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概要:BNPL(後払い)サービスは2022年にも急増し続け、前年から新規ユーザーは約2800万人も増加しました。しかし2023年は多少の“成長痛”に見舞われるかもしれません。
Ivy Liu
※この記事は、小売業の変革の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」からの転載です。
BNPL(後払い)サービスは2022年にも急増し続け、前年から新規ユーザーは約2800万人も増加した。
しかし2023年に向けて、数十億ドルの支出を獲得したこの新興産業は、成長に伴う多少の苦痛を経験するだろう。グローバルデータ(Global Data)によれば、この業界は2026年までCAGR(年平均成長率)33.3%で成長し、5967億ドル(約77兆円)規模に達すると予測されているにもかかわらず、アファーム(Affirm)、クラーナ(Klarna)、ジップ(Zip)などの大手業者はいまだ収益性を実現していない。
BNPLサービスは顧客にとってはいまだ魅力的で、買い物への支払いを柔軟に分割払いにすることができ、手数料はプロバイダーによって違うが無料またはわずかな金額だ。インサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)は、BNPLのユーザー数は、2021年の5060万人から2022年には7900万人に増加し、2023年には8820万人と成長は続くが減速するという。
一方で、これらの企業は利益に転じられないながらも多くの収益をあげている。クラーナの第3四半期の収益は、前年同期比22%増の14億ドル(約1810億円)で、営業損失は前四半期比で1億6900万ドル(約218億円)減少した。アファームはユーザー数が前年比で69%増加し、アクティブな顧客数が1470万人に達し、収益は34%増の3億6200万ドル(約467億円)になったが、調整後の営業損失は、1900万ドル(約24億5000万円)にとどまった。同社は、2024年度の初頭までに黒字化をめざすとしている。
しかし、顧客が無理な買い物をする可能性は、特にインフレの圧力と景気後退の可能性のなかで、懸念として残されている。消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau)は、一貫しない消費者保護、データハーベスト、および累積債務を潜在的な危険として指摘している。
いずれにせよ、この新進気鋭の業界は来年、大きく変貌を遂げることになりそうだ。注目すべきいくつかの動向を以下に示す。
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購入カテゴリーの拡大
アパレル、電子機器、家電製品は、BNPLによって消費者の購入を引き寄せることに成功した分野だ。しかし、大手プロバイダーは2023年に向けてより多くの垂直市場を視野に入れており、食料品などの日常的なカテゴリーや、旅行など金額の大きい分野での消費を促進することを狙っている。
アフターペイ(Afterpay)は11月、エクスペディア(Expedia)とのパートナーシップを発表し、これによって顧客は旅行の支払いを最大2000ドル(約25万8000円)まで分割払いにできる。旅行は同社にとって2023年も主要な投資分野であり続けると、同社の北米収益責任者を務めるアレックス・フィッシャー氏は語る。「日常的な」出費についても同様だと、同氏は付け加えている。
「人々が欲しいものだけでなく、必要としているものについて、定期的に取引できるようにすることが、アフターペイとって極めて重要で、このような需要を満たすために当社は総力をつぎ込んでいる」と、同氏は述べている。
アファームの収益担当シニアバイスプレジデントを務めるパット・スー氏は、同ブランドが2023年に「ユビキタス(遍在性)」を実現し、より多くのeコマースブランドで使用可能になることをめざしていると語る。現在、提携する加盟店は前年比150%増の24万5000店舗以上で、ユーザー数は1年間で2倍に増加した。
スー氏は、同社がより優れた顧客体験と柔軟な支払いオプション(たとえば6週間から60カ月の支払い期間)を提供することにより、新たな加盟店を自社ネットワークに引き入れることを目的にしていると語る。また、大型家電量販店で0%の融資で提供し、ブランドが利息を負担するなどブランド独自のプロモーションも計画している。
