ドイツ銀出身の２人がタッグ、ディストレスト債ヘッジファンド発足へ

アリノール・キャピタル、５億ドル以上を調達して稼働する可能性

• ドイツ銀のディストレスト事業支えた２人がファンド運営へ

ディストレスト債のスペシャリストであるマイケル・サットン氏がドイツ銀行の元同僚と手を組み、欧州で今年最大級のヘッジファンドを稼働させる。

ドイツ銀に約20年にわたって勤務し、退社の見通しが最近浮上していたサットン氏は、アレックス・マーラー氏が設立したアリノール・キャピタル・マネジメントに加わる。英国の法人登記文書で明らかになった。非公表の情報だとして匿名を要請した関係者によると、アリノールは少なくとも資産５億ドル（約740億円）でスタートする公算が大きい。

マーラー氏が７月に設立したアリノールは、経営難の企業に関連する債券に焦点を合わせる。金利急上昇で、資金繰りが厳しくなっている機会を生かす。

投資家の資金が大手に向かう中で個人が率いるヘッジファンドの資金調達環境は厳しく、両氏による順調なファンド発足見通しは際立つ。

マーラー氏とサットン氏は、ブルームバーグ・ニュースによる再三のコメント要請に応じなかった。リンクトインと公表済みの文書によると、マーラー氏はアリノール立ち上げのため今年に入ってドイツ銀を退社した。ドイツ銀の広報担当者はコメントを控えた。

２人はドイツ銀の欧州ディストレスト・プロダクツ・グループ事業の運営を支えていた。同事業は高リスク企業に関連した融資や債券で利益を上げることを目指しており、サットン氏は欧州ディストレスト事業のクレジット・法的分析担当責任者を務めていた。ドイツ銀はここ数年、大胆なディストレスト債投資で顕著な成功を幾つか収めている。

実績のある個人が率いるヘッジファンドの一部は顧客の支持を得ることに成功しており、多様で安定したリターンを実現するため複数のトレーディング戦略を組み合わせることに注力するファンドが特に好まれている。

ただ、ヘッジファンド・リサーチがまとめたデータによると、過去５年間で閉鎖となったヘッジファンドは2500を超え、新たに発足したファンドの数を上回る。ディストレスト債ファンドは今年１－７月に27億ドルの資金流出となっていると、イーベストメントのデータが示した。