米株に漂い始めた高揚感、個人投資家の楽観強まる－利上げ終了観測で

2023年11月14日 3:36 JST

米国株式市場が急ピッチの回復を見せる中、市場では高揚感が漂い始めている。

米個人投資家協会（ＡＡＩＩ）の調査によると、株式市場に対して楽観的との回答が75％増える一方、悲観的との回答は急減した。ＡＡＩＩの「ブル・ベア」スプレッドは41ポイント跳ね上がり、前週比の上昇幅としては2009年初頭以来の大きさとなった。

個人投資家のセンチメントが大きく改善している背景には、Ｓ＆Ｐ500種株価指数が10営業日のうち９日で上昇していることがある。ここまでの一貫した値上がりは今世紀に入り全体の１％足らずで、前回は2021年秋だった。ナスダック100指数も11営業日中10日で上昇。ＮＹＦＡＮＧプラス・インデックスは月初来で10％の値上がりだ。

政策金利がピークに達し、数十年ぶりの積極的な金融引き締めが終わりに近づいているとの観測が地合いを明るくしている。

ただ、過去の事例に照らし合わせると、市場が急激に熱狂した後にはＳ＆Ｐ500種が下落する傾向にある。ブル・ベア・スプレッドの前週比の上昇幅が先週のように過去の観測値の上位１パーセンタイルに達すると、Ｓ＆Ｐ500種はその後３カ月と６カ月で平均２％余り下落、その後１年では4.1％下落した。ビスポーク・インベストメント・グループが分析した。

バンク・オブ・アメリカ（ＢｏｆＡ）のストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、国債利回りの低下期待を背景に、過去３カ月にわたって株式市場に広がっていた警戒感は「年末の強欲」に変わってしまったと指摘した。

「年末の強欲」に米株市場は一変、国債利回り低下に誘われ－ＢｏｆＡ

一方、ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト陣は、Ｓ＆Ｐ500種が弱含めば押し目買いの好機だと指摘する。Ｓ＆Ｐ500種構成銘柄の利益サイクルの動向を追跡する同行の先行指標が、2024年１－３月（１四半期）を通じて上向きの勢いが続くことを示唆しているという。押し目ではテクノロジー、資本財、エネルギー銘柄が狙い目だと述べている。