同氏は、商品のコストが上昇し、ブランドの利ざやが減少する可能性がある時期において、これは特に重要なことであると語っている。
「それを補うために、価格を下げる代わりに融資を行うことで、消費者に手頃な価格を提供し、消費者を変える力を維持することができる」と同氏は述べている。
規制機関の目
CFPB(消費者金融保護局)は9月、BNPL5社を調査した報告書を発表し、2019年から2021年にかけて利用量が10倍増加することを明らかにした。これらのサービスは「クレジットカードとよく似た代替品」だと、CFPBのディレクターを務めるロヒト・チョプラ氏は語る。一方で、同機関はBNPLプロバイダーが消費者の基本的な保護を行うことを保証するために適用可能なガイダンスや規則を識別すると述べている。また、データの取り扱いについても調査し、業界が適切で正確な信用調査方法をどのように策定できるかについても対処すると語っている。
「クレジットカードの貸付残高は約9000億ドル(約116兆円)で、BNPLの貸し付けが急速にシェアを拡大している現状において、CFPBはBNPLが公正で透明性が高く、競合力があるものであことを保証する作業を引き続き続けていく」と、チョプラ氏は述べる。
このサービスの人気にもかかわらず、BNPLについては、このサービスが流行中のオンラインブランドと提携することで、金銭的に余裕のない若い層の利用者をターゲットにしているという批判的な声も聞かれる。また、若い買い物客は支払いの約束を守れるほどの経済的な能力が備わっていないという懸念もある。ジ・アセント(The Ascent)は2022年7月、BNPLユーザーの33%は支払いが遅延するか、延滞料を支払ったことを発見した。しかし、18歳から24歳までの利用者についてはこの割合が48%になることが、調査で判明している。
それでも、表面的には、こうした潜在的な発展を歓迎しているサービスもある。アファームのマックス・レブチン氏は、同社の第1四半期の決算発表で、この報告書によって同社自身のロードマップが変更されることはなく、報告書の作成作業において協力的であると語った。
「おそらく、この覚書においてもっとも興味深く重要なことは、消費者がBNPLローンによって自分たちのクレジット履歴とクレジットスコアを構築するのを支援するよう、業界に呼びかけていることだろう」と、同氏はトランスクリプトにおいて発言している。「我々は、認定された報告機関や、さまざまな業界関係者と密接に協力して、この取り組みを進めている」。
モーニングコンサルト(Morning Consult)と協力している小売およびeコマースアナリストのクレア・タシン氏は、この分野の急速な成長とともに、精密な調査も増えたと語る。しかしそれは、BNPLを告訴するブランドにとって、それは最終的に良いことかもしれない。
「小売業者はここで規制の強化を支持するべきだ。BNPLの貸し手が略奪的業務を行っているという非難を受けるなら、その業者と関係を持っているブランドの評判にも影響する」と、同氏は最近のブログ投稿に記している。
競合と統合
BNPLのブームは、新しい業者を数多くこの分野に引き寄せてきた。銀行はBNPLサービスの自社版を開始し、新興企業はニッチ業界への対応を検討している。しかし、クラーナ、アファーム、ジップなどの大手業者は依然として収益性をめざしている最中だ。
ブランド向け分割払いプランへのホワイトラベル付けを行う企業であるスプリティット(Splitit)のCEOを務めるナンダン・シェス氏は、この分野において統合が起きる可能性を予期している。
「これらの企業が数億ドル、数十億ドルの損失を出し続けるのは許容できないと投資家が感じる時期が来ると考えている。これによって、この分野で多少の統合が起きるだろう」と、同氏は述べる。
同氏は、ブランドに対してBNPLサービスの所有権をより多く保有することを認めることによって、自身の会社がこれらの大手業者の競合相手になると考えている。たとえば、チェックアウト環境にサードパーティーを組み入れる代わりに、顧客には同じブランドの中で金融オプションが提示されることになる。
「2つ、3つ、4つの分割払いプロバイダーがチェックアウト時に存在すると、顧客は混乱し、余計な決断を迫られることになる」と、同氏は述べている。
