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概要:IPO市場は2020年から2021年にかけて大いに盛り上がった後、長く低迷しています。ゴールドマン・サックスのデビッド・コスティンCIO(最高投資責任者)が、成功するIPOの2つの要素と、取引初日に大きく上昇する銘柄を見分ける方法を解説します。
IPO市場は明らかに弱気。だがこの先のIPOは強気の復活を意味するかもしれない。
IPO(新規株式公開)市場は新型コロナウイルス感染拡大後、大いに盛り上がった。市場は投資先を求める資本で溢れ、投資家のセンチメント(心理)は高揚し、新規上場を目指す企業が次々と現れた。ゴールドマン・サックスによると、2020年〜2021年にかけて400件以上のIPOが行われ、SPAC上場(特別目的買収会社との合併による上場)も810件あった。
だがその後、金利上昇によって資金は干上がり、センチメントは低下し、SPACは勢いを失った。ゴールドマン・サックスのデータを見ると、過去21カ月でIPOはわずか32件のみだ。
2500万ドル以上を調達したIPOの件数(SPACは除く)。
しかし今、ようやく長く厳しい冬を抜け、IPO市場は雪解けを迎えている。同行チーフ・インベストメント・オフィサー(CIO)のデビッド・コスティン(David Kostin)氏はクライアント向け文書に、IPOを成功に導くマクロ経済環境が復活し始めたと記し、先日のアーム(Arm)とインスタカート(Instacart)のIPO成功に、多くのIPOが続くだろうと指摘した。
食品宅配のインスタカート上場。20回の起業失敗で成功つかんだ創業者、晴れ舞台当日に会社を去る
ゴールドマン・サックス IPO発行バロメーター
Goldman Sachs
だが、数が良い結果につながるとは限らない。投資家は、上場初日の株価からそれほど上昇しない過大評価されたIPOと、質の高い投資を区別することに関して、これまで以上に賢くなる必要がある。
取引初日に上昇するIPOを見抜く方法
2020〜2021年のIPO全盛期を懐かしく思うかもしれないが、実は当時上場した企業への投資は、必ずしも高いリターンにつながっていない。
「実際、2020〜21年にかけてのIPOは、過去と比較するとひどいパフォーマンスだった」
「2020〜21年に完了したIPOの中央値は、IPO後の最初の12カ月でラッセル3000を48pp(パーセントポイント)下回り(1995年以降に完了したのすべてのIPOの中央値はマイナス20pp)、ラッセル3000を上回ったのは、わずか18%のみ(1995年以降では35%)」
取引初日から12カ月でのIPOのリターン(中央値)とラッセル3000の比較
Goldman Sachs
コスティン氏は、この数年間に上場した企業は、必ずしも悪い投資先だったわけではないと続ける。この時期、当初は金利が低下し、未公開企業は株式公開を目指した。しかしその後、金利が上昇すると、企業は数値の悪化、バリュエーションの低下、株価の下落に直面し、厳しい状況に置かれた。
しかし、最近上場したIPO銘柄のほとんどは、上場初日に大きく高騰していたことを考えると、その後の業績があまり良くなかったことを忘れてしまったとしても仕方ないだろう。
コスティン氏によると、2020〜2021年にかけて上場した銘柄は、初日に全般的に15%上昇した。一方、1995〜2019年にかけて上場した銘柄は、初日に10%しか上昇しなかった。
そして、初日に大きく上昇した銘柄は、その後も数カ月にわたって上昇する傾向があることが判明した。
「取引初日に50%以上上昇したIPO銘柄は、その後3カ月間に概ねさらに5%上昇した。一方、初日の上昇が50%以下だった銘柄は、わずか1%の上昇にとどまった」
「初日に下落したIPO銘柄は、その後の3カ月に概ねさらに4%下落している」
では、取引初日に大きく上昇するIPO銘柄を見抜くにはどうすればいいだろうか?
答えは、想定される値付けのレンジ(想定発行価格や仮条件)に注目することだ。
「1995年以降、このレンジを上回る公募価格のIPOは、初取引日に概ね38%上昇している」とコスティン氏。この傾向は近年、さらに強まっている。2020年以降、このレンジを上回る公募価格のIPOは、取引初日に43%上昇した。
レンジを上回る公募価格となったIPOは取引初日に大きく上昇する傾向がある。
Goldman Sachs
しかし、コスティン氏は次のようにも続ける。
「IPO直後のパフォーマンスは、長期的なリターンの強力なサインではない」
IPOを良い投資にする2つの要因
初日の波に乗ると気分はいいかもしれないが、その後の数カ月で下落してしまっては嬉しいわけがない。では、時間の試練に耐えるIPO銘柄を見抜くにはどうすればいいのだろうか?
25年間にわたって5000のIPO銘柄を分析した結果、答えは2つの重要な要素にあるとコスティン氏は述べている。売上の伸びと収益性だ。
「ほとんどのIPO銘柄が冴えないパフォーマンスとなる一方で、優れたパフォーマンスをあげる銘柄には2つの特徴がある。上場後2年目と3年目の売上成長率が40%を超えていることと、8回目の四半期決算までに純利益が黒字になっていることだ」
「こうした特徴を備えたIPO銘柄の3分の2は最初の3年間でラッセル3000を上回り、典型的な企業は22pp上回った」
売上の成長と収益性はIPO成功の鍵
Goldman Sachs
コスティン氏によれば、2020年と2021年の金融緩和政策が、このチャンスを生かしたいと考えた企業によるIPOに拍車をかけたが、そうした企業は売上の伸びが小さく、収益性が低かった。つまり、上場後すぐに株価が低迷してしまっても無理もないというわけだ。
コスティン氏は、新規上場企業にとっては特に収益性がすぐに重要になると指摘する。
「今後のIPOでは、収益性が特に重要になるだろう。資本市場が2年近く機能していなかったため、収益性の低い企業はキャッシュ残高を減らすことで事業資金を調達せざるを得なかった」
「この経験から、投資家は今の収益性が高い銘柄を選んでいる」
またコスティン氏は、バリュエーションが高いIPO銘柄には慎重にアプローチするよう投資家に警告している。2020年から2021年にかけて、初値対NTM(Next Twelve Months:12カ月先)売上高比率が15を超えたIPOで、上場後2年間にラッセル3000を上回った企業は1つもなかった。
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