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概要:ある指標によると、アメリカ経済に景気後退が迫っています。しかし、パイパー・サンドラーのカントロウィッツ氏は、たとえそうであったとしても、株価はまだ上昇するはずだと話しています。
国債のイールドカーブや全米産業審議会の景気先行指数といった、よく知られている景気後退指標は、1年以上も景気低迷の兆候を示してきた。
先週、あまり知られていないものの、同じように素晴らしい実績を持つ指標もまた、アメリカ経済の前途に問題があると警告し、それらの指標に仲間入りした。
多くの投資家は景気後退を察知することはない…今回のように複数のシグナルが点灯したとしても
5月3日にアメリカ労働統計局から4月の雇用統計が発表され、投資会社パイパー・サンドラー(Piper Sandler)の景気後退指標である失業者の前年同月比変化率の3カ月移動平均が、過去11回の景気低迷時と同様に10%のしきい値を超えた。
失業者の前年同月比変化率の3カ月移動平均が10%を超えた。
この指標は「サーム・ルール」に似ている。サーム・ルールとは、失業率の3カ月移動平均が12カ月以内に0.5%上昇した場合、すぐに景気後退がやってくるというものだ。失業率は上昇傾向にあり、この指標は現在0.37%となっている。
パイパー・サンドラーの最高投資ストラテジスト兼ポートフォリオ戦略責任者のマイケル・カントロウィッツ(Michael Kantrowitz)氏は、5月6日の顧客向けノートの中で、どちらの指標も歴史的に正しいが、自社の法則は失業率上昇の原因になりうる労働参加率の影響を受けないという利点があると述べた。
青線がサーム・ルール指標。
St. Louis Fed
上のパイパー・サンドラーの図から明らかなように、我々はすでに景気後退の最中にいる可能性がある。パイパー・サンドラーの分析によると、同社の指標は通常、景気後退の実際の開始日から遅れて行われる全米経済研究所(NBER)による景気後退の発表よりも、約4カ月先行しているという。
多くの労働市場の指標もまた、さらなる景気後退が近づきつつある可能性があることを示しているとカントロウィッツ氏は述べた。例えば、全米独立企業連盟(NFIB)による雇用計画に関する調査データは、失業給付の申請数が増えていることを示している。
失業給付申請数とNFIBの雇用計画。
Piper Sandler
しかし、カントロウィッツ氏は、データは一見すると悲観的ではあるものの、今は景気後退だと言うつもりはなく、投資家が景気低迷を懸念する必要が生じるまでには「十分」な時間があると述べた。
また、労働市場や業績がより大幅に悪化するまでは、株価はさらに上昇する可能性が高く、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが短期的に市場を押し上げるだろうと語った。
「これは、景気後退を判断するのではなく、拡大しつつある景気減速の証拠に対して、債券市場と株式市場がどのように反応するかを考えることだ」とカントロウィッツ氏はノートで述べている。
2023年10月以来、我々がテーブルを叩いて主張してきた通り、利下げにつながるものは何であれ株式にとっては強気材料になる。
2001年と2008年はFRBの利下げは株価の助けにはならなかった。それは、株価は金利と正の相関関係にあったからだとカントロウィッツ氏は言う。だが、今回のサイクルはむしろ、債券利回りとの負の相関関係によって株価が上昇した1970年代から1990年代の利下げに似ていると彼は言う。
S&P500と10年物米国債利回りの相関関係。
Piper Sandler
「金利が下がり始めた時に株価が底を打った景気後退は5回(1969年、73年、80年、81年、90年)あった。これは、金利低下が株価上昇にほとんど寄与しなかった(金利と株価が同時に下落した)2001年および07年とは対照的だ」とカントロウィッツ氏は述べている。
現在の相関関係は、たとえ景気後退に入ったとしても、金利が下がれば株価は持ち直すということを示している。
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