その結果、小売業者はより多くの「埋め込み型の体験」を求めるようになると、同氏は語る。
「小売業者は、決済業者のブランドではなく、小売業者のブランドが主導的である、ブランド中立的な体験を適用し、推進していくことになる」と、同氏は述べている。
「小売業者は、決済ブランドではなく、加盟店ブランド主導のブランド中立的な体験を強要していくでしょう」とShethは述べています。
アファームのスー氏は、この分野での活動の増加はたしかだが、アファームには「10年先行している強み」があると語る。同社は現在eコマースブランドの約60%、そして、小売業上位10社のうち5社と提携している。
同氏は次のように述べている。「このリードを追い越するのは困難だ。当社は引き続き自社のテクノロジー、商品、ネットワーク、機能、特長、マーケットプレイスへの投資を続け、業界の先端を進み続けることを確信している」。
クレジットカードの代替品としての見方
それに対して消費者は、インフレの厳しさをますます肌で感じつつある。デロイト(Deloitte)の消費者トラッカーは、全世界の成人の42%が、昨年の同時期より経済環境は厳しくなっていると感じていることが示されている。
専門家の中には、このことが、クレジットやBNPLプランの利用など、負債を負うことに関して最悪の事態が生まれる可能性があると予測する。ベリキャスト(Vericast)で国内販売のカテゴリー戦略ディレクターを務めるチップ・ウエスト氏は、BNPLが予算を伸ばしたい人々の選択肢となり、さらに新しい層を呼び込む可能性があると語る。
「インフレの問題点と影響に直面し続ければ、さまざまな世代、たとえばBNPLとはもっとも縁遠かったベビーブーマー世代がBNPLをさらに利用する可能性もある」と、同氏は述べている。
ジ・アセントの2022年7月の調査により、BNPL利用者の45%はBNPLにしない限り予算に収まらないという理由で使用していることがわかった。一方で、BNPLを使用しない人々の44%は、代わりにデビットや現金を使用すると回答していた。
しかし、人々が貯蓄やクレジットカードの利用を増やす可能性がある現在、BNPLプロバイダーが自社のサービスを手数料不能の代替品と位置づけることが可能だ。
アフターペイ(Afterpay)のマーケティング担当バイスプレジデントを務めるナタリー・マグラス氏は、Z世代とミレニアル世代が利率の高いクレジットカードから離れることを「強く望んでおり」、これによってBNPLが魅力的な代替品になっていると語る。
同氏は次のように述べている。「クレジットカードやローンの明細を見れば、利率が急激に上昇していることは明らかだ。自分の資金をより効率的に管理しようとしている人にとって、BNPLはこのような場合のための非常に拡張性の高い商品だ」。
それでも、消費者の債務が15%も増加した時期に、消費者が無理をして支出する可能性は気がかりな動向だと、ウエスト氏は語る。
「これは、消費者が負債を負う方法がほかにもあるということにすぎない。当社はその可能性も間違いなく注視していく」と、同氏は述べている。
対面ショッピングでのBNPL
BNPLを対面の買い物に広げる動きとして、アファームは2022年6月に同社のデビットプラス(Debit+)カードの運用を開始した。このカードは顧客の銀行口座とリンクされ、Visa(ビザ)カードが受け付けられる場所ならどこでも使用でき、100ドル(約1万2900円)を超える買い物の分割払いが可能だ。
スー氏は、このカードの現在までの業績についてのデータを共有していないが、アファームはBNPLをより便利するための方法として、2023年にこのサービスの成長に期待していると語った。
「消費者に親しみやすさを感じさせ、使い方を学び直さなくていいものは常によいものだ」と、同氏は述べている。
アフターペイも、対面でのショッピングの支援に前向きだ。同社はホリデーシーズンに、にぎわったショッピングモールのなかでマーケティングを行って、買い物客をパートナーの店舗に誘導し、そこでBNPLを使用したり、プロモーションコードを入手したりできるようにしたと、同社のマグラス氏は述べている。
「当社は、当社のすべての小売業者と、すべてのパートナーにわたって、このシームレスな顧客体験を作り上げる作業を来年拡大する予定だ」と、同氏は述べている。
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