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概要:ティンバーランド、ザ・ノース・フェイス、シュプリームなどを所有するVFコープは、2022年通年の収益見通しを下方修正したものの、サステナビリティへの取り組みは積極的です。昨年11月に発表されたサステナビリティ・レポートによれば、同社は直線型生産から離れ、循環型に近づく取り組みを行っています。
※この記事は、グローバル視点でウェルネス業界の最新動向をお届けするメディア「Glossy」の記事です。
2022年12月9日にCEOが突然辞任し、その結果2022年通年の収益見通しが下方修正されたにもかかわらず、アパレル企業のVFコープ(VF Corp)はサステナビリティへの取り組みを後退させてはいない。Z世代が主要な購買層となるなか、バリュードリブンで競争力とレレバンスを維持することが同社のブランドにとってこれまで以上に重要になっている。
VFコープは、ティンバーランド(Timberland)、ザ・ノース・フェイス(The North Face)、シュプリーム(Supreme)、VANS(バンズ)を所有している。
VFコープは、11月にサステナビリティ・レポート「Made for Change」をリリースし、2022年は直線型生産から離れて循環型に近づく取り組みを行った。マーケティングやグリーンウォッシュ回避のみにとどまらず、その焦点はオペレーションに置かれている。
サステナビリティの取り組みに資金を提供するため、同グループは2020年に5億ユーロ(約702億円)のグリーンボンドを締結している。この資金は材料調達などの取り組みを支援するもので、グループ全体で2030年までにもっとも使用される9つの材料の100%を、再生可能で責任あるリサイクル資源または再生可能資源から調達することを目標としている。
同社は、全ブランドがこの転換を加速させるために最大限の努力をするよう、事業のさまざまな部分で循環型に取り組んでいる。
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素材開発と再生農業
いまのところ、この業界における素材開発はまだテスト段階だが、循環型ビジネスモデルへの移行には欠かせない要素だ。2021年、VFが購入した綿の79%は、米国、オーストラリア、そして環境または社会のサステナビリティ改善を推進するサードパーティの綿花栽培企業で栽培されたものだった。現在、同社のポリエステルの3分の1以上(36%)がリサイクル素材に由来している。
再生農業は、素材を育てる際に土地の再利用を可能にし、循環型の実現に貢献する。VFはブランドとの協力のもと、世界中で複数の再生農業のパイロットプロジェクトをローンチしており、ウール、コットン、レザー、天然ゴム、サトウキビなど、同社の製品に使用されるいくつかの主要な素材に注力している。VFはブランド間で広範なサプライチェーンを共有しているため、サプライヤーに対してより大きな影響力を行使し、循環型および再生可能な手法への移行を促すことが可能となっている。
トレーサビリティ
VFは、循環型への移行に伴って発生する可能性のある課題をよりよく理解し、不足からブランドを守るため、サプライチェーンのトレーサビリティにも力を入れている。2022年、同社はブランドの最も有名な商品100点のトレーサビリティ・マップを発表、2028年までにVFの主要素材5種をサプライチェーンの100%で追跡可能にすべく取り組んでいる。
VFコーポレーションのグローバル・サステナビリティ・バイスプレジデントのジニー・レネ=マローン氏は、「トレーサビリティ・プログラムから得られたインサイトを活用して、ポジティブな影響を与えられる場所をうまく特定し、そこに努力を集中させることができる」と述べている。
さらに同社は2016年から、サプライチェーンにおける好ましくない化学物質の削減に取り組んできた。ファッションブランドのシーイン(Shein)の衣服にEUの規制値の2倍の化学物質が含まれていると判明し、この問題が最近より広い業界で提起されるようになった。この業界において、化学物質の使用に関する規制はまだ不十分だ。
PRエージェンシーのBPCMでサステナビリティおよびインパクト・グローバルヘッドを務めるフランソワ・スーシェ氏は次のように話す。
「VFコープは、サステナビリティの観点からファッション業界のリーダーとして際立っている。だがパリ協定の野望を完全に満たすには、特にスコープ3排出量を削減し、新製品の製造から収益をさらに切り離す方向に進むよう、同社にはより多くの事柄が求められるだろう」
循環型に関する顧客とのコミュニケーション
VFコープの最大の課題は、サステナビリティと循環型に関して顧客とコミュニケーションをして科学的概念をわかりやすく説明することだった。ティンバーランドのグローバルブランド・プレジデント、スージー・マルダー氏は次のように話す。
