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概要:[東京 13日 ロイター] - 野村総合研究所の井上哲也・シニア研究員は13日、ロイターとのインタビューで、次期日銀総裁候補の植田和男元日銀審議委員について、政策運営の手法はデータに基づく実証主義的な
[東京 13日 ロイター] - 野村総合研究所の井上哲也・シニア研究員は13日、ロイターとのインタビューで、次期日銀総裁候補の植田和男元日銀審議委員について、政策運営の手法はデータに基づく実証主義的なスタイルだと指摘した。データを見極めた上で、賃金や物価の持続的な上昇という好循環が確認できなければ、イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の副作用を踏まえ「新たな金融緩和の枠組み」に移行する可能性があると述べた。
もっとも、黒田東彦総裁の就任時と異なり、経済状況は落ち着いているため、植田氏が就任早々から大掛かりな政策変更をすることは考えにくいとの見方を示した。
日銀出身の井上氏は、2000年冬から03年春にかけて当時審議委員だった植田氏の専属スタッフを務めた。
植田氏に関して「何々派に明確に属するわけではなく、研究スタイルは非常に実証主義的」と指摘。「経済や物価は複雑だという認識の下で、経済理論のツールを局面に応じて柔軟に応用していくのではないか」と述べた。
その上で、物価と賃金の持続的な上昇が確認できれば「データが背中を押す形で日銀の金融政策は正常化すればいいと判断するだろう」と予想。反対に持続的な動きが確認できなければ、いずれかの時点で現行のYCCの副作用などを考慮して「新しい金融緩和スタイルに移行せざるを得ない」とみている。
一方で、植田氏が次期総裁に就任しても、就任早々から「黒田総裁のように劇的、かつ強力な政策を打つということにはならないだろう」と話す。それは、今の経済状況が「おおむね平時」だからで、植田氏にはデータに即して政策を検討できる余裕があるとした。
2013年、第2次安倍晋三政権の下で就任した黒田総裁は、デフレ脱却に向け、就任後初となる同年4月の金融政策決定会合で量的・質的金融緩和(QQE)を打ち出し、金融市場にサプライズをもたらした。
植田氏は1998年から2005年まで審議委員を務め、ゼロ金利政策や量的緩和政策の導入を理論面から支えた。井上氏によると、植田氏は人脈が広く、海外の投資銀行やファンドの来訪も多かったという。
日銀執行部との関係も良好で、日銀内の信頼も厚いそうだ。日本の金融危機の経験から、実体経済と金融システムの相互作用の重要性を熟知しており、政策運営に当たっては金融システムへの配慮も予想されるという。
政府は植田氏を次の日銀総裁候補などとする人事案を14日に衆参両院に提示する見通し。
(和田崇彦、木原麗花)
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