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概要:8日の米株式市場ではS&P500種株価指数が小反発。雇用関連の統計が市場予想を上回り、米金融当局は今後数カ月にわたってタカ派姿勢を続けざるを得ないとの見方が強まる中、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のこの日の議会証言からも安心感はそれほど得られなかった。
8日の米株式市場ではS&P500種株価指数が小反発。雇用関連の統計が市場予想を上回り、米金融当局は今後数カ月にわたってタカ派姿勢を続けざるを得ないとの見方が強まる中、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のこの日の議会証言からも安心感はそれほど得られなかった。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 3992.01 | 5.64 | 0.14% |
ダウ工業株30種平均 | 32798.40 | -58.06 | -0.18% |
ナスダック総合指数 | 11576.00 | 45.67 | 0.40% |
S&P500種は4000を依然下回っているが、主要な200日移動平均線は上回っている。パウエル氏は今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利上げ幅については何も決定していないと強調したほか、リセッション(景気後退)を引き起こそうとしているわけではないとも発言したが、相場は荒い値動きとなった。同氏は一方で、利上げペース加速の可能性や政策金利を従来想定より高い水準に引き上げる公算があるとのメッセージを繰り返した。
パウエル議長、「何も決定していない」と強調-利上げペース巡り (1)
米ADP民間雇用者数、予想上回る伸び-強い労働需要が継続 (1)
米求人件数、1082万件に減少も依然高水準-利上げの根拠揺るがず (1)
ケストラ・インベストメント・マネジメントのカーラ・マーフィー氏は「米金融当局は『インフレの高進が続けば、さらなる利上げを実施する』との考えでこれまで極めて一貫してきた」と指摘。「利上げペース加速が必要かもしれないと米当局が言っていることに対し、市場は今になって驚いたように振る舞っている」とし、「米当局はずっと的確だった。市場がこうしたメッセージの一部をあえて無視していただけだ」と述べた。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は、高過ぎるインフレ率を低下させるため、利上げを続ける必要があるとの考えを示した。今月のFOMC会合での利上げ幅に関する意見は示さなかった。
リッチモンド連銀総裁、やるべき仕事まだある-高インフレ押し下げで
シティグループのエコノミストは、FOMCが3月の会合で政策金利を50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げると予想。従来想定の25bpから上方修正した。パウエルFRB議長が7日の議会証言でタカ派的な発言をしたことを受けたもので、政策金利のピーク水準見通しも5.5-5.75%に引き上げた。ゴールドマン・サックス・グループも同様に予想を引き上げている。
シティ、3月米利上げ0.5ポイントを予想-パウエル氏証言で引き上げ
米国債
米国債は下落。朝方には上昇する場面もあるなど、国債も荒い展開となった。10年債入札が不調に終わったため、下げに転じた。2年債利回りは5%を依然上回り、2007年以来の高水準となっている。スワップ市場では3月FOMC会合について、0.25ポイントよりも、0.5ポイントの利上げが決定されるとの見方にはっきりと傾斜した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 3.89% | 1.5 | 0.38% |
米10年債利回り | 3.99% | 2.2 | 0.55% |
米2年債利回り | 5.07% | 6.0 | 1.19% |
米東部時間 | 16時48分 |
メイン・ストリート・リサーチのジェームズ・デマート氏は金利が高止まりし、米金融当局が近い将来に政策を転換するとの見方は希望的観測だと市場はようやく認識しつつあると指摘。「米当局は利上げをさらに一層決意している可能性がある。最近の一連の力強い経済やインフレ、雇用のデータを踏まえれば、3月会合での50bp引き上げすらもあり得る」と述べた。
その上で、「リセッションのリスクは過去数週間に高まった。米金融引き締めの遅行効果は近くデータに表れ始める可能性がある。同当局が利上げを強化するタイミングでだ。景気鈍化とさらなる利上げというこの組み合わせは経済をリセッションに間違いなく陥れるだろう」と同氏は続けた。
外為
外国為替市場ではカナダ・ドルが下落し、昨年10月21日以来の安値に達した。カナダ銀行(中央銀行)が政策金利を据え置いたことが背景。
カナダ銀行、政策金利4.5%で据え置き-必要に応じ追加利上げの用意
パウエル議長がこの日の議会証言でトーンをやや軟化させる中、ドルはほぼ変わらず。ドルは対円では1ドル=137円台前半。一時は136円48銭まで下落する場面もあった。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1259.67 | 0.05 | 0.00% |
ドル/円 | ¥137.43 | ¥0.27 | 0.20% |
ユーロ/ドル | $1.0543 | -$0.06 | -0.06% |
米東部時間 | 16時48分 |
INGバンクのフランチェスコ・ペソレ氏はユーロの対ドル相場について、「短期的なボラティリティーやセンチメントの弱さで、10日の米雇用統計にかけて1ユーロ=1.0500ドルを割り込む可能性もある」とみている。
原油
ニューヨーク原油先物は続落。米原油在庫が今年に入って初の減少となったものの、パウエルFRB議長のタカ派姿勢継続を受けた市場の弱気ムードを払拭するには至らなかった。
CIBCプライベート・ウェルスのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は、ファンダメンタルズに「超強気」の傾向はなく、マクロ面のセンチメントも「沈滞」したままであり、押し目を拾うべき理由が見当たらないと述べた。
一方、トータス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、ブライアン・ケッセンス氏は、中国需要の高まりと、春休みでガソリン消費が拡大することによる在庫減の見通しを背景に、多くの大手銀行は原油価格の上昇を見込みつつあると指摘した。
ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は、前日比92セント(1.2%)安い1バレル=76.66ドルで終了した。ロンドンICEの北海ブレント5月限は63セント安の82.66ドル。
金
ニューヨーク金先物相場はほぼ横ばい。米雇用市場に関する統計や、パウエルFRB議長の下院金融委員会での発言を意識する展開となった。金スポット相場はドルの軟化を受けて一時0.6%高となる場面もあったが、ドルの持ち直しとともに上げ幅を削った。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は、前日比1.4ドル(0.1%未満)安の1オンス=1818.60ドルで終了した。
原題:Wall Street Churns With Fed-Hike Anxiety Brewing: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Stage Rally, Then Drop As Curve Continues Flattening(抜粋)
Canadian Dollar Underperforms Peers After Rate Hold: Inside G-10(抜粋)
Oil Drops as US Supply Draws Fail to Dispel Fed-Driven Gloom(抜粋)
Copper, Gold Gain as Traders Assess Powell Comments, US Data(抜粋)
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