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概要:「実務経験はないけれど、社会保険労務士の資格を活かして転職するのは無謀?」38歳男性から相談が届きました。転職市場では実務経験がモノを言うものの、やり方によっては転身を図れる可能性もあります。
taka4332/Gettty Images
今回は、こちらの応募フォームからお寄せいただいた読者の方からのご相談にお答えします。
「実務経験はないが、資格を活かして転職することは可能か?」というお悩みです。
Aさん
私は社会保険労務士の資格を取得しているのですが、これまで一貫して労務とは全く違う仕事に就いていました。
このように実務経験がない38歳の私が、社会保険労務士として他の企業や社労士事務所への転職を図ろうとするのは無謀なのでしょうか? 社会保険労務士の資格を活かしたいのであれば、いきなり独立開業するしかないのでしょうか?
(Aさん/30代後半/男性)
※お便りの内容を一部要約させていただきました。
Aさんのご相談にお答えする前に、まず一般的なお話をしますね。
キャリアを強化する手段の一つとして、「資格取得」を検討する方は少なくありません。
私が個人の方からキャリア相談を受けていても、「今の仕事とは関連がないが、○○の資格を取ろうかと考えている。どう思うか」と聞かれることがあります。その場合、このようにお答えします。
「これまでのキャリアとつながりがない資格の勉強をするよりも、その時間とパワーを『実務経験を磨き込む/周辺領域へ幅を広げる』ことに使ってください」
大前提として、転職市場においては、資格よりも実務経験が重視されます。実務経験が伴わない資格は、特別な資格(弁護士・公認会計士・税理士など)を除いてあまり評価されないのが実情です。
第二新卒などの若手層で、働きながら資格取得しているなら、「計画を立ててコツコツ取り組める」「学習に対する抵抗感がない」といった素養面がプラスの評価を得られることもあります。
しかし、30代以上の人がこれまでの仕事と関係がない資格を取得することに対しては、明確かつ説得力のある目的がないかぎり、疑念や不信感を抱かれてしまう可能性があります。「この人は何がしたいのだろう?」と……。
「実務未経験の有資格者」は、「アシスタント」のポジションで一定のニーズがあります。ただし、30代以上となるとそのポジションでの採用はためらわれるでしょう。採用されたとしても、前職年収を維持することは難しいと思われます。
なお、社会保険労務士のように法律知識が重要な資格の場合、取得から時間が経っていると、さらに転職市場での効力が下がります。法律は絶えず改正されているので、3年も経てば知識は陳腐化するもの。最新の知識にアップデートし続けなければならないという点でも、「いずれ転職する際に役に立てば」といった安易な気持ちで取得することはお勧めできません。
独立開業を目指すなら、まずは実務経験を積む
さて、すでに社会保険労務士(以下、社労士)資格を保有しているAさんのケースについて考えてみましょう。
「労務の実務経験なし」「30代後半」という条件では、転職の実現はなかなか厳しいと思われます。
「社労士の資格を活かしたいなら、いきなり独立開業するしかないのか?」とお考えのようですが、それもハードルが高いのではないでしょうか。
これまでAさんが築いてきた人脈を活用し、顧問先を獲得できるのであれば、いきなりの独立開業も可能でしょう。
しかし、企業側としては、顧問契約を結ぶにあたっては「実績」を重視するのが現実です。独立開業を目指すにしても、社労士事務所で一定期間の実績を積んだほうが、信頼を得やすいといえるでしょう。
そこで、まずは「社労士事務所での実務経験を積む」ことを目指してはいかがでしょうか。
具体的には、次のようなアクションを起こしてみてください。
「未経験者可」の求人を探し、これまでのビジネス経験をアピール
転職サイトで、「社労士 未経験」などのワードで求人を検索してみてください。
ヒットした求人情報を読み込むと、どのような人物を求めているかをある程度想像できると思いますので、ご自身にも可能性がありそうな求人を選んで応募してみましょう。
この時、Aさん自身のこれまでのキャリアを活かして、どのようにその社労士事務所に貢献できるかを考え、応募書類の「自己PR欄」でアピールしてください。
