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概要:和田崇彦 [東京 31日 ロイター] - 基調的な物価の動きを示す指標の上昇が広がりを見せ、2%を超えるものが増えている。とくに持家の帰属家賃を除くサービス価格が2%近くまで上昇、日銀内でも物価の上振
和田崇彦
[東京 31日 ロイター] - 基調的な物価の動きを示す指標の上昇が広がりを見せ、2%を超えるものが増えている。とくに持家の帰属家賃を除くサービス価格が2%近くまで上昇、日銀内でも物価の上振れリスクを指摘する声が出ている。一方、想定を上回る賃上げの先行きは不透明で、コロナ禍からの需要回復一巡のリスクなどもあり、市場では、植田和男新総裁の下での4月の金融政策決定会合では、物価上昇の持続性を見極める姿勢が示されるとの見方が出ている。
<刈込平均値に加え、最頻値も2%超え>
ここに来て物価の基調を示す指標の中で、2%を超えるものが増えている。日銀が全国消費者物価指数(CPI)をもとに月次で算出・公表しているコア指標のうち、品目別分布で最も頻度の多い上昇率である「最頻値」は2月に前年同月比プラス2.1%となり、2001年以降で初めて2%台に乗せた。
政府のエネルギー価格抑制策の影響で、2月のコアCPIはプラス3.1%と1月のプラス4.2%を大きく下回ったものの、ウエートを加味せず品目ごとの上昇率をもとに算出する最頻値の上昇は、値上げの広がりを反映したものだ。
ウエートを加味した品目ごとの上昇率分布で上下10%を機械的に除いた「刈込平均値」はプラス2.7%。最頻値より早く昨年9月に2%に到達。その後も2%を上回る状況が続く。
<持家の帰属家賃除くサービス価格、都区部で2%台に>
総務省発表の全国CPIで生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は昨年4月に2%を超え、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)も10月に2%を超えた。その後、コアCPIは政府の対策の影響で物価の基調が読みづらくなったが、そうした中、2月の「持家の帰属家賃を除くサービス価格」がプラス1.9%となり、2%に迫った。2015年3月以来、消費税の影響を除けば1993年10月以来の伸び率だ。
持家の帰属家賃を除くサービス価格は、大手チェーンのハンバーガーのように、輸入物価上昇を受けて価格転嫁が進んでいる「外食」のウエートが高いとは言え、人件費のウエートが大きい品目の動向も重要になる点で「ホームメイドのインフレ圧力を測る指標として重要」(エコノミスト)とみられている。
3月都区部CPIでは持家の帰属家賃を除くサービス価格はプラス2.3%となった。UBS証券の栗原剛・次席エコノミストは3月の全国CPIでも、宿泊料が主導する形で同価格は2%を超えてくるとみている。
日銀はこれまで、物価の基調は「さまざまな物価指標を見た上で、総合的に判断していく」(内田真一副総裁)との方針を示してきた。しかし、持家の帰属家賃除くサービス価格の伸び率拡大には、日銀内でも注目が向かっている。3月9―10日の金融政策決定会合では、同価格が前年比1%台後半まで上昇してきている点を指摘して「この先、物価が想定以上に上振れるリスクに対して、注意の上にも注意を重ねていく必要がある」との指摘が出ていた。
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<サービス価格の先行き、賃金が重要>
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31日発表の3月東京都区部CPIでは「宿泊料」が指数を支えた。政府の「全国旅行支援」の影響で昨年10月以降、前年比マイナス圏で推移してきたが、3月は前年同月比変わらず。前月比では6.2%上昇した。UBS証券の栗原氏は「全国旅行支援の割引がありながらも前年比がマイナスではなくなったというのは、実需が強いことが背景にあるのではないか」と指摘する。
サービス価格の先行きを見極める上では賃金上昇率が重要になる。足元では人手不足の深刻化で外食や宿泊などでパートやアルバイトの時給が上昇。また、春闘の現時点での集計結果は日銀やエコノミストの間でポジティブに受け止められている。
24日に発表された春闘の2次集計によると、定期昇給込みの賃上げ率は3.76%。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは「予想を大きく上回る高い伸びで、かなりのサプライズ」と話す。
黒田東彦日銀総裁は29日、衆院財務金融委員会で、女性の労働参加の進展で労働供給がこれ以上増える可能性が低下しているなどとして「賃金上昇圧力が高まっていることは事実だ」と指摘。物価目標の持続的・安定的な実現には賃金上昇を前提とした物価上昇でなければならないが、「それに近づきつつある」と述べた。
<「歯を食いしばって」の賃上げ、持続困難か>
焦点は賃金上昇の持続性だ。みずほリサーチの酒井氏は「企業の期待成長率がまだ十分伸びていない中では、高水準の賃上げ率が継続するハードルは高い」と指摘する。今回の春闘は「同調圧力」が働いて無理をして賃上げに踏み切った企業も多いのではないかとみており、「来年以降も歯を食いしばり続けるのは厳しいのではないか」と話す。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、足元の物価上昇はコロナ禍からの需要回復の追い風が強く影響していると指摘。まだ2%目標の持続的・安定的な達成が確実になったとは言えず、「景気の回復や減速をならしても2%の物価目標が達成できているのかを確認する必要がある」と話す。植田次期総裁は4月の金融政策決定会合で、時間を掛けてデータを見ていく姿勢を示すのではないかとみている。
(和田崇彦 編集:石田仁志)
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