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概要:日銀の金融政策判断に重要な影響を与える消費者物価指数(CPI)の動向に、内外の市場関係者の注目が集まりつつある。日銀は2023年度後半にかけてCPI上昇率が鈍化し、23年度は1.8%上昇になると予想しているが、足元で減速の兆しが見えないからだ。
[東京 29日 ロイター] - 日銀の金融政策判断に重要な影響を与える消費者物価指数(CPI)の動向に、内外の市場関係者の注目が集まりつつある。日銀は2023年度後半にかけてCPI上昇率が鈍化し、23年度は1.8%上昇になると予想しているが、足元で減速の兆しが見えないからだ。
日銀の金融政策判断に重要な影響を与える消費者物価指数(CPI)の動向に、内外の市場関係者の注目が集まりつつある。
30日発表の6月東京都区部CPIは、6月全国CPIの先行指標的な性格を持ち、基調的な性格を強めているコアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)が大きなポイントになる。前月比の伸び率が加速した場合、23年度後半にCPI上昇率が鈍化するという日銀シナリオに「黄信号」が点灯する可能性もある。じわじわと上がってきたサービス価格の上昇幅が大きくなれば「いったん下がってから上がる」という日銀の想定とは違った展開になる可能性が高まると予想される。
<注目されるコアコアと日銀シナリオの関係>
5月の東京都区部CPIは、総合が前年比3.2%上昇、前月比0.1%下落、コア(除く生鮮食品)が前年比3.2%上昇、前月比0.1%下落、コアコアが前年比3.9%上昇、前月比0.2%上昇だった。
総合とコアの前月比が下落したのは、電気代に上乗せされている再生可能エネルギー発電促進賦課金が5月から、1キロワットアワー当たり3.45円から1.40円に引き下げられたことが影響しているとみられる。
6月の前月比はその分が消えるため、総合とコアともに再び上昇に転じている可能性が高いと予想される。
日銀は物価の基調を1つの指標で判断するのは難しいという立場だが、最も基調に近いのはコアコアであると筆者は考える。東京都区部のコアコアは今年1月の前年比3.0%から5月に3.9%へと上昇幅を拡大させている。6月に前年比が4%台に乗せ、前月比が5月の0.2%から加速するなら、7月から急にピークアウトのトレンドに突入する可能性は低いと考えざるを得ない。
<植田総裁も指摘した食料・日用品・宿泊料>
6月16日の会見で、植田和男日銀総裁はCPI上昇の下がり方が「思っていたよりも遅い」と述べた上で「食料品、日用品、一部サービスでは宿泊料の値上がりが、見ていたところよりも少し率が高い」と指摘していた。
6月東京都区部CPIのチェックポイントも、この3つが大きなウエートを占める。5月は、生鮮食品を除く食料が前年比8.9%上昇、家庭用耐久財が同7.4%上昇、宿泊料が11.5%上昇だった。
この3項目の上昇率が横ばいないし前月よりも加速していた場合、CPI上昇の中心的な部分のパワーは、減速ではなく加速する方向に作用していると判断するべきだろう。
<上がり出したサービス>
中でも宿泊料は、政府の全国旅行支援による価格押し下げで0.03のマイナス寄与となっているにもかかわらず、CPI全体への寄与度はプラス0.14だった。これは、人手不足による人件費の上昇を宿泊料に上乗せした結果だと筆者は指摘したい。
宿泊料に代表されるサービスは、5月に前年比1.7%上昇、前月比0.2%上昇だった。より実態を表している持ち家の帰属家賃を除くサービスは、前年比2.7%上昇、前月比0.3%上昇だった。
サービス価格は、モノの価格に比べて上昇テンポが緩やかながら、いったん上がり出すとその基調が継続する「粘着性」を強く持つ性格がある。サービス価格が上がり始めてきたことは、決して軽視できない現象と言える。6月のサービスが前年比、前月比ともに5月よりも加速していれば、23年度後半のCPI上昇率の鈍化というシナリオ実現性のハードルは、ますます上がることになるだろう。
<23年度後半に減速しない可能性>
植田総裁は28日、ポルトガル・シントラで開催された欧州中央銀行(ECB)主催のセミナーで、過去の輸入物価上昇の影響が薄れるためインフレ率上昇が「しばらくの間」鈍化し、その後、2024年に再び上昇すると予想しているとの日銀の見解を表明。ただ、24年に再上昇に転じるかは不透明だと述べた。
また、インフレ率が鈍化した後に2024年に再び加速することが「合理的に確信」できれば、日銀が金融政策を転換する十分な理由になると述べた。
6月東京都区部CPIの上昇率に減速の動きが見えなれば、日銀のシナリオとは違って3%台での推移という新たなシナリオの現実味が少しずつ高まることを意味するだろう。
そのケースでは、CPI再加速への合理的確信ではなく、基調的に物価目標2%を超える上昇率が続くことへの「確信」がどこかで形成される可能性を高めるだろう。
市場関係者による詳細な分析があまり見られなかった東京都区部CPIの注目度が上がるのは、自然な流れであると考える。
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