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概要:2022年以降はVCが投資に慎重姿勢を見せていることから、スタートアップの間では「ブートストラップ」と呼ばれる手法が広まりつつあります。VCから出資を受ける場合と比べ、ブートストラップはファウンダーが会社をコントロールしやすく、迅速にピボットできるなどのメリットがあります。
ジョン・ノードマークは、ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達をした経験がないわけではない。ドットコムバブル期に立ち上げたeバッグズ(eBags)というスタートアップは、VCから3500万ドル(約50億円、1ドル=145円換算)を調達したのち、2017年にサムソナイト(Samsonite)に1億500万ドル(約152億円)で買収された。
だが、現在経営しているスタートアップ(ビジネス向けAIプラットフォーム「Iterate」を運営)に関しては、ノードマークは外部資金に頼ることには断固反対だ。Insiderの取材に対し、ノードマークはこう話す。
「VCの支援を受けると、投資家が取締役として会社の戦略に影響を及ぼすことになるわけですが、それだけにとどまらないと感じることもあります。投資家はファウンダーにあれをやれ、これをやるなと口出しします。僕の経験から言って、こういうのは企業の弱体化を招くんです」
最近ブートストラップ(投資家からの外部資金に頼らずにスタートアップを成長させること)を選択するファウンダーが増えているが、ノードマークもその一人だ。
自己資金調達といえば、かつては倒産の危機、あるいはVCから見向きもされないほど事業がおそまつというサインと見なされていたが、テック業界では現在、指数関数的なリターンに飢えるVCの圧力から逃れる方法として、自己資金調達に向けた動きが活発化しつつある。
手綱は自分で握っていたい
ブートストラップが注目される一因は、現在AI(人工知能)を除くほぼすべての業界でVCからの出資が細っているからだ。そのため、生き残りに必死になるスタートアップや、時には完全に廃業に追い込まれるケースもある。VCからの出資額は2021年に歴史的な額を記録したものの、2022年に冷え込み、2023年も低水準のままだ。結果、ランウェイが尽きかけたスタートアップには、他に選択の余地がほぼないのだ。
Insiderが取材した6人の起業家によれば、事業計画を最大限コントロールできるようにするため、出資の持ちかけを積極的に断るケースもあると言う。VCを取締役に据えないことで、ファウンダーが自社を素早くピボットさせ、プロダクトマーケットフィット(PMF)を実現しやすくなるというメリットもあった。これがタームシートから遠ざかる大きな理由でもあると、彼らは語る。
ノードマークは、週に複数の「グロースベンチャーファーム大手」と面談し、eバッグズ時代から縁のあるVC最大手(20年前に同社の資金調達ラウンドに複数出資してくれたベンチマーク〔Benchmark〕など)との関係を維持しているという。
もっとも、だからといって彼が考えを改めることはない。
「それは格別魅力的なものでも、最終的に求めているものでもありません。出資を受ければハードルがぐんと上がりますからね。プレッシャーは、外部から作為的にかけられるのではなく、自ら課すものであってほしいです」
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VCが休暇から戻るのを待たなくていい
ブートストラップは今に始まった現象ではない。これまでも数多くのアーリーステージのスタートアップが、シードラウンドやシリーズAラウンドで出資を募るよりも先に、資金をかき集めて会社を立ち上げ、経営してきた。
テック業界の巨頭であるメタ(Meta)、アップル(Apple)、オラクル(Oracle)もそうだし、メールチンプ(MailChimp)も、インテュイット(Intuit)に買収されるまでブートストラップを維持していたことはよく知られている。
VCからの出資を避けてきたファウンダーたちは、ブートストラップのおかげで、自分のペースで事業を進め、成長させることができると言う。
ブートストラップを実践する断酒支援スタートアップ、エッジ(Edge)の創業者ブルック・ルブランは次のように話す。
「ファウンダーになるのは、外部の許可を仰がずに影響力を持って事業を行うためです。VCが休暇から戻るのを待ったり景気が上向くのを待ったりしているようでは、市況に左右されずに前進するという職責をまっとうできません」
グループ・ワークショップと心理学に関する事業を手がけるスタートアップ、グループス(Groops)を立ち上げるために臨床心理士を引退したボビー・ウェグナー博士は、2023年初めに出資を受けることを考えていた。だがシリコンバレー銀行の破綻があったために中断し、結局、権威あるアクセラレータープログラム、テックスターズ・ボストン(Techstars Boston)のポジションを断ったという。
振り返ってみれば、外部からの出資を受けなかったことで、D2C(消費者直販)モデルから法人向けのビジネスモデルにグループスをピボットさせることができた。
「外部資本を入れないことで、本物志向や誠実さを保つことができたし、何が正しくて何が間違っているのか、外部の声に干渉されることなく目の前にあるものとつながり続けることができました。すごく気分がいいです」(ウェグナー)
これとは逆のパターンもある。早い段階でVCから資金提供を受けたファウンダーの中には、大企業に資金を頼る状況からの脱却を目指していると話す者もいる。
「うちの会社が最後に資金調達をしたのはシリーズDですが、それでおしまいです」と話すのは、クランチベース(Crunchbase)のイェーガー・マコーネルCEOだ。
「今後また資金調達をするつもりはありません。うちはビジネスの成功に必要な持続可能性は確保できていますから。VCに出資してもらわなくても成長は続けられます」(マコーネル)
VCは万人向けの存在ではない
もちろん、スタートアップのファウンダーの中には、タイミングが合えば今でもVCから多額の資金を受け者もいる。AIとリーガルテックを活用して、経営の傾いたスタートアップが適切な倒産手続きを踏めるよう支援するシンプルクロージャー(SimpleClosure)は、プレシードで150万ドル(約2億1800万円)を調達したばかりだ。
ファウンダー者のドリ・ヨナは以前Insiderの取材で、ブートストラップを予定していると語っていたが、迫り来るスタートアップの「大量絶滅」という事態に備えて迅速に規模を拡大できるよう、VCから持ちかけられて資金調達をするに至った。
とはいえ、熱狂的なまでに資金調達がさかんだった2021年が過ぎ去った今、VCは万人向けの存在でないだけでなく、実際には大多数の企業にとって適切でないことをスタートアップ界隈は再認識するに至った——そう話すのは、オールステージ(AllStage)創業者のジェイソン・バークだ。オールステージは、アーリーステージのスタートアップに対する投資と資金調達におけるコラボレーションを活発化させるという理念を掲げるスタートアップで、バーク自身もオールステージをブートストラップした。
「X社が何百万ドルを調達したという見出しが躍ったニュースばかり報じられますが、その裏には、そうしなかった会社が99社あるものです」(バーク)
ブートストラップもまた万人向けではないかもしれないが(この手法は、潤沢な自己資金を持つ、すでに実績を積んだファウンダーほど有利になりうるとバークは指摘する)、以前よりは実行可能な方法になっているという。
「今は物事を迅速かつ簡単にしてくれるツールセットやクラウドソフトがいろいろありますから、2003年に比べればソフトウェア会社を設立するコストは安く済みます。ブートストラップはもっと広まっていくでしょう」(バーク)
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