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概要:欧州中央銀行(ECB)が保有債券の償還金再投資を段階的に終了させるための時間は限られつつある。
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2023年12月12日 15:32 JST
PEPP資産の再投資、当局者は早期終了を検討中
インフレ率低下の加速で利下げ観測が強まる
欧州中央銀行(ECB)が保有債券の償還金再投資を段階的に終了させるための時間は限られつつある。
インフレ率が急低下していることから、早ければ来年3月にも利下げがあるとの見方が強まっている。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下で購入された債券1兆7000億ユーロ(約266兆円)のロールオフ(償還に伴う保有圧縮)開始予定の時期より、かなり前になる。
スケジュールに変更がなければ、PEPP債再投資の終了(量的引き締め=QT)が利下げサイクルの真っただ中にやってくることになる。このような政策の矛盾を避け、ECBの目標が投資家にとって不透明になることを避けるため、政策委員会の複数のメンバーは、より早い再投資終了を望んでいる。
ECB政策委員会が今週開く2023年最後の会合で、この問題が取り上げられるかもしれない。
ABNアムロのマクロ調査責任者ニック・コーニス氏は「PEPPが導入された目的、つまり新型コロナウイルス流行による経済的影響を和らげるという純粋な観点に立てば、PEPPを存続させる意味はない」と指摘する一方で、「同時に、柔軟な再投資は、われわれが直面している課題を考える上で、有効な手段だ」とも述べた。
ゴールドマン・サックス・グループのヤリ・ステーン氏、バークレイズのマリアーノ・セナ氏、ソシエテ・ジェネラルのアナトリー・アネンコフ氏らエコノミストは、ECBがPEPPからの離脱を加速させると予測している。
ECBは来年1-3月(第1四半期)末ごろから再投資を縮小すると14日に発表する可能性があり、次回の来年1月会合時にそのプロセスの詳細が公表されるかもしれない。UBSなどはこれによって市場が混乱することはないとみている。
ECBは4-6月に満期を迎える債券の償還金の約半分のみをロールオーバーし、7月以降は再投資を完全に中止することができる。これは現在示されている予定より半年前倒しになる。
このスケジュールであれば、PEPPの最も重要な特徴の一つである、ユーロ圏債券市場の一部のストレスを緩和する柔軟な再投資が、各国政府が一般的に国債発行を急ぐ年初の時期にも継続されることになる。
また、ブルームバーグが調査したエコノミストの金利見通しともほぼ一致する。エコノミストは24年に3回実施される0.25ポイント利下げのうち、最初の1回が6月に実施されると予測している。
クノット・オランダ中銀総裁は今年9月、QTを加速させると同時に借り入れコストを引き下げることは避けたいと述べていた。
「保有債券のロールオフプロセスは、事前に十分に準備され、発表されることが非常に重要だ」と主張し、このプロセスを開始したりQTの強化を発表したりすることは「われわれが伝えようとしている主要な金融政策の方向と相反することになりかねない」と論じた。
25年後半までには2%のインフレ目標が達成されるかもしれないという期待と、ユーロ圏経済の緩やかなリセッション(景気後退)見通しが、PEPPを巡る今週の舞台を整えた。
カミーユ・ド・クールセル氏らBNPパリバのストラテジストはリポートで、「ECBは今週、再投資の終了に向けた議論を正式に開始するだろう」と顧客に伝えている。
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