シェブロン､ヘスを530億ドルで買収へ－新興産油国ガイアナに足がかり

米石油業界は大型買収相次ぐ、数週前にはエクソンがパイオニア買収

• 買収は全額株式交換、ヘス株主はシェブロンの1.025株受け取る

米石油大手シェブロンが同業のヘスを530億ドル（約７兆9500億円）で買収することに合意した。化石燃料の時代はまだ続くと見込み、生産拡大に注力する。

23日の発表文によれば、買収は全額を株式交換で行い、シェブロンはヘスの１株に対し171ドル相当の株式を支払う。過去20営業日の平均株価に約10％を上乗せした格好で、ヘスの株主は１株当たりシェブロンの1.025株を受け取る。ヘスの企業価値は負債含め600億ドルと評価されたことになる。

シェブロンはヘス買収によって、新たな有力産油国の一つと見られる南米のガイアナに大きな足がかりを得る。発表文によると、生産加速や株主へのリターン増加も実現できるという。

米国時間23日早朝の通常取引開始前の時間外取引で、シェブロン株は一時3.9％下落。ヘス株は0.6％上昇している。

米石油業界の大型買収は、ここ数週間で２件目。エクソンモービルはシェール大手のパイオニア・ナチュラル・リソーシズを580億ドルで買収することで合意した。世界が今後数十年間に使用するエネルギーのうち、石油・ガスが依然としてその中心であり続けるとの見方を反映している。

今回の買収で、米石油メジャーは世界の業界トップの地位を固める。ロシアのウクライナ侵攻以来、欧州のエネルギー企業は低炭素エネルギーから化石燃料に重点を移すことで投資家の支持をある程度取り戻したが、エクソンとシェブロンの株価評価には依然遠く及ばない。

米メジャーと欧州競合とのバリュエーションには大きな開きがある

出所：ブルームバーグのデータから

発表文によると、シェブロンはヘス買収で110億バレル超に上るガイアナの可採埋蔵量のうち、30％の権益を得る。バッケン・シェール層とメキシコ湾の資産もポートフォリオに加える。