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概要:日本の婚姻件数は1972年をピークに減少傾向。コロナ禍の影響もあって2020年は戦後最悪レベルになると言われているが、「原因はそれだけではない」と入山先生。他にどんな要因が考えられるのだろうか?
BIJ編集部・常盤
コロナ禍以降、「産み控え」という言葉を耳にします。コロナの流行中に子どもを産むのは不安だという人たちが出産を先延ばしにすることだそうですが、それ以前に婚姻件数そのものが減っているのだとか。
そもそも外出をしないので、パートナーと出会いにくいのかもしれませんね。入山先生はどのようにお考えですか?
実は、早稲田大学院ビジネススクール(社会人大学院)で僕のゼミ生だった男性も2020年に結婚式を挙げる予定でしたが、「密」を避けるために挙式を延期しました。残念ですよね……。ただ今回常盤さんが挙げてくれたデータは、結婚式というよりも、婚姻数そのものが減っているということですよね。
この背景には、まずはコロナによって新たな出会いや交際を深める機会が減っていることがあるのかもしれません。もちろんカジュアルな出会いはオンライン上でもできるでしょうが、結婚となると、普通は対面で何度も会って、共感と信頼を深めないといけませんからね。
しかし、僕はいま結婚が減っている原因はそれだけではないかもしれない、と考えています。それは、この連載の第36回でも別の角度から触れましたが、日本は離婚のハードルが高すぎることではないでしょうか。「離婚しづらいので、結婚もしづらい」ということです。
そこで今回はこれを、経営理論を思考の軸として解説してみましょう。
挑戦を妨げる「撤退コスト」
経営学には、「リアルオプション理論」というものがあります。詳しくは『世界標準の経営理論』をお読みいただきたいのですが、直感的に言えば「不確実性の高い事業環境下では、柔軟な投資戦略をとれる仕組みがあることが、潜在的な事業価値を高める」というものです。
と言っても何のことか分かりにくいので、もう少し具体的に説明します。オプションにはいくつか種類があるのですが、今回のテーマで重要なのは「撤退オプション」と呼ばれるものです。
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