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概要:国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の開催期間を含めたここ数週間、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のフェイスブック(FB)で、気候変動に関する間違った、あるいは誤解を招く主張を展開する広告が流されていた。
ロイター編集
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[18日 ロイター] - 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の開催期間を含めたここ数週間、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のフェイスブック(FB)で、気候変動に関する間違った、あるいは誤解を招く主張を展開する広告が流されていた。
11月18日、COP26の開催期間を含めたここ数週間、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のフェイスブック(FB)で、気候変動に関する間違った、あるいは誤解を招く主張を展開する広告が流されていた。写真はフェイスブックとメタのロゴ。10月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)
FB(メタに改名)の国際問題担当バイスプレジデント、ニック・クレッグ氏がCOP26の開幕に合わせてブログで懸命に気候変動を巡る同社の偽情報対応をアピール。その数日後には、保守系メディアのニュースマックスがFBに、人類が地球温暖化を引き起こしたという話は「でっち上げ」と呼ぶ広告を掲載した。
この広告はさまざまな形式で流布され、視聴件数は20万件を突破した。また、保守系論客のキャンディス・オーウェンズ氏が気候科学について「われわれは新しい強権的な政府をただ信じるのが、まるで当たり前のようだ」と疑問をぶつける投稿を行った。
このほか、個人の自由を何よりも大切にするリバタリアニズムを掲げるある米シンクタンクは、気候変動問題で「終末論者」たちが、何十年にもわたって事実と違う予測をしてきたと批判する広告を打った。
ニュースマックス、オーウェンズ氏は、いずれもコメント要請に応じていない。
現在、FBには気候変動の偽情報に関する広告や投稿を特別に取り締まる規定はない。一方で、米アルファベット子会社、グーグルは先月、気候変動で科学的なコンセンサスに反するような広告は今後、動画投稿サイトのユーチューブなどに掲載できなくすると表明している。
FBは、投稿全般における偽情報ついても、新型コロナウイルスを巡るものなどのように、その内容が現実社会に差し迫った弊害をもたらすと判断しない限り、削除はしていない。
ただ、第三者の事実確認に基づいて投稿内容を「間違い」と評価する仕組みはあり、間違いと認定された主張を含む広告掲載も禁じている。
また、繰り返し偽情報を投稿する広告主は、FBでの広告活動を制限される。政治家の広告は事実確認の対象には入らない。
気候変動の偽情報を後押ししていたかどうか聞かれたFBの広報担当者は、声明で「これらの広告は多くのプラットフォームで流れているが、FBは広告公表から最長で7年間、当社の『アド・ライブラリー』で一般の閲覧ができるようにすることを求めており、一段高い透明性を提供している」と述べた。
COP26に関して複数のメディアやシンクタンクから誤解を招く広告が、FBで流れていたことを突き止めた英シンクタンク、インフルエンスマップによると、化石燃料業界や彼らのロビー団体もCOP26の期間中に57万4000ドルを費やしてFBに政治・社会問題の広告を掲載していた。
こうした広告の表示件数は2200万件を超え、中にはインフルエンスマップが「グリーンウォッシング(うわべだけ環境保護に熱心に見せる行為)」とみなす取り組みの宣伝もあった。
例えば、米国石油協会(API)は、気候変動対策に努力していると訴える広告で自然風景の映像を利用。BP(旧社名:ブリティッシュ・ペトロリアム)アメリカの広告は、明るい緑色の文字で同社が環境にやさしい政策を支持していることを詳しく説明している。
ただ、FBは気候変動に関する投稿について、ユーザーに「気候科学センター」と呼ぶ場所で事実かどうかを確認したり、疑問を解決したりするよう「お知らせ」を流す対策を始めた。同センターには1日当たり10万人以上の訪問があるという。
FBのマイク・シュローファー最高技術責任者は、今週実施されたイベント「ロイター・レスポンシブル・ビジネスUSA2021」で、気候変動対応において同社の取り組みはまだ不十分で、人々からこの問題で偽情報を共有するのでは、との懸念を抱かれていることを認めた。
シュローファー氏は「われわれが、いつも時代の流れに正しく適応していると言うつもりはない。世界の状況とわれわれの役割を継続的に再評価しており、表現の自由を最優先に考えた上で、われわれが防げる弊害が発生すれば介入する」と述べた。
同氏は、なぜFBが気候変動の偽情報を全て禁止しないのかに直接答えなかったものの、FBとしては偽情報で誰かが利益を得るのは望まないと強調した。
<内部からも異論>
気候変動の偽情報や懐疑論に対するFBの姿勢を巡って、従業員の間で論争も起きている。社内のメッセージボードでは、気候変動の偽情報をどう扱うか議論が行われ、1月にはある従業員が「フェイスブックウオッチ(企業や団体の作成動画をチェックできる機能)」で気候変動問題を検索した結果として「明らかな偽情報の表示が目立った」と投稿した。
これらの経緯は、元従業員のフランセス・ホーゲン氏が米証券取引委員会(SEC)と議会向けにまとめた内部告発用文書で分かった。ロイターを含む複数の報道機関は、この文書を読むことができる。
気候変動対策でFBと協力している2人の外部研究者はロイターに、気候変動の偽情報対策を新型コロナウイルス並みに強化してほしいという同社への要望を明かした。
FBにこの対策で助言をしているモナシュ大学の研究員のジョン・クック氏は「同じレベルの緊急性で対処する必要がある」と語り、より危険性があるのは間違いないと警告した。
(Elizabeth Culliford 記者)
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