英中銀チーフエコノミスト、英国民は生活水準悪化を受け入れるべきだ

イングランド銀行（英中央銀行）のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏は、英国の市民は物価上昇による生活水準の歴史的な悪化を回復しようとするのではなく、以前よりも貧しくなったことを受け入れる必要があると主張した。

ピル氏は25日にストリーム配信されたインタビューで、「英国では、暮らしぶりの悪化を受け入れる必要がある。賃上げやエネルギーコストの顧客への転嫁などによって価格を引き上げ、実質的な購買力を維持しようとするのをやめるべきだ」と述べた。インタビューは米コロンビア大学法科大学院が運営するポッドキャストで行われた。

Traders See Rates at 5% With Inflation Still in Double Digits

Price pressures in the UK are not subsiding as quickly as hoped

Source: Office for National Statistics, Bloomberg

Note: Modelled CPI estimates from 1950 to 1988

企業と労働者の「転嫁ごっこ」が持続的な価格圧力を引き起こし、２桁台から下がらない英国のインフレ率に寄与していると、ピル氏は論じた。

同氏の発言内容は英中銀当局者がこの１年述べてきた内容の繰り返しではあるが、労働者がより大きな負担を引き受ける必要があることをより率直に示唆した。賃上げ抑制の政府決定に憤る大勢の公的セクター労働者とは対立する見解だ。

Worst Period of Strikes Since 1990

The UK is experiencing its worst wave of strikes in over 30 years

Sources: Office for National Statistics

ピル氏は「天然ガスの純輸入大国である英国は、世界各国からの輸入価格が輸出価格に比べて大きく上昇している状況に直面している。自分が買う物が高くなり、自分の売る物が安くなれば、暮らしぶりは悪くなる」と指摘した。

英国のインフレ率は３月も予想以上で、物価上昇圧力が長期化するとの懸念を強めた。市場は今後数カ月間の利上げ継続を織り込む。

インフレ見通しについてピル氏は英中銀の予測をあらためて述べ、インフレ率を高止まりさせている圧力の一部は今後数カ月間で解消される可能性が高く、インフレ率は今後数年で目標値の２％を下回るかもしれないとの認識を示した。