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概要:今年1月の東京都区部の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)が41年8カ月ぶりの上昇率となり、注目を集める中で、サービス価格が前年比1.2%増と1%を超える上昇となった。今年の春闘で非製造業の企業が人材確保のための大幅な賃上げに踏み切った場合、今年後半にサービス価格が大幅に上昇する可能性がある。日銀の物価見通しが上方修正され、政治的なインパクトをもたらす可能性もありそうだ。
[東京 27日 ロイター] - 今年1月の東京都区部の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)が41年8カ月ぶりの上昇率となり、注目を集める中で、サービス価格が前年比1.2%増と1%を超える上昇となった。今年の春闘で非製造業の企業が人材確保のための大幅な賃上げに踏み切った場合、今年後半にサービス価格が大幅に上昇する可能性がある。日銀の物価見通しが上方修正され、政治的なインパクトをもたらす可能性もありそうだ。
1月27日、今年1月の東京都区部の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)が41年8カ月ぶりの上昇率となり、注目を集める中で、サービス価格が前年比1.2%増と1%を超える上昇となった。
<賃金・消費のデフレーター、5.4%に上昇>
全国CPIの先行指標として注目された1月東京都区部CPIは、コアが前年比4.3%上昇と市場予想の同4.2%を上回った。今回のデータに平静を装っている政府・日銀も、内心では「心穏やか」ではないはずだ。
まず、賃金や消費の実質値を算出する際に使用される持ち家の帰属家賃を除く総合の前年比上昇率は5.4%と12月の同4.8%から跳ね上がった。もし、この水準が続いた場合、連合が求めている定期昇給込みの賃上げ率5%が達成されたとしても、実質賃金はマイナスになってしまう。
世論が物価高への批判を強めた場合、岸田文雄内閣の支持率が一段と下押しされかねない要因が増えた格好だ。
また、総合、コア、コアコア(生鮮食品、エネルギーを除く)の前月比は、それぞれ0.7%、0.5%、0.5%の上昇となっており、上げ幅が加速する兆しを見せている。
<サービス価格は前月比0.5%上昇>
ここまでは、各種の報道で詳しく伝えられているが、実はあまり触れていない部分がある。それは、いままで上昇率が低く目立ってこなかったサービス価格の動きだ。
1月のCPIを財とサービスに分けると、財は前年比8.4%上昇、サービスは同1.2%上昇となっている。
前月比のデータを季節調整済みで見ると、財は1.1%上昇、サービスは0.5%上昇で、12月の0.7%上昇、0.1%上昇から加速している。特にサービスのペースアップが目立っている。
これまでサービスの上昇率は前年比1%未満だったことが、CPI全体の上昇率を抑制してきたが、サービスの上昇率が加速してくると、政府・日銀の想定を超えてCPI全体の上昇率が上振れすることになる。1%台の上昇率は消費税率引き上げの影響を受けた2015年3月以来となる。
<賃上げ増の背景に人手不足、巻き込まれる非製造業>
ここで問題になってくるのが、今年の春闘における大企業の動向だ。主に製造業を中心に5%かそれ以上の賃上げ率実現を公表している企業が相次いでる。こうした状況を反映し、メガバンクの一角も5%の賃上げ実現に積極的な姿勢を示し、同業他社に影響を与える情勢となっている。
この経営側の様変わりとも言える賃上げ積極姿勢の背景には、構造的な人手不足がある。大企業は国際的な競争に勝つためにデジタル・トランスフォーメーション(DX)やグリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現を迫られている。だが、各社ともそれを担う理科系人材の不足に悩まされている。
また、日本の人口構成が逆ピラミッド型になりつつあるため、理科系に限定されず、優秀な人材の取り合いになっており、人材確保のための給与引き上げは経営上の課題になっているようだ。
積極的な人材囲い込みで製造業が先行したままでは、非製造業が人材確保で劣勢に立たされることになるのは目に見えている。したがって非製造業の大企業も今年の春闘では、大幅な賃上げを提示せざるを得なくなるだろう。
ベースアップの実施は、中長期的な雇用コストの増加につながるだけに今年後半以降にサービス価格の引き上げが相次いで発表されることになると筆者は予測する。
<電気料金、6月から大幅値上げ>
1月東京都CPIをみると、政府が1月から実施している電気・ガス料金の支援策の結果は反映されていないようだ(2月からの請求分で反映される見通し)。ただ、2月分からどの程度の押し下げ効果があるのかは、2月分のCPIデータを見ないとはっきりしない。政府は、1.2%ポイントの押し下げ効果があると表明しているが、それほどにはならないという専門家の予想もある。
仮に1%ポイントの押し下げとして、これを1月分に当てはめると、コアは前年比3.3%上昇になる。また、この支援策は9月分(10月請求分)で終了する予定だ。日銀の予想では、2023年度後半から物価上昇率は減衰していくとし、23年度の上昇率は1.6%で着地することになっている。
しかし、東京電力などが申請している家庭向け規制料金の引き上げは6月から実施される可能性が高く、政府の支援額を上回って電気料金は上がることになる(関西電力など3社は値上げしない)。
このため、6月以降(7月請求分)からCPI上昇率は反転して上がり出すとみられている。そこに他のサービス価格の上昇が加われば、CPIの推移は日銀やその見方に追随している民間エコノミストの予想とは違った展開になるのではないか。
<物価上昇と支持率>
ここで、政治的なインパクトについても触れておきたい。最近の岸田内閣の支持率は、じりじりと低下ないし低水準で横ばいとなっている。防衛力増強に伴う歳出増加の一部を増税で賄うという首相の提案に対する反発が大きく作用しているとの論調が国内メディアでは多い。
しかし、内実は物価上昇に対する反発がかなりを占めているのではないかと筆者は想定している。特に手取りの目減りが続く年金受給者の不満は、かなり蓄積されているようだ。
5月のG7広島サミット(主要7カ国首脳会議)後に支持率がアップし、衆院解散・総選挙を想定しているかもしれない岸田首相にとって、7月からCPIが再上昇しているのは、何としても避けたいだろう。その際にどんな手を打って来るのか──。
新総裁の下での日銀にとっても、無関心ではいられない政治情勢ではないかと思う。
そうしたことを考えると、1月東京都区部CPIのデータは、単なる先行指標として以上の意味があるように見える。
●背景となるニュース
・ 東京コアCPI1月は+4.3%、1981年以来の伸び 宿泊料が下げ縮小
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