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概要:ディズニーは11月20日にトップ人事を発表し、ボブ・チャペックに代わって2020年にCEOを退いたボブ・アイガーを再任すると明かしました。アイガーに限らず、一度は退いた経営者が返り咲くケースは時々見かけますが、こうした人事のメリットとデメリットとは?
ディズニーのCEOに返り咲いたボブ・アイガー(2018年撮影)。
REUTERS/Mario Anzuoni
米メディア・エンターテインメント界の大手、ウォルト・ディズニーのCEO職にふさわしい候補者なら、おそらく何百人も存在するだろう。であれば、同社はなぜCEO退任から3年にも満たないボブ・アイガーを復帰させるのだろう?
復帰するCEOたちは、やはり良し悪し入り混じった実績を残している。2020年にMITスローンマネジメントレビューに掲載されて頻繁に引用されているワーキングペーパーによれば、復帰したCEOが経営を差配する企業の株価業績は、初めて組織のトップに立ったCEOのいる企業に比べて、10.1%下回るという。
しかし、かつての幹部を復帰させて成功を見た企業もある。ハワード・シュルツは、スターバックスのCEOに返り咲いて財政再建を果たした。スティーブ・ジョブズはアップルから一度は追われたものの、その後舞い戻って倒産しかけていた同社を立て直し、世界でも屈指の時価総額を誇る企業に生まれ変わらせた。マイケル・デルは自身の名前を冠した企業でCEO職を再開し、テクノロジー業界で再びその存在を確立させた(彼は現在もその座にいる)。
結局、かつてのCEOを呼び戻すことには何らかの意義深い利点があるわけで、危機的な状況であればすでに実績のある実力者に白羽の矢を立てたくなることもあるだろう。
今のディズニーは、まさにその状況なのだ。同社は11月20日、2年契約でボブ・アイガーをCEOとして呼び戻すことを発表し、アイガーが後継者として自ら選任したボブ・チャペックと交代した。
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難問に直面するディズニー
アイガーは山積する課題にさっそく着手することになる。とりわけ、ディズニーの主な配信会社であるフールー(Hulu)、ディズニープラス(Disney+)、ESPN+などの諸問題だ。ストリーミング配信ビジネスは少なくとも過去3四半期連続でサブスクリプションが低迷または横ばいとなっており、ディズニーも例外ではないのだ。
政治的な問題もある。アイガーはスカーレット・ヨハンソンら映画スターたちとの関係を修復しなければならない。ヨハンソンは2020年の映画『ブラック・ウィドウ(Black Widow)』の主演女優を務めた。しかし、ディズニースタジオがこの作品を映画館ではなくストリーミングのみで配信するとの決定を下すと、ヨハンソンは同社を提訴した。
この問題は広く耳目を集め、映画業界が劇場の大画面からストリーミングサービスへとシフトしていく中で、ハリウッドの映画スタジオと大物俳優たちとの間で対立が起こりうることを知らしめた。
ディズニーは、フロリダ州が施行したいわゆる「ゲイと言ってはいけない(Don't Say Gay)法」(編注:フロリダ州の共和党が推進し成立させた、学校で性的指向に関する議論を制限する法律)においてもつまずいた。当時のCEOだったチャペック率いるディズニーは初動対応のまずさから批判を浴びた。とりわけ同社のLGBTQ従業員から突き上げられ、チャペックは後日公に謝罪文を出した。
これに対し、ディズニーにおけるアイガーの経営手腕は証明済みであり、この先行き不安定な時代にあっては心強いリーダーと思われるかもしれない。
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新たな幹部研修も不要
アイガーといえば、ピクサー、マーベル、ルーカスフィルムといったブランドの買収を手がけ、2019年にはディズニープラスを導入するなど、前回のディズニーCEO時代に輝かしい実績を数多く残してきた。ディズニーがアイガー復帰を発表した翌日、同社の株価は10%跳ね上がった。
しかし、ディズニーの株価上昇に望みを託す投資家たちも、過去に眼を向けることがある。前述の『MITスローンマネジメントレビュー』の記事の共著者によると、これで会社の経営が再び軌道に乗るだろうという安心感を求めている社員や投資家たちにとっては、復帰するCEOに馴染みがあるという事実が往々にして重要な要因になるのだという。
「(経営環境が厳しい時には)実績のあるリーダーに戻ろうとする傾向が強まる」。ガブリエル・インベストメンツのパートナーで、エナジープラスとファーストUSAの元CEOも務めたリチャード・ヴァーグは、2014年のペンシルベニア大学ウォートンスクールでのインタビューでそう指摘している。
CEO経験者を起用することは賢明でもある。アイガーは前回ディズニーのCEOを15年間も務めており、幹部研修も必要ない。
スイスのIMDビジネススクールでリーダーシップと組織変革を教えるマイケル・ワトキンス教授は、Insiderの取材にメールで回答し、復帰するCEOというものは「最初からその会社を知っており、株主たちを理解しており、信頼を勝ち得ている」と述べる。
復帰するCEOが一度退任してから復帰するまでの間にさらに知識を深めているようなら理想的だ。「CEOに返り咲く時点で、必要な情報を完全に掌握しているからだ」と言うのは、ハーバード大学の管理職コーチであるキャロル・カフマンだ。
過去の成功体験に引きずられるリスクも
一方、アイガーをCEOとして復帰させることについて、ディズニーの取締役会はいささか近視眼的だったと評する批判家もいる。
ブルームバーグのオピニオン欄にベス・コウィットはこう書いている。
「アイガー復帰により、これらの役員室内で行われる事柄について、これまで以上に切迫した疑問が見えてくる。そこでは過去にうまくいったことしか考えつかず、将来に向けての新たな代替手段を見つけることができない」
実際、復帰するCEOはかつての経験に頼りすぎるというリスクは常に存在する。
「彼らは、やるべきこともそのやり方も自分は分かっていると思うかもしれない。だが世の中も会社自体も、大きく変化してしまっていることがありうる」(ワトキンス)
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[原文:Out with the new and in with the old: Why companies from Starbucks to Disney are bringing back their old CEOs to run the companies again]
(編集・常盤亜由子)
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