简体中文
繁體中文
English
Pусский
日本語
ภาษาไทย
Tiếng Việt
Bahasa Indonesia
Español
हिन्दी
Filippiiniläinen
Français
Deutsch
Português
Türkçe
한국어
العربية
概要:米国人というものは一般的に何でもナンバーワンになって当然と思っている。だからこそ過去に1度しか前例のなかった米国の格下げは、国の威信と世界の金融システムを揺るがした。格付け会社フィッチ・レーティングスは1日、米国の長期外貨建て発行体デフォルト格付け (IDR)を最上級の「AAA」から「AA+」に1段階引き下げ。記憶から呼び起こされるのは、10数年前のS&Pグローバル・レーティングによる米格下げだ。いずれも拍車をかけたのは国の借り入れを巡る激しい対立だった。過去の例からは金融市場への打撃は短期で終わる可能性が高いが、格下げはさらなる政治的争いの種をまくことになりかねない。
フィッチとS&P、いずれも借り入れ巡る政治的対立が格下げ後押し
「ガバナンスの劣化」、繰り返す債務危機と瀬戸際決着-フィッチ
米国人というものは一般的に何でもナンバーワンになって当然と思っている。だからこそ過去に1度しか前例のなかった米国の格下げは、国の威信と世界の金融システムを揺るがした。格付け会社フィッチ・レーティングスは1日、米国の長期外貨建て発行体デフォルト格付け (IDR)を最上級の「AAA」から「AA+」に1段階引き下げ。記憶から呼び起こされるのは、10数年前のS&Pグローバル・レーティングによる米格下げだ。いずれも拍車をかけたのは国の借り入れを巡る激しい対立だった。過去の例からは金融市場への打撃は短期で終わる可能性が高いが、格下げはさらなる政治的争いの種をまくことになりかねない。
1.なぜフィッチは格下げしたのか
フィッチは格下げの発表文で「度重なる債務上限を巡る対立と瀬戸際での解決の繰り返しに体現されてきた、ガバナンスの劣化」を反映させたと説明した。背景には、米国が自ら策定した政策によって、数年おきにデフォルト(債務不履行)の危機に追い込まれていることがある。債務上限を法律で定めたのは1917年のことだ。これを引き上げるには、議会が法案を可決し大統領が署名する以外にない。デフォルトの危機は今年前半、借入総額が約31兆4000億ドル(約4500兆円)の上限に近づく中で、常に米国に影を落とし、政界は秒読みに入っていた。対立は5月下旬に決着したが、政治家らがリスクをあおる表現を控え、山積する債務を返済する責務を果たすのか、不透明感は再び高まった。
2.AA+は何を意味するのか
「AA+」の格付けは、フィッチが「最上級の質」と定義する「AAA」の一段階下に位置する。AA格付けは「デフォルトリスクが非常に低いと予想している」一方、AAA格付けについては「デフォルトリスクが最も低いと予想している」。金銭債務の履行能力においても、AAAは「極めて高い」場合にのみ付与される一方、AAは「非常に高い」ことを示すというのがフィッチの定義だ。ムーディーズ・インベスターズ・サービスとS&Pを含む世界の格付け会社「ビッグスリー」の中で、フィッチは最小プレーヤーとみなされている。
3.国債の格付け評価はどう行われるのか
格付け会社は政府などの発行主体が持つ財務力を評価し、債務を履行する能力に応じて信用格付けを付与する。投資家は債券を購入する際にこうした格付けに依存することが多く、投資家の評価は借り手が支払う資金調達金利の水準を左右する。とはいえ、米国の金利はなおもドルと米国債の需要によって抑えられている。ドルは世界の基軸通貨であり、米国債は世界で最も安全な資産と見なされている。イエレン米財務長官は格下げが「恣意的」であり「古いデータに基づく」として、「フィッチの決定に強く異議を唱える」と声明で反論。「フィッチの決定は投資家の認識を変えるものではない」と主張した。30年債利回りは格下げ前の時点ですでに、財政悪化を受けた国債の大量発行を控え、ほぼ9カ月ぶり高水準に急伸していた。米財務省は2日、四半期定例入札に関して、中長期債の発行規模を引き上げた。
4.格下げは市場に何を意味するのか
S&Pが米国の信用格付けを引き下げた2011年当時は、欧州が債務危機の最中にあり、不安の火の手が米経済に広がった格好となった。それでも長期的には打撃はほとんどなかった。投資資金は米資産に流れ込み、米国債利回りは年末までには低下。米経済に力強さがみられたことも一因だが、欧州連合(EU)が通貨同盟の維持に苦戦していたことも背景にあった。今回、金融市場の懸念は米経済にも向かっているが、焦点はインフレ沈静化を目指す連邦準備制度理事会(FRB)の積極利上げ政策に絞られる。そういう意味で米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定が米金利に及ぼす影響は、フィッチの格下げよりはるかに大きくなる可能性が高い。ムーディーズは今も米国に最上級格付けを付与しており、フィッチの格下げ後、その重要性が増している。
5.他の格付けには何を意味するのか
最上級格付けの国は減少傾向にある。ブルームバーグがまとめたデータによれば、今も格付け3社から最上級格付けを付与されているのは、オーストラリアとドイツ、シンガポール、スイス。フィッチはカナダにも「AA+」を付与している。世界2位の経済国、中国のフィッチ格付けは1位米国から3段階下の「A+」だ。ソブリン債格付けは、その国の企業格付けの上限とみなされ得るが、必ずしもそうとは限らない。格付け3社のいずれからAAA格付けを付与された企業は減りつつあるが、マイクロソフトやジョンソン・エンド・ジョンソンといった消費者になじみの深い企業が含まれる。
免責事項:
このコンテンツの見解は筆者個人的な見解を示すものに過ぎず、当社の投資アドバイスではありません。当サイトは、記事情報の正確性、完全性、適時性を保証するものではなく、情報の使用または関連コンテンツにより生じた、いかなる損失に対しても責任は負いません。