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概要:ドイツ産業界が、貨物輸送の新たな方法を模索している。国内輸送網の要であるライン川の水位低下が頻繁に発生するようになり、欧州最大のドイツ経済を混乱させているためだ。
[フランクフルト/ロンドン 26日 ロイター] - ドイツ産業界が、貨物輸送の新たな方法を模索している。国内輸送網の要であるライン川の水位低下が頻繁に発生するようになり、欧州最大のドイツ経済を混乱させているためだ。
7月26日、ドイツ産業界が、貨物輸送の新たな方法を模索している。写真は5月、独バートザルツィヒのライン川を通過する定水位対応タンカー(2023年 ロイター/Stephane Nitschke)
ライン川は全長1230キロ。世界有数の観光名所であり、ドイツ国民にとって心の拠り所の1つである一方で、原油や天然ガスも含めた物資の内陸輸送の80%を担う経済の大動脈でもある。
その重要河川で、2018年と22年に長期の水位低下が発生。今年も再び複数地点で、満載状態で最大トラック150台相当の貨物を運ぶ貨物船の航行が困難になるほど水位が低下している。
ライン川を航行する輸送船にとっての要衝であるカウプでは、今週に入って水位が今年最低の水準まで低下した。
ドイツ国内で昨年、水運により輸送された物品は1億8200万トン。2021年比で6.4%減少し、東西ドイツ統合以来最低となった。
欧州南部を深刻な熱波が襲うなか、ドイツの連邦水路水運総局では、こうした減少傾向は今後も続くと予想している。
ドイツの化学メーカー・コベストロは、完成品の30%以上をライン川経由で出荷する。原材料の多くも、ライン川経由で届く。
コベストロでライン川問題対策チームを率いるウベ・アルンツ氏は、「気候変動と水位低下の発生増加は、当社だけでなく、他の企業にとっても大きな課題となっている」と語る。
そこで同グループは、低水位対応の荷船2隻をチャーターした。これなら、ケルン周辺のライン川の水深が40センチまで低下しても、同社製品の塩酸を顧客に供給できる。
約260キロ下流に立地する化学大手BASFも、低水位対応の船舶の利用を開始した。原材料の約40%をライン川経由で受け入れている生産拠点、ルートヴィヒスハーフェンへの供給が目的だ。
可燃物や有毒化合物を輸送する方法としては、ライン川が唯一の現実的な選択肢であることが多い。
物流協同組合DTGによれば、カウプ周辺での水深が1メートルを切ってしまえば、従来の輸送船では積載量を半分以上も減らし、1500トン以下にする必要があるという。
だが、BASFが新たに導入した低水位対応タンカー「シュトルト・ルートヴィヒスハーフェン」であれば、30センチというきわめて浅い水深でも、2300トンの貨物を積んで、カウプの難所をクリアできる。
バーバラ・ホイヤー副社長によれば、BASFはライン川の水運に依存しており、ナフサを含む液状原材料のほとんどはライン経由で運ばれているという。
「生産を続けていくためには多くの原材料が必要だが、これほどの量を運ぶのは非常に難しい」とホイヤー副社長は指摘する。
鉄鋼大手ティッセンクルップは2018年の渇水期に、十分な原材料を入手できなくなったとして「不可抗力」を宣言した。その後、貨物列車の長期チャーター契約を結び、製鉄事業に必要な1日約3000トンの石炭供給を確保した。
<経済の大動脈>
水位低下による影響を受けているのは大企業だけではない。ライン川水運が減速したことにより、ドイツの国内総生産は2018年に0.4%縮小した。
キール世界経済研究所によれば、経験則として、2022年及び2018年に見られたようにカウプでの水深が30日連続で78センチを下回ると、工業生産が1%低下するという。
ドイツ銀行はドイツ経済の2023年の成長率をマイナス0.3%と予想しているが、水位低下が長引けば、景気後退からの回復は遅れる可能性があるとしている。
一方で、DTGのロベルト・スプランジ取締役は、経済活動の低迷に合わせて輸送需要も低下しており、水位低下による影響は、これまでの数年に比べれば対処しやすくなる可能性があると述べている。
<勝ち組と負け組>
輸送料金と低水位対応の輸送船のチャーター費がかさんだことで、産業界では利益率が圧迫されている。
だが物流企業は、低水位対応の船舶への需要が増大したことによるメリットを享受している。
シュトルト・ニールセンでゼネラルマネジャーを務めるマイケル・ウィジテバール氏は、「気候変動により、ライン川の水位異常が発生する頻度は上がると予想している」と語る。
同社では、ライン川沿いやその近辺に立地する複数の顧客とのあいだで低水位対応の輸送船について商談を進めている。各社ともサプライチェーンの健全性維持を懸念しているという。
ケルン市公共事業体の傘下にある独HGKシッピングは、こうした低水位対応船舶3隻を顧客向けに建造中だ。顧客には、米大手穀物商社アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドの名もある。
HGKシッピングのステファン・バウアー最高経営責任者(CEO)は、エネルギーや化学、鉄鋼といった分野の企業にとっては、大量の原材料を輸送するための選択肢が限られている、と語る。
「鉄道や道路など代替手段への転換に関しては、短期的にも中期的にも、輸送容量やインフラ、そして人員といった点が不十分だ」とバウアーCEOは言う。
やはり低水位対応の船舶を利用している化学大手エボニックも同意見で、ドイツの鉄道システムは徹底的な刷新が必要で、世界有数の工業国は二流の鉄道網では支えられない、と指摘した。
(Christoph Steitz記者、Vincent Flasseur記者、翻訳:エァクレーレン)
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