高級腕時計の中古市場が減速…しかし、ロレックスなど主要3ブランドは例外

ロレックスの新しい左側にリューズの着いたGMTマスターⅡは現在、中古市場で新品小売価格1万1250ドルの2倍近い価格で取引されている。

Rolex

• 高級時計の中古市場は1年以上縮小し続けており、主に主要3ブランドが牽引している。

• そのような中でも、現在製造されているロレックスのモデルのほぼ4分の3は、新品よりも中古の方が価値が高い。

• 小売価格を上回るパテック・フィリップの中古モデルは半数に過ぎないものの、依然として最高価格のプレミアム腕時計としての地位を占めている。

ここ数年、高級時計の再販市場はスイスのトップ3ブランドである、オーデマ・ピゲ（Audemars Piguet）、パテック・フィリップ（Patek Philippe）、そしてもちろんロレックス（Rolex）がほぼ独占していた。

特に、オーデマ・ピゲのロイヤル・オークス（Royal Oaks）、パテック・フィリップのアクアノート（Aquanauts）、そしてロレックスのデイトナ（Daytonas）（と、ほかのひと握りのモデル）に対する需要は、新品の時計の供給を上回り、価格を高騰させている。

腕時計の市場を調査するWatchChartsの創業者でCEOのチャールズ・ティアン（Charles Tian）は、少なくとも2017年以降、主要モデルの再販価格が新品の小売価格を著しく上回っている点を指摘し、 ｢大手3ブランドは長い間、魅力的なブランドだ｣ とInsiderに話している。

｢当初はかなり緩やかな上昇だったが、低金利と投機の横行によって、2021年と2022年の初めに価格が急騰した｣と彼は付け加えている。

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WatchChartsのデータを使用したモルガン・スタンレー（Morgan Stanley）の新たなレポートによると、腕時計の再販市場全体が落ち着きを取り戻しつつある現在、大手3ブランドは依然として新品時計の小売価格より、中古市場においてプレミアムな高価格を得ているという。

つまり、これらのトップ3のブランド（特にこれらのブランドが製造する上位モデル）の腕時計は小売店で見つけるのが非常に難しく、欲しい時計を手に入れるには中古市場に行ってプレミアム価格を支払うしかないということだ。

ニューヨークの店舗のショーウィンドウでロレックスの腕時計を眺める男性。

Spencer Platt/Getty Images

今回分析の対象となったロレックスの現行モデル123のうち89は、新品よりも中古品の方が価値が高い。

このレポートでは、現在製造・正規販売店を通じて販売されているロレックスのデイトジャスト（Datejust）、ヨットマスター（Yacht Master）などのさまざまなコレクションの中で、それぞれユニークなバリエーション（スチール製、ゴールド製など）について考察している。ロレックスで人気の高いデイトナとスカイドゥエラー（SkyDweller）のコレクションは2023年初めに刷新されてデータがないため、除外されている。

驚くべきことに、相対的に最も価値が上昇したロレックスのモデルは、ターコイズの文字盤の｢オイスターパーペチュアル36（Oyster Perpetual36）｣で、新品の小売価格は6100ドル（約86万円）だが、中古品は2倍以上の価格で取引されているという。

左側にリューズのある2022年発表のGMTマスターII（Ref. 126720VTNR）も、新品の小売価格1万1250ドル（約158万円）の2倍近い価格で取引されている。

平均すると、ロレックスの中古時計の価格は新品の小売価格より24％高く、これはパテック・フィリップの中古品よりも値上がり幅は小さく、オーデマ・ピゲの時計よりも高い。

とはいえ、これら2つのブランドのいずれも、現行品の腕時計のラインナップで中古品の方が新品よりも高値で取引される割合が高いという点ではロレックスに及ばない。現行モデルのうち再販価格が高くなるのはパテック・フィリップはわずか半分、オーデマ・ピゲは約70%だ。

｢ロレックスは、多様なモデルで、非常に望ましいものを実現している唯一のブランドだ｣とティアンは話している。

これに対し、スイスの他の主要ブランドのほとんどすべてのモデルは、小売店で販売される時点で少なくともいくらかの価値を失う。これは高級品であるか否かを問わず、ほとんどの消費財に起きていることだ。

これらの数字は、二次市場価格の下落を背景に、最も人気のあるモデルの価値が大幅に下落しているにもかかわらず、依然として需要が供給を大幅に上回っていることを示している。