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概要:数年前まで、ゴールドマン・サックス・グループのトップバンカーたちは中小のライバル会社の採用担当者からの電話を取ろうともしなかった。だが今年は、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループ、エバコア、PJTパートナーズの担当者らに、ゴールドマンやバークレイズ、クレディ・スイス・グループなどから履歴書が殺到しているという。
数年前まで、ゴールドマン・サックス・グループのトップバンカーたちは中小のライバル会社の採用担当者からの電話を取ろうともしなかった。だが今年は、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループ、エバコア、PJTパートナーズの担当者らに、ゴールドマンやバークレイズ、クレディ・スイス・グループなどから履歴書が殺到しているという。
ゴールドマンのシニアスタッフがこれほど興味を示しているのを見たのは初めてだと、採用担当者らは匿名を条件に語った。規模が比較的小さいこうした投資銀行は常に、業界にいる何十人ものパートナーやマネジングディレクターと話をし、その中から最良の人材を選んでいると説明した。
投資銀行業界の新常識へようこそ。
M&A(企業の合併・買収)の低迷とクレディ・スイスの破綻は、トレーディングとアドバイザリー業務にまたがる業界全体の上級管理職の壮大な入れ替わりに火をつけた。昨年のM&A助言で上位8社のうち7社が、2023年に投資銀行部門のトップを交代させるか、M&A部門の指導層を刷新した。
好況期に積極的に事業を拡大したゴールドマン、モルガン・スタンレー、シティグループは、業界として過去10年間で最大規模の人員削減を行った。同時に、ドイツ銀行やサンタンデール銀行のような順位の劣るライバルは採用ラッシュの中にあり、ブティック型投資銀は次のM&Aブームがすぐそこまで来ていることに賭けて、長年狙っていた優秀な人材を引き抜こうとしている。
しかし、現在のM&A低迷は依然として明白であり、復活の見通しはまだ立っていないようだ。資金調達コストの上昇、地政学的緊張が拍車を掛けるボラティリティー、世界的リセッション(景気後退)の恐れにより、年初から7月20日までのディール総額は22年の同時期から約40%減のほぼ1兆ドル(約141兆円)となっている。21年に記録した3兆8300億ドルという金額は、今や遠い記憶でしかない。
ロンドンでは昨年、役職のあらゆる序列でバンカーの報酬が下がった。ダートマス・パートナーズの調査によれば、最高位のバイスプレジデントクラスでは13%減だった。
回復はいつか
多くの案件は、バリュエーションを巡る駆け引きや規制上のハードルで行き詰まっている。ウォール街の主要顧客であるプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社も撤退モードに入った。モーリスなどは回復を予測しているが、いつ回復するかは分からない。モルガン・スタンレーのジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は、ディールは回復するだろうが、恐らく来年になるだろうと述べている。
今回の業界全体の人の移動は、さえないボーナスシーズンや、銀行がコスト削減のために毎年行っている人員整理後に通常見られる状況を超えている。ブルームバーグニュースが今月報じたところによると、ウォール街の大手行は今年上期に約2万1000人の人員削減を行った。ゴールドマンの4-6月(第2四半期)決算は、M&A助言手数料が減少し、投資銀行業務からの収入が予想を下回り、58%の減益となった。
ゴールドマンは過去6年間、M&A助言のトップに君臨してきており、バンカーらはここ数カ月の間に何人かの同僚がエバコアに移籍したことに驚いている。事情に詳しい複数の関係者によると、不動産投資銀行部門のパートナーだったニール・ウォリツァー氏は、今年ゴールドマンを去り、ジョン・ワインバーグ氏が率いるエバコアに移籍した少なくとも6人のシニアバンカーの1人。
