は14日のテレビ番組で「グレーザー一族はクラブもしくはプロスポーツを全く大事に思っていない」と切り捨てた。
一族が売却手続きに入ったと明らかになる前の22日の時点で、マンチェスター・ユナイテッドの株価は約13ドルと、2012年の公開価格(14ドル)を下回る水準に低迷していた。
一方、欧州サッカークラブには高値がつけられている。
5月にはトッド・ボーリー氏とクリアレイク・キャピタルが主導する投資グループがチェルシーを31億ドルで買収し、今後26億ドルを追加投資する見込み。チェルシーの評価額は直近年度の総収入の5.7倍に上る、と複数の投資銀行関係者が明かした。
米投資会社レッドバード・キャピタルは8月、イタリア・セリエAの名門ACミランを12億ユーロで買収。プレミアリーグ以外のクラブ買収額として過去最高を記録した。さらにマンチェスター・ユナイテッドのライバル、リバプールも身売りを模索しているところだ。
法律事務所RPCが先月まとめた報告書に基づくと、スポーツ業界における今年の買収や過半数株取得の取引総額は96億ポンドと、昨年の18億ポンドを大きく上回った。
マンチェスター・ユナイテッドの場合、総収入の5.7倍と想定した買収額はおよそ34億ドルで、売却のニュースが流れる前の株価水準に41%のプレミアムが乗る計算となる。
しかも複数のアナリストは、総収入に対する買収額の倍率はもっと高まる公算が大きいとみている。マンチェスター・ユナイテッドはチェルシーよりずっとサポーターが多いし、競技場も大きく、収益力が大きいからだ。5年間何もタイトルを獲得していないものの、常に年間約1億ドルのキャッシュフローを生み出しており、安全な投資先とみなされる。
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