衣料品や家電製品の店が特に厳しく… アメリカでは2028年までに5万件以上の小売店が消える？

• アメリカには小売店が約100万店舗あるが、このうち5万店舗以上が2028年までに消えようとしている。

• コストの増大とeコマースの普及は大手小売業者に有利に働き、中小は倒産に追い込まれている。

• UBSのアナリストは、売り上げの伸びが長期的なトレンドを下回るようであれば、倒産はさらに増加する可能性もあるとしている。

UBSの最新調査によると、アメリカでは小売業の閉店が今後5年間で増加しそうだ。

エクイティ・リサーチ・アナリストのマイケル・ラッサー（Michael Lasser）氏率いるチームは、営業コストが増え、eコマースの売り上げが占める割合が高まることで、5万店舗以上が閉店する可能性があると見ている。

最も多くの閉店が見込まれるのは専門店で、衣料品店と家電製品店がその半数近くを占めている。一方、ホームセンターや自動車部品店は、比較的痛手を受けずに済むと見込まれている。

これにより、アメリカの小売店の数は現在の約94万店舗から5％減ることになるという。また、2850億ドル（約38兆2000億円）相当の消費支出を生き残りをかけた店舗が奪い合う可能性があるとも指摘している。

このシナリオではウォルマートやコストコ、ターゲットといった大規模小売店が大いに儲ける一方で、中小規模のチェーン店や独立系小売店は店舗数を減らし続けることになりそうだ。UBSのレポートによると、ここ10年で大手が1万7000店舗増えた一方で、中小は4万店舗減ったという。

大手企業は家賃や人件費といったコスト上昇の影響を吸収しやすく、中小企業にはできないようなデジタル注文に対応するための大規模投資によって利益を得ることができる。

UBSによると、eコマースの売り上げは2028年までに小売業全体の売り上げの26%にまで増える見込みだ（現在は20%）。また、電子取引の4分の1近くを｢店舗配送（ship-from-store）｣または｢店舗受け取り（pick-up）｣が占めるようになるとUBSは見ている。

今後、小売業の売り上げの伸びが長期的な歴史的平均値である年率4％を下回る場合、閉店する店舗の数は7万件を超える可能性もあるとUBSはしている。逆に売り上げの伸びが大きければ、より多くの店舗が営業を続けられるだろうとアナリストたちは述べた。