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概要:外為市場における「リスクオフ」が変化している。従来、危機発生時には円とスイスフランがともに買われていたが、今回の金融不安ではスイスフランが引き続き選好されているが、円は敬遠され気味だ。スイスは利上げや為替介入などが通貨高要因になっている一方、日銀の政策修正観測の後退や貿易赤字など下落材料の多い円を逃避通貨として利用することが難しくなってきたことも、フラン高を助長している。
[東京 26日 ロイター] - 外為市場における「リスクオフ」が変化している。従来、危機発生時には円とスイスフランがともに買われていたが、今回の金融不安ではスイスフランが引き続き選好されているが、円は敬遠され気味だ。スイスは利上げや為替介入などが通貨高要因になっている一方、日銀の政策修正観測の後退や貿易赤字など下落材料の多い円を逃避通貨として利用することが難しくなってきたことも、フラン高を助長している。
外為市場における「リスクオフ」が変化している。従来、危機発生時には円とスイスフランがともに買われていたが、今回の金融不安ではスイスフランが引き続き選好されているものの、円は敬遠され気味だ。
<スイスフラン/円は8年ぶり高値>
地政学的な緊張や大規模災害、マクロ経済に損傷を与えるような大企業の経営難、主要国の景気急減速など、投資家が積極的な投資を手控えるような事象が発生した際、外為市場ではこれまで、フランと円が逃避通貨とみなされて上昇するケースが多かった。
実際に巨額の投資マネーが刻々と出入りしている訳ではなく、その理由や背景は明確ではないが、スイスは永世中立国としての歴史的経緯や恒常的な経常黒字、円は世界最大の対外債権保有国であることや政治経済の安定性などが、マネーの「駆け込み寺」的な動きの背景とみられてきた。
しかし足元では、対ドルの年初来上昇率でみてフランが4%超となっているのに対し、円は2%弱の下落。両通貨の動きに大きな違いが生じている。フランは、対米ドルでも8年ぶり高値が目前。ユーロや英ポンドに対しても、1カ月ぶりの高値圏で推移。スイスフラン/円は8年ぶり高値圏となっている。
金融大手のクレディ・スイスが経営危機に陥ったことで、スイスフランの「安全」の看板に傷がついたとの見方もあったが、「UBSによる買収が比較的スムーズに決まったことで、ひとまずは事なきを得た」(国内銀行)という。
<利上げと実弾介入>
スイスフランと円の違いは、両国の中銀の姿勢も影響している。スイス中銀は今年3月に4会合連続の利上げを決定。政策金利は1.5%と08年以来の高水準に達し、日本と同じマイナス金利を採用していた1年ほど前とは異なる金融環境となっている。
一方、日銀は現時点でも大規模金融緩和策を継続。市場では、今週27─28日の金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を変更するとの見方は少なく、マイナス金利解除の予想はさらに先だ。
さらにスイス中銀が、外貨売り/自国通貨買いの為替介入を同時に実施していることもスイスフラン高の要因だ。輸入インフレの抑制が目的だが、フラン安是正に向けて当局が自ら買いの「実弾」を撃ち込んでいる影響は小さくない。
スイス中銀は、金融政策の主要手段はあくまで金利調節で、為替介入は二次的なものだと主張するが、フラン買い介入額は昨年第2・四半期の500万フランから、第3・四半期に7億3900万フラン、第4・四半期には270億フランと拡大している。
今年の介入データはまだ公表されていないが、1月以降も外貨準備高は減少。3月時点で7427億フランと、19年2月以来4年ぶり低水準を記録した。市場では「外貨売り/自国通貨買い介入で外貨減少が続いている」(外銀)との見方がもっぱらだ。
バンク・オブ・アメリカ為替ストラテジストのカマル・シャルマ氏は、フラン買い介入はしばらく続くと予想する。「政策金利の引き上げ余地が狭まっている。中銀が政策手段として、(外貨準備を含む)バランスシートの圧縮に一段と傾いたとしても不思議ではない」ためだ。
<逃避通貨の座を追われる円>
一方で「円が逃避通貨の座から遠のき、その需要を補完する格好で、フラン買いが活発化している面もある」(JPモルガン証券・市場調査本部為替調査部の斉藤郁恵氏)という。
財務省が20日に発表した3月の貿易赤字は7545億円。月間で過去最大となった1月から赤字幅は縮小したものの、この3カ月の合計では5兆1590億円と、年間で過去最大を記録した昨年1─3月の合計額3兆3965億円を大きく上回るペースだ。
利上げを急ぐ諸外国との金利差拡大、相次ぐ海外企業買収による対外直接投資の興隆など、円安材料に事欠かない現状を、斉藤氏は「ファンダメンタルズ的に円は買いにくい。米国のリセッション懸念が強まっても、リスク回避で円が買われ続けるとは考えづらい」とみる。
円キャリートレードの趨勢を示すとされる在日外銀の本支店勘定は、昨年10月に14兆円台と08年以来の高水準に達した後、昨年12月の日銀政策修正を経て、2月には9兆円台と3割減少した。円調達の投資マネーが世界に広がらなければ、危機発生時の巻き戻しによる円高も発生しづらくなる。
(基太村真司 編集:伊賀大記)
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