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概要:[東京 17日 ロイター] - 日銀が黒田東彦総裁の下、大規模緩和を進めた10年間で日経平均株価は約2.5倍となった。緩和初期にその最大の要因となった円安も、足元で株高効果は薄れているとの見方が多い。
[東京 17日 ロイター] - 日銀が黒田東彦総裁の下、大規模緩和を進めた10年間で日経平均株価は約2.5倍となった。緩和初期にその最大の要因となった円安も、足元で株高効果は薄れているとの見方が多い。時価ベースで50兆円にのぼる上場投資信託(ETF)の購入も日本株を支えたが、次期日銀総裁にはその「後始末」という課題が重く残る。
<初期は「中身」伴う株高に>
「バズーカ」の異名をとった量的・質的金融緩和。2013年4月の導入前から、緩和期待で円安・株高は進んでいたが、日銀が従来の2倍に相当する資産購入によって2年で2%の物価上昇率を目指すという大胆な表明に市場は沸き立った。
日経平均は13年3月末の約1万2400円から13年12月末の1万6300円まで約3割上昇。その原動力になったのが円安だ。ドル/円は13年3月末に94円程度だったが、14年1月の105円まで約10円安が進んだ。
SMBC日興証券によると、TOPIX採用の3月決算企業の純利益は14年3月期は約70%増加した。市場の期待感が先行した株高だったが、企業業績の改善という「中身」が伴い、円安がダイレクトに株高要因となりやすかった。
自社株買いが増えたことも株高につながった。「企業の財務状態が改善する中で、余剰資金で自社株買いを行う企業が増えたようだ」と大和総研の中村昌宏主席研究員は指摘する。
ただ、足元では円安と株高の関係は一変している。2022年は春先の1ドル115円台から10月の151円まで円安が進んだが、同年の日経平均は年間で9%の下落。業種別では下位に電機や輸送用機器が並ぶなど、個別銘柄はともかく全体的には円安は必ずしも株高要因ではなくなっている。
<円安でも伸びない企業業績>
その違いはやはり企業業績だ。SMBC日興証券によると、23年3月期のTOPIX企業の純利益見通しは1.2%増と、ほぼ横ばいにとどまる。4─12月期でみても、業種別で製造業が6%の減益となるなど、円安下でも厳しい企業業績となっている。
トータルでみて円安は日本経済にプラスとみるエコノミストは少なくない。企業業績も円安があったから大幅減益にならずに済んだとみることもできる。ただ、世界的にインフレが進む中では、円安は原材料など輸入コストの負担を増幅させるマイナス面が強く出る結果となっている。
トヨタ自動車の連結営業利益をみると、14年3月期は為替で9000億円のプラス効果があった。22年4─12月期も1兆0450億円のプラスで、円安効果は依然大きい。しかし、資材高騰で1兆1000億円のマイナス効果が発生しており、17%減益の主要因になった。
株式市場でも円安は以前ほど好感されなくなっている。「コロナ禍以降に資源高が加速した中で、円安はコスト高の一因とも意識されて素直に株高に作用しにくくなった」と、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは指摘する。
昨年は、米国で金融引き締めが進んだ一方、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策によって円金利が低く抑えられたことによる日米金利差が円安材料とされた。円安か円高か。為替は日銀の政策目的ではないが、景気や物価にも大きな影響を与える要素だけに、繊細な舵取りが求められる。
<新総裁に残された「難題」>
上場投資信託(ETF)も、次期日銀総裁の対応が注目されるポイントだ。世界でも異例な中央銀行による買い入れを始めたのは白川方明前総裁だが、黒田総裁はその規模を大きく拡大させた。
白川総裁時代に当初4500億円で始めたが、13年4月の「バズーカ1」で1兆円に増額、14年10月の「バズーカ2」で3兆円に拡大、さらに16年7月に6兆円、20年3月には12兆円(上限)に引き上げた。
日銀はETF買いの目的としてリスクプレミアムの低下を挙げる。リスクプレミアムを押し下げればマネーが循環し、物価上昇につながるとの考えだ。「イールド・スプレッドをみると買い入れ枠を拡大した直後の短期間に限り、リスクプレミアム縮小の効果は観察された」とニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは指摘する。
一方、市場では、日銀ETF買いの発動基準としてTOPIXの前場下落率が注目されるなど、依存的な売買手法も目立った。
三菱UFJモルガンスタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは、日銀のETF買いについて「買いオンリーで当面、売却予定のない投資主体だけに、投資家の心理的効果も加わって株高が促された側面もある」と話す。
これまでに日銀が取得したETFの残高は時価で約50兆円。22年の購入額は6300億円にとどまっており、「距離」を取り始めているようにもみえるが、売却に転じれば市場に大きなインパクトを与えかねない。次期日銀総裁には難しい課題が残された。
(平田紀之、浜田寛子、斉藤信世 編集:伊賀大記)
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