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概要:米連邦準備制度は利上げを休止できると考えている。既に実施した金融引き締めの効果が次第に表れて景気を減速させ、インフレ率を物価目標の2%に再び押し下げるまで、のんびり待っていれば十分とみているようだ。
2023年11月2日 13:00 JST
経済のスラックがインフレ押し下げに十分と全く確信が持てない
米景気の強さは中立金利が上昇しているという見方を裏付ける
米連邦準備制度は利上げを休止できると考えている。既に実施した金融引き締めの効果が次第に表れて景気を減速させ、インフレ率を物価目標の2%に再び押し下げるまで、のんびり待っていれば十分とみているようだ。
しかし彼らは大きな間違いを犯している恐れがある。
連邦準備制度当局者らは政策金利を据え置く論拠として、さまざまな主張が可能だ。労働市場の均衡回復とインフレ抑制でかなりの進展が見られ、金融政策は景気抑制的な設定に達した。過去の利上げの十分な効果はまだ実感されておらず、債券利回りの最近の上昇は金融情勢を引き締める方向に働き、短期金利をさらに引き上げる必要をなくす。
だが、この考え方には四つの致命的な欠陥がありそうだ。
第一にバランスが改善されたとはいえ、労働市場は2%の物価目標を達成するには、なお過度に逼迫(ひっぱく)している。非農業部門雇用者数は毎月27万5000人程度と、労働力の持続可能な伸びをはるかにしのぐ増加が続く。失業労働者数に対する求人数の割合も1.5倍と、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が適切と考える1対1を優に上回る。賃金インフレ率も4%を超える水準にとどまり、2%という全体のインフレ率と整合的でない。
2番目に経済パフォーマンスは金融政策が十分に景気抑制的でない状況を強く示唆する。今年7-9月(第3四半期)の米実質GDP(国内総生産)は前期比年率4.9%増加した。20年間の平均(2.1%)と比べるとハイペースな成長だ。10-12月(第4四半期)に成長率が急減速しても、経済のスラック(たるみ)がインフレ押し下げに十分と全く確信が持てない。
3番目に金融政策の効果は、従来と同じタイムラグを伴って表れるわけではない。連邦準備制度当局者の金融政策に関する透明性がはるかに増したため、短期金利の変化を先取りし、金融情勢はこれまでより素早く動く。
最後に長期金利上昇が追加の金融引き締めの代わりになるという見解は、長期金利が高くなった理由に大いに依存する。債券投資家は単に年限が長いほどより高い利回りを要求している(つまりタームプレミアムが高くなった)とパウエルFRB議長やダラス連銀のローガン総裁は確信しているようだ。これは短期金利を比較的低く保つことを正当化するだろう。
しかしながら債券利回り上昇は、その水準を上回れば金融政策が景気抑制的になる「中立的」フェデラルファンド(FF)金利がより高くなった現状、あるいはインフレ期待の高まりを反映しているかもしれない。どの説明が正しいか識別は難しい。それでも景気の強さは中立金利が上昇しているという見方を裏付ける。
連邦準備制度当局者らは、インフレ率の2%への押し下げとリセッション(景気後退)回避という二つの目標を達成しようとしており、このため政策ミスのリスクが生じる。インフレ率を比較的速く2%まで押し下げるほど金融政策の引き締めが十分でなければ、インフレ期待が上向き、インフレ調整後の実質金利が低下する恐れがある。その場合、連邦準備制度ははるかに積極的にインフレ抑制に動く必要に迫られ、その過程で景気への打撃は一層大きくなるだろう。
1970年代にインフレが制御不能になることを許したバーンズFRB議長(当時)のミスを取り消すため、後任のポール・ボルカー氏は、80年代に米経済を深刻なリセッションに追い込む荒療治を余儀なくされた。パウエル氏はその歴史を十分認識しているが、同じ轍(てつ)を踏む危険を冒している。
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