エバコアはゴールドマンのバンカーを積極的に引き抜こうとはしておらず、むしろ大物たちの方が移籍に一段と前向きになっていると、同社幹部は語っている。ワインバーグ氏自身、かつてゴールドマンのシニアリーダーで、16年にエバコアに加わるまでの約10年間の大半は、現ゴールドマンCEOデービッド・ソロモン氏とともに同行の経営に携わっていた。
M&Aの縮小で投資銀行業界の人材流動化
Source: Bloomberg
ゴールドマン、ジェフリーズ、PJT、エバコアの担当者はコメントを控えた。
チャンスをつかむ
業界の大変動で人材が市場にあふれる中、M&A助言ランキングでウォール街の主要行に大きく後れを取っている多くの投資銀行は、チームを再構築したり、カバレッジの差を埋めて番付上位を狙ったりするチャンスだと感じている。M&A助言手数料に依存するブティック型投資銀ですら採用活動を強化している。
ただ、この戦略は、先見の明があったことが証明されるかもしれないが、M&A市場が回復しければ、後から考えるとコストの高い間違いだったことにもなりかねない。
ニューヨークの幹部人材あっせん会社メイブン・サーチのパートナー、ジェネビーブ・フレーザー氏は、「現在はさまざまな場所で困難な状況が続いているため、大きなチームの移動が起こっている」と言う。また、「企業全体として、この不況後にブームがやってくると期待している銀行もある。そうなった時に恩恵にあずかれるよう、万全の態勢を整えておきたいと望んでいる」とも説明した。
動揺は業界全体で見られる。政府の仲介でクレディ・スイスを買収したUBSグループは、クレディ・スイスの4万5000人規模の人員を減らす計画だとブルームバーグニュースが報じた。モルガン・スタンレーは昨年12月に続いて今年約3500人を削減。ゴールドマンは投資銀行部門の多数を含め125人のマネージングディレクターを削減し、シティグループは投資銀部門を含め数百人を減らす。
不況下でのコスト節減が、ウォール街各社の人員削減の目的のようだ。しかし、英銀バークレイズなどでは内部事情で再編成が起きている。
バークレイズは、今年前半にキャサル・ディージー、テイラー・ライト両氏を投資銀行部門の共同責任者に指名して以来、特に米国で離職者が相次いでいる。元クレディ・スイスのベテランであるディージー氏は、就任後数カ月でバークレイズのバンカーがUBSに移籍するのを目の当たりにした。
反乱
こうした退職の一部は、バークレイズ投資銀行部門の主要ディールメーカーであるジョン・ミラー、マルコ・バラ両氏を含むリーマン・ブラザーズ出身のバンカーで構成される古参組の上に、比較的新しい欧州マネジャーが就任する人事への反乱だったと事情に詳しい関係者が明らかにした。
少なくとも08年以降で最悪の報酬サイクルも理由の一つだと、関係者は述べた。一部は、キャリアの終わりに近づき退職前に保証された報酬パッケージを確保するために去ることを決めたという。関係者は公にしにくい事柄だとして匿名を条件に述べた。
何人かの関係者は、今回の人事異動は新しいアイデアを導入し、バークレイズの欧州投資銀行部門を強化するためのものだと語った。バークレイズは流出する行員の後任としてシニアバンカーを大量に採用した。
C・S・べンカタクリシュナンCEOは6月のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、離職率は通常よりわずかに高い程度だと述べ、「ちょっとした椅子取りゲーム」であり、ボーナスシーズン後の「昔からの伝統」だと語った。
バークレイズの担当者はコメントを控えた。
リソースの確保
クレディ・スイスやバークレイズなどのバンカーの退社とゴールドマンやモルガン・スタンレーでの人員削減は、他の銀行に採用の機会が生じることを意味する。
スペインのサンタンデール銀行は助言業務のランキングに名前が挙がったことはないが、事情に詳しい関係者によれば、採用拡大に向けてリソースを確保しており、案件の数量が回復すればこれが功を奏すると考えている。採用は主に米国と英国を焦点にしているという。
