原油減産は供給不足を悪化させる見通し、ＯＰＥＣ月報のデータが示す

石油輸出国機構（ＯＰＥＣ）と非加盟の主要産油国で構成する「ＯＰＥＣプラス」が先週合意した減産で、世界の市場は大幅な供給不足へと向かっており、その不足は時間とともに年内は悪化する見通しだ。ＯＰＥＣが発表した最新の月報で示唆された。

この月報で示された数字によると、ＯＰＥＣプラスが発表した減産の結果、今年10－12月（第４四半期）には世界で日量200万バレルの供給不足が生じる可能性がある。

ＯＰＥＣプラスは今月２日、予想外の減産を発表し、原油価格を押し上げた。減産は原油価格の下落に賭ける投機筋を狙ったものだと複数のＯＰＥＣ当局者は説明したが、消費国に助言する国際エネルギー機関（ＩＥＡ）は、減産の決定を「悪いサプライズ」だと表現した。

OPEC+ Cuts to Deepen Oil Deficit

Inventories may fall by more than 2 million barrels a day

Source: Bloomberg calculations using OPEC data

ＯＰＥＣプラスによる減産は４－６月（第２四半期）に見込まれる供給過剰を改善させる見通しで、今回の月報は減産を正当化する一定の根拠を示した。

原油在庫は過去５年の平均を超えており、ＯＰＥＣ加盟国の現在の生産量は４－６月の需要を日量約30万バレル上回る水準だ。

ただ、下期には世界の原油市場は大幅に逼迫（ひっぱく）する見通し。今年の原油消費量は前年比で日量230万バレル増えて同１億189万バレルに達し、新型コロナウイルスのパンデミック（世界的大流行）以前の水準を超えて過去最高を記録するだろうと、ＯＰＥＣはみている。

決定通り減産が実施されれば、ＯＰＥＣの生産量は７－９月に日量2800万バレルとなり、ＯＰＥＣが見込む需要をおよそ160万バレル下回る。10－12月には供給不足は少なくとも200万バレルに拡大する見通しだ。

ＯＰＥＣプラスは６月初めに開く会合で、下期の生産方針を検証する予定。