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概要:ヘッジファンドの中で、世界的な経済情勢を踏まえてポジションを構築する「マクロ戦略」を採用しているファンドの多くは、今年上半期のリターンがマイナスになったもようだ。ただ今後各国ごとに金融政策運営の違いが生じることに伴う不確実性が、これらのファンドにとって収益機会を提供してくれる可能性がある。
[ニューヨーク/ロンドン 30日 ロイター] - ヘッジファンドの中で、世界的な経済情勢を踏まえてポジションを構築する「マクロ戦略」を採用しているファンドの多くは、今年上半期のリターンがマイナスになったもようだ。ただ今後各国ごとに金融政策運営の違いが生じることに伴う不確実性が、これらのファンドにとって収益機会を提供してくれる可能性がある。
「マクロ戦略」を採用しているファンドの多くは、今年上半期のリターンがマイナスになったもようだ。ただ今後各国ごとに金融政策運営の違いが生じることに伴う不確実性が、これらのファンドにとって収益機会を提供してくれる可能性がある。
マクロ戦略ファンドの成績を示すHFRIマクロ(トータル)資産ウエート指数によると、予想外の事態となった米地銀危機を経て、年初から5月までのリターンはマイナス2.3%に沈んだ。さらに幾つかの個別のファンド動向を見る限り、6月末までに損失を完全に穴埋めするのは難しいように見受けられる。
この間S&P総合500種は約13%上昇し、ヘッジファンド業界全体のベンチマークリターンはプラス0.1%だった。
ヘッジファンド向け投資を手がけるゴールドマン・サックス・エクスターナル・インベスティング・グループのマネジングディレクター、ジェフリー・B・クライン氏は「今年のヘッジファンド(の成績)で最も低調な場所の1つはマクロ(戦略)運用となっている」と指摘した。
それでも同氏は「年後半はマクロ分野に多大なチャンスがある。なぜならさまざまな国でさまざまな経済政策が遂行されるだろうから。各中央銀行の行動は、過去数年にわたって超低金利という形で続いたほどに協調的ではなくなるのではないか」と話す。
昨年から今年これまでにおいても主要中銀はインフレを抑えるための利上げで歩調を合わせてきたものの、最近ではそれぞれ独自の動きが目立ってきている。
例えば米連邦準備理事会(FRB)は直近会合で利上げをいったん見送り、イングランド銀行は市場予想を上回る幅で利上げを決定した一方、ブラジルなど複数の新興国の中銀は既に利下げの検討に入った。
こうした状況がマクロ戦略ファンドのトレーディングを通じた収益機会を増やすことになるとみられている。
コモンファンドのマネジングディレクター、ジョン・デラノ氏は、多様な国の資産が多様な方向へ動き出す公算がより大きくなっているとの見方を示した。
<株式投資ファンドは堅調>
HFRによると、昨年のマクロ戦略ファンドは、インフレ抑え込みのために金利上昇局面がより長期化するとの読みが奏功し、リターンは上期が約14%、年全体で約9%のプラスを確保できた。
ところが今年3月の地銀危機が、マクロ戦略ファンドに不意打ちとなった。その前にFRBのパウエル議長が議会で利上げ期間をもっと長くしなければならないかもしれないと発言したことを受け、金利上昇方向に賭けるポジションを組んでいたからだ。
損失が大きく膨らんだため、一部のファンドはポジション圧縮まで迫られた。ロンドンに拠点を置くロコス・キャピタル・マネジメントの場合、債券市場のボラティリティー増大でリターンがマイナス15%まで悪化した後、リスク量を減らすことを決めた。ロコスの5月だけの成績はプラス5%に持ち直したとはいえ、その時点でも年初来ではなおマイナス5%だった。
マクロ戦略ファンドと対照的に、世界の株価動向を読んで投資する「ロング/ショート戦略」のファンドは年初から6月23日までのリターンがプラス5%になっている、とゴールドマン・サックスが顧客向けノートで明らかにした。
金利上昇環境が企業に及ぼす影響は一様ではない。そうした中で、ロング/ショート戦略ファンドは年間ベースでもプラスのリターンを維持すると見込まれている。
INVICOアセット・マネジメントのマネジングディレクター、ブルーノ・シュネラー氏は、足元の株式市場において値動きが絶好調な銘柄と絶不調の銘柄の落差が非常に大きいことが、ヘッジファンドに大きな収益機会をもたらすと予想した。
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