「ブランドとして、サステナビリティについて顧客の言葉で伝え、それが自分たちに関係する話だと思ってもらう方法を見つけるのが、私たちの義務だ。現状を打破するには、明確かつシンプルで、そしておそらく楽しい方法で問題を提示し、消費者に参加してもらって、解決策の一部となってもらうしかない」
たとえば、VANSのVR3製品には、VANSのチェッカーボードとVR3の詳細が明確に表示されており、ブランドが全体的なフットプリントを最小限に抑えるために取っているステップを、消費者に明確に理解してもらうことができる。VANSのVR3は、製品の30%が再生可能またはリサイクルされているコレクションだ。
またVFの各ブランドは、ソーシャルメディアにサステナビリティに関する情報を詰め込むのではなく、ブランドのウェブサイトでその概要を提供している。サステナビリティの年次報告書はVFのサイトで入手できる。
2022年に循環型をローンチ
2022年、VFコープは、循環型に焦点を当てたふたつのイニシアチブも生み出した。VANSは、新しいVR3製品ラインを発表している。また、サステナビリティ・ハブ(Sustainability Hub)と呼ばれるラベリング・システムを立ち上げ、今後数年間でさらに広く展開していく予定である。サステナビリティ・ハブは、再生可能な素材、責任を持って調達された素材、リサイクル素材のいずれかまたはそれらを組み合わせた素材が、少なくとも製品の30%以上を占めていることを消費者に示すものだ。
一方、ティンバーランドは2022年1月にティンバーループ(Timberloop)をローンチ、これは米国で開始した引き取りプログラムおよびそれに対応するリセールサイトである。返品された製品は改修され、専用のウェブサイトで販売される。修理が不可能なアイテムは分解され、使用可能な部品を新しい材料にリサイクルされる。
「循環型は、当社の環境サステナビリティ戦略の重要な要素だ」とレネ=マローン氏は言う。「製品をデザインする方法、使用する材料、材料の加工方法、製品の製造や組み立て方法、そして製品のライフサイクル終了後の管理方法などに影響を与える、全社的なアプローチが必要だ」
事業全体で循環型を実現
循環型戦略を確実に成功に導くために、同社のブランド・ポートフォリオのデザイナーは循環型デザインのトレーニングを受けている。さらに同社では、バージン材、非再生可能材、化石資源の投入を最小限に抑え、素材や製品をできるだけ長く再利用し、埋め立て処理される廃棄物を削減している。またサプライヤーに対して、エネルギー効率や再生可能エネルギープロジェクト、工場排水の改善などを特定・実施するための技術的および財政的リソースも提供している。
「サステナビリティ・チームだけがティンバーランドのアジェンダを牽引しているのではないという点を指摘することが重要だ」とマルダー氏は述べた。「サステナビリティは、製品デザイン、従業員エンゲージメント、マーケティング、戦略、そして財務まで、ティンバーランドのすべての部門に織り込まれている」。
ティンバーランドのサステナビリティ・チームは、VFサステナビリティとティンバーランド戦略部門の2つの部署に報告する体制となっている。
2023年の循環型戦略
現在は、2023年に向けて循環型の向上とよりよい素材の使用に注力している。「2023年はVANSにとって大きな年になり、VR3製品コレクションをVANSクラシックス(VANS Classics)を含む複数のフットウェアとアパレルカテゴリーに拡大することを検討している」と、VANSのサステナビリティ・シニアマネージャー、アリーゼ・ラッセル氏は述べた。「また、再生ゴムを始めとして、再生可能な自然素材の採用を開始する予定だ。そして、循環型製品の創造と規模の拡大という2030年の当社の目標達成を助けてくれる、主要なリサイクルパートナーを特定している最中である」。
ティンバーランドのフォーカスは、現在の循環型の取り組みを拡張し、素材を置き換えることだ。「循環型デザインを可能にするだけでなく、2023年には再生可能な天然素材の使用を引き続き増やしていき、最終的には廃棄物と影響を最小限に抑えるだけでなく、私たち全員が依存している土地を実際に回復させることを目指す」とマルダー氏は述べた。「これは非常に高いビジョンだが、私たちがつくるすべての製品で念頭に置いている」。
循環型の重要性を顧客に納得してもらうために、「VFは再生材料の採用によるメリットを従来型と比較してもっと定量化して、その採用の進捗に関する情報を多く提供すべきだ」とスーシェ氏は述べている。「これは、レザーの革新的な人工代替品やプロテインファイバーをテストし、将来的に採用することで補完できるかもしれない」。
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