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概要:(この記事は6日20:48に配信したものです) [東京 6日 ロイター] - 元財務官でアジア開発銀行(ADB)総裁を務めたみずほリサーチ&テクノロジーズ理事長の中尾武彦氏は6日、ロイターのインタビュ
(この記事は6日20:48に配信したものです)
[東京 6日 ロイター] - 元財務官でアジア開発銀行(ADB)総裁を務めたみずほリサーチ&テクノロジーズ理事長の中尾武彦氏は6日、ロイターのインタビューに応じ、財政・金融政策の修正は必要と強調しつつ、米欧発の信用不安を背景に「現状は慎重な検討が必要」と述べた。
10年ぶりに総裁が交代する日銀の金融政策について、中尾氏は「現状、金融不安という問題が出てきており、金融政策の修正はより慎重に検討しないといけない」と話した。
一方で「長短金利操作(YCC)、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)などリスク性資産の買い入れといった特殊な政策は永久に続けることはできず、長期的に日本の利益にならない」と述べた。
中尾氏は、アベノミクスの副作用に関して、金融緩和と財政出動により「企業の新陳代謝や労働者の生産性の高いところへの移動がないなど、経済の活力が損なわれている」とした。
その分社会や市場は安定しているが、将来的には財政赤字の累積による金利上昇や日本売りなどのリスクを内包しており、「安定しているうちに財政政策も金融政策も正常化に向けた調整を始めることが必要」と語った。
<基軸通貨ドルの立場変わらず>
ロシアのウクライナ侵攻による対ロ制裁を受けて、中東産油国の間では中国人民元建て輸出などがみられる。中尾氏は「兵隊の血を流さない強力な制裁として米国はドルの利用をシャットアウトする力を基軸通貨国として持っているが、あまり金融制裁を多用すると、一定のドル離れは理論的にあり得る」とした。
人民元については、中国の資本勘定が十分開放されていないことや、経済運営と政治システムが米国ほどの信認を確立できていないことを指摘した。今後、ロシアや中東諸国が資源貿易などに人民元を使うことは増えるだろうが「ドル基軸への大きなチャレンジにはならない」との見方を示した。
<リーマン危機再来の可能性低い、信用収縮の影響注視は必要>
米シリコンバレー銀行の破綻やクレディスイスの経営危機などによる信用不安については、「リーマン危機後は、資本や流動性などに関する規制が強化されており、同じような危機に陥る可能性はそれほど高くないと思うが、市場の不安からの信用収縮の影響を注視する必要がある」とした。
クレディスイスの救済買収では劣後債の一種である「AT1債」が無価値となる措置が取られた。中尾氏は「契約上は問題がないという説明だが、劣後債の損失発生は資本の後に来るという常識を覆してしまった。世界的に劣後債の信用が下がり不安につながっている。スイス当局のハンドリングには疑問が残る」と批判した。
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