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概要:ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計会社アームに投資するリスクは、21日に公表された新規株式公開(IPO)申請書類を見ればすぐに分かる。しかし、人工知能(AI)を中心としたビジネスチャンスはアームの財務的な事実よりも希望に基づいており、600億ドル超の目標評価額を達成する可能性を弱めている。
[ロンドン 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計会社アームに投資するリスクは、21日に公表された新規株式公開(IPO)申請書類を見ればすぐに分かる。しかし、人工知能(AI)を中心としたビジネスチャンスはアームの財務的な事実よりも希望に基づいており、600億ドル超の目標評価額を達成する可能性を弱めている。
ソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計会社アームに投資するリスクは、8月21日に公表された新規株式公開(IPO)申請書類を見ればすぐに分かる。写真はSBGの孫正義最高経営責任者(CEO)。2016年7月、都内で撮影(2023年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
アームにとって楽観的な状況は、長期的なAIブームの中心に位置していることだ。同社の基本設計は半導体大手エヌビディアやハイテク大手アルファベットといった企業がスマートフォンやデータセンター、自動車など、あらゆるものに使用されるエネルギー効率の高い半導体を製造することを可能にする。そうしたエネルギー効率は、膨大な計算能力を必要とする巨大AIモデルの構築に企業が群がる中でますます有用性を増している。
アマゾン・ドット・コムのような大規模データセンター事業者がAI需要の急増に備え、アームの設計を自社の計画に組み込み始めていることがこの説を証明している。SBGにとっては、投資家候補がこうした希望を買うことが重要だ。SBGがアームの株式25%を最近取得する際に合意した評価額640億ドルに基づくと、同社の株価収益率は通期利益(3月終了)ベースで122倍になる。ビジブル・アルファのデータによると、AIブームの恩恵を受けるエヌビディアの過去1年間の利益に基づく株価収益率は137倍。
問題はアームのIPO申請書類からAIからの利益を示す証拠を見つけるのが難しい点だ。アームの売上高は依然として主力のスマートフォン事業が大半を占めており、これが最近の成長鈍化の一因となっている。要するに投資家はAIの恩恵があるとほぼうのみにするよう求められていることだ。これは過去にアームにとって不利に働いたことがある。SBGの孫正義社長は2016年に同社を買収した際、来るべき「モノのインターネット」革命について語ったが、そのビジョンは今のところ実現していない。
アームの売上高を予測するのも容易ではない。収入にはライセンスとロイヤルティーの2種類がある。前者は顧客が契約を締結したときに支払われるため、損益計算書に断続的に計上される。ライセンス収入は22年3月までの1年間に前年比60%増加したが、23年3月期には12%減少した。投資家は激しい変動よりも安定的な成長を好む傾向がある。
懸念材料はほかにもある。特に同社最大の顧客であるアーム・チャイナはアームの23年度売上高の24%を占めた。アーム・チャイナは過去にSBGと対立している。アームはアーム・チャイナに直接出資しておらず、5%の間接的所有権を持つに過ぎない。最後に、SBGはアームを厳しく管理するつもりだ。70%以上の株式を保有している限り、8人の取締役のうち7人を選任する権利がある。つまり、投資家は最低限のガバナンス権しか持たず、SBGの高すぎる目標評価額を拒否する理由がまた一つ増える。
●背景となるニュース
*アームは21日、米ナスダック市場での新規株式公開(IPO)を米証券取引委員会(SEC)に申請したと発表した。
*今年3月末までの通期の売上高は1%減の27億ドル。営業利益は6億7100万ドル、前年度は6億3300万ドル。利益は5%減の5億2400万ドル。
*直近の4─6月期売上高は2.5%減の6億7500万ドル。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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