Aさんがどのような業界・職種で経験を積んでこられたのか、ご相談の投稿文面からは分からなかったのですが、仮に一例を挙げてみましょう。
「○○業界に○年勤務しており、現場の労務管理の状況や課題を理解しております。○○業界の顧客に対して課題解決の提案が可能です」
「○年間、営業職を務めてきましたので、コミュニケーション力と信頼関係構築力を活かして顧問先の新規開拓に貢献できます」
このように、自身を採用することでその事務所にどのようなメリットをもたらすかを伝えましょう。
それが応募先の社労士事務所のニーズにうまくマッチすれば、迎えられる可能性があります。
「副業」でのサポートを申し出てみる
「社労士資格があれば実務未経験でもOK」という条件の求人の場合、採用ポジションは「アシスタント」であるケースが多いかと思います。その場合、事務所側にとって、「30代後半男性をフルタイムで正規雇用」は想定外である可能性が高いでしょう。
そこで、「副業としてサポートさせてもらえないか」という交渉をしてみてはいかがでしょうか。「その方法もアリだな」と、受け入れてもらえるかもしれません。
なお、近年、副業希望者と副業者を活用したい法人のマッチングサービスも多数提供されています。
そうしたサービスを活用し、社労士の資格を活かせる副業を探すのも一つの手です。
副業であっても「実務経験」を積めば、経験者対象の求人に応募することが可能になります。
「事業会社の人事部門」への転職を目指すなら
次に、「事業会社の人事部門」へ転職する方法を探ってみましょう。
昨今の転職市場において、企業の人事部門における採用ニーズは「採用担当」「制度企画担当」が中心。社労士資格を活かせるのは「労務担当」ですが、労務の求人は限られており、しかも実務経験者を対象とするものがほとんどです。
しかし、次のステップを踏めばチャンスをつかめるかもしれません。
現在勤務する会社で「採用」の実務を経験する
↓
「採用の実務経験」+「社労士資格」を武器に、採用担当の求人に応募
↓
入社後、採用担当からスタート。社労士資格を活かして労務へも担当範囲を広げる
↓
労務経験を積み、自社内あるいは転職によって労務のスペシャリストへとシフトする
今は採用難の時代。そこで、全社一丸となって採用活動にあたる企業が増えています。
つまり、「採用」を人事部門のみで行うのではなく、事業部のメンバーが積極的に関わるようになっているのです。
最近は『ビズリーチ』などに登録している人材に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」も活発化しており、その役割を事業部門内の採用担当者が担うケースが見られます。
もし可能であれば、現職で「採用担当」を自ら買って出て、採用業務の実務経験を積んではいかがでしょうか。
「採用担当者」の求人は多数あるため、応募して「採用の経験があります。社労士資格も持っているので労務担当も兼務できます」とアピールすれば、「幅広い業務を担ってほしい」と考えるスタートアップやベンチャー企業などであれば、門戸が開かれるかもしれません。
このように、一足飛びに「社労士として転職」を目指すだけでなく、可能なところから少しずつ経験を積んで、目標に近づいていってください。
Aさんの希望に沿うキャリアチェンジが実現することをお祈りしています。
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森本千賀子:獨協大学外国語学部卒業後、リクルート人材センター(現リクルートキャリア)入社。転職エージェントとして幅広い企業に対し人材戦略コンサルティング、採用支援サポートを手がけ実績多数。リクルート在籍時に、個人事業主としてまた2017年3月には株式会社morichを設立し複業を実践。現在も、NPOの理事や社外取締役、顧問など10数枚の名刺を持ちながらパラレルキャリアを体現。2012年NHK「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」に出演。『成功する転職』『無敵の転職』など著書多数。2男の母の顔も持つ。
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