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概要:急ピッチな円安進行が政府の物価抑制策に水を差すおそれが出てきた。円安は輸出や対日消費を通じメリットが得られる半面、家計や中小企業への負担が膨らみやすい。政府内の懸念は現時点で昨年ほどは高まってないが、夏場の状況次第では原油高に伴う軽減措置が9月末に切れるのを前に、追加策を求める声が出てきそうだ。
[東京 3日 ロイター] - 急ピッチな円安進行が政府の物価抑制策に水を差すおそれが出てきた。円安は輸出や対日消費を通じメリットが得られる半面、家計や中小企業への負担が膨らみやすい。政府内の懸念は現時点で昨年ほどは高まってないが、夏場の状況次第では原油高に伴う軽減措置が9月末に切れるのを前に、追加策を求める声が出てきそうだ。
急ピッチな円安進行が政府の物価抑制策に水を差すおそれが出てきた。写真は円とドル紙幣。2017年6月撮影(2023年 ロイター/Thomas White)
<「控え目」な警戒感>
「足元で政策課題になっているのは物価高騰対策。そうした政策課題にとって(円安は)良くない」。鈴木俊一財務相は6月30日の閣議後会見で、円安には「メリット・デメリットがあり、一概に決めつけることは出来ない」と断ったうえで、マイナス面にこう言及した。
もっとも2022年4月に「悪い円安と言える」と当時の円安を表現したのに比べれば、円安けん制の語気は弱い。企業業績や所得の伸びを背景に22年度税収が71兆円超と、過去最高を更新する見込みとなったほか、活況な対日消費の現状を踏まえれば、円安には経済全体へのプラス効果も大きい。
「状況は注視して常に気にかけているが、昨年から今年にかけて電気代やガス代が上昇し、円安に大騒ぎしていた当時に比べれば、鬼気迫る雰囲気にはなっていない」と、首相周辺の1人は言う。
9月末には原油価格高騰に伴う家計負担や、経済活動への影響を抑えるために導入した負担軽減策が切れるが、延長するかどうかを巡って別の政府関係者は「為替もどう転ぶかわからない。決め打ちできる状況ではない」と話す。
<見通せない円安反転>
とはいえ日米金利差を主因とする円安基調に反転の兆しは見えず、今後円安のピッチが収まらないようだと家計負担の軽減を求める声も出そうだ。
7月下旬には米連邦公開市場委員会(FOMC)と、日銀の金融政策決定会合が重なる。市場には「ドル高(円安)が収まるには(米国の)利上げの打ち止めが不可避。日米金利差が引き続き意識され、少なくともジャクソンホールが予定される8月末まではドル高に振れやすい」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミスト)との声がある。
例年8月に政策当局者や経済学者が会するジャクソンホールでのシンポジウムで米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は昨年、インフレ抑制への強い決意を表明した。
「国際的なエネルギー価格は昨年に比べれば落ち着きを取り戻しているが、引き続き(米国から)インフレに対処する姿勢が示され、円安が物価高を助長するような状況になれば政治サイドから対策拡充を求める声が強まりそうだ」と、ニッセイ基礎研の上野氏は言う。
<夏場の市況みて判断>
政府が、昨年7月に閣議了解した23年度予算の概算要求基準では、与党からの要望を反映させる形で物価高対策などの重要政策に加えて「為替変動への適切な対応」に予算付けすることを盛り込んだ。
円安対応を含む今後の物価高対策の是非について、前出の政府関係者は「夏場の市況を見極めてからの判断」と語る。今のところは事態を見守るスタンスを崩していないが、今度の状況次第で追加策を講じる可能性には含みがある。
専門家からは「円安のデメリットとなる家計負担の増加に対処する必要があるとなれば23年度予備費からの追加歳出が想定される」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との声が聞かれる。
円安を逆手にとって生産拠点の国内誘致を進め、内需拡大につなげれば景気回復の道筋も付けやすい。宮前氏は「円安のデメリットを和らげる一方、海外からの工場誘致などで円安メリットを膨らませるような対策も必要」としている。
(山口貴也、杉山健太郎 編集:石田仁志)
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