サンタンデールは既に、クレディ・スイスからトップバンカー数人を採用しているが、さらに数十人を採用する予定だと、この件に詳しい関係者は語っている。サンタンデールの広報担当者はコメントを控えた。
ドイツ銀行は今年、50人以上のディールメーカーを採用。英国の大手ブティック型投資顧問会社ヌミスも買収した。この買収により債券や株式の発行、M&A、敵対的買収など、あらゆる案件でアドバイスを必要とする多くの企業顧客リストにアクセスできるようになると期待されている。
人材紹介会社シュルテス・ツィンマーマン&ヤウフのマネジングパートナーであるマティアス・シュルテス氏は「今年は投資銀行にとって良い年とはなっていない。しかし、多くの採用も行われており、グローバルなカバレッジの中でリーダーシップや後継者不足を補うには良い時期であることを物語っている」と述べた。
クレディ・スイス行員の去就
こうした採用の多くは、UBS傘下となったクレディ・スイスからだ。この問題に詳しい関係者によると、多くのディールメーカーたちは既にクレディ・スイスを去っており、まだ残っている中には統合プロセスに不満を抱いている者もいる。クレディ・スイス行員のうち、指導的役割に登用されたのはほんの一握りで、他の行員はUBSの同僚よりも自分の方が適任と思われるにもかかわらず、起用されないことを懸念しているという。
UBSは同時にバークレイズからも採用を行っており、クレディ・スイスの行員がさらに疎外されるのではないかという懸念が強まっていると関係者は話した。UBSの広報担当者はコメントを控えた。
3月にクレディ・スイスが事実上破綻する前から、ライバル行はクレディ・スイスから人材を採用していた。行員の流出は、アルケゴス・キャピタル・マネジメントとグリーンシル・キャピタルに絡む損失に取り組んでいた21年に始まった。
例えば、ジェフリーズは21年に、クレディ・スイスの金融サービス担当ディールメーカーの大きなチームを引き抜いた。他の銀行もその手法を採用した。
経営コンサルティング会社オリバー・ワイマンで欧州のコーポレート・アンド・インスティテューショナル・バンキング・グループを率いるロナン・オケリー氏は、現在行われている採用のほとんどは、報酬の縮小に伴い、個々の銀行が「人材の押し目買い」に興味を示したことによる「特異な決断」だと述べている。
買い手市場
スペインのブティック型投資銀行アラントラは今年、20人のシニアバンカーを採用した。投資銀事業を率いるミゲル・へルナンデス氏によると、一部の銀行にとって状況はブーム時の「売り手市場」から「買い手市場」に転じている。ボーナスは会社の株価に連動することが多く、株価が下がれば、採用コストは安くなる。
メイブン・サーチのフレーザー氏によると、まだ顧客リストを作り上げている途中のジュニアバンカーは、新しい仕事を見つけるためにブランドや報酬を下げなければならないかもしれない。
それでも、米国のトップクラスの優秀な人材は依然として「信じられないほど高価」だと同氏は語る。
市場で最も求められているのは、10-15年のマネジングディレクターレベルの経験を持ち、自身の顧客や結びつきを新しい会社に持ち込むことができるバンカーで、「ほとんどの銀行は、現在の市場でプロジェクトが欲しいのではなく、顧客リストを持ってくることができる人材が欲しいのだ」とフレーザー氏は説明。多くの場合、転職者は前の会社で失ったであろうものの代償として2年間のボーナスを保証されるという。
危機知らず
業界の激動にもかかわらず、欧州を拠点とするエグゼクティブサーチ会社、ヘッズ!インターナショナルのパートナー、クリストフ・ツァイス氏も楽観的だ。
特に通信、テクノロジー、メディア、製薬などの分野で激しい採用活動が行われているとツァイス氏は言う。同氏によると、トップクラスの優秀な人材を採用しようとしている企業は、そのような候補者が高給を期待していることを知っており、次の成長サイクルに備えて彼らの要求に応えようとしている。
「投資銀行に危機はない」とツァイス氏は語った。
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