日本人の若者が海外に出稼ぎ、その理由は？

円安が進行する中で、日本人が海外に出稼ぎをするニュースが増えています。近年、日本は深刻な人手不足に直面していますが、多くの若者が海外で働くことを選ぶ傾向が強まっています。特に30歳以下の若者がワーキングホリデー制度を利用して、海外で働きお金を稼ぐケースが増えています。

ワーキングホリデー制度とは？

ワーキングホリデー制度は、日本と協定を結んだ国で、一定期間（通常1年間）滞在中に就学と就労が認められる制度です。専門スキルがなくても一定の就労が可能で、月給40万円から80万円を稼ぐことができるため、多くの若者にとって魅力的な選択肢となっています。

内務省によると、日本人向けのオーストラリアのワーキングホリデービザの発給数は、2022/23年度（6月期）に1万4,398件と、15/16年度に記録した1万2,304件を上回り、最高記録を更新しました。日本人への同ビザの発給数は、英国、台湾、カナダに次いで4番目に多くなっています。

若者が海外で働く理由

デフレスパイラルと所得格差

海外に向かう若者が増えている背景には、日本の賃金の問題があります。世界各国が経済成長に伴い賃金が上がっている一方で、日本は過去30年間で実質賃金の伸び率が0.1％とほとんど増えていません。

（厚生労働省）

日本経済は長期間にわたりデフレ状態が続き、物価が下がり続けるデフレスパイラルに陥っています。この状況は企業の収益を圧迫し、賃金の上昇が見込めない状態が続いています。加えて、所得格差も拡大しており、若者にとって安定した高収入の職を見つけるのが難しくなっています。

日本では学歴として修士や博士を持っていても、給与の上昇には繋がらないことが多く、これも若者の海外就職を促す一因となっています。

長時間労働とサービス残業

長時間労働とサービス残業（無給残業）が特徴的で、多くの若者が過酷な労働環境に不満を抱いています。これにより、精神的および身体的な健康に悪影響を及ぼすケースも少なくありません。海外ではより健全な労働環境が整備されていることが多く、ワークライフバランスを重視する若者にとって魅力的な選択肢となっています。

グローバルな視野と挑戦

若者の中には、グローバルな視野を広げるためや、新たな挑戦を求めて海外に出る者もいます。異なる文化や環境での生活や仕事は、自身のスキルアップやキャリアの発展に繋がると考えられています。特に国際的な経験を積むことで、将来的なキャリアパスにおいて大きなアドバンテージとなることが期待されています。

国外移住への関心の高まり

国外移住への関心の高まりはさまざまな兆候から見て取れ、日本のマスコミでも広く報道されています。海外転職支援を行う関係者は、日本経済新聞の取材に対し、2022年には海外求人情報の問い合わせが前年に比べて1.5倍に増えたと語っています。以前は40歳未満の有名大学出身者からの問い合わせが多かったのですが、現在では50代や60代からの応募も増えています。

まとめ

日本の経済が他国に比べて停滞している中、多くの若者が国内での将来に希望を持てず、海外での生活や仕事に魅力を感じているのです。

これから、人手不足問題や経済の停滞を乗り越えるためには、若者が希望を持ち、国内で活躍できる環境を整えることが不可欠です。経済成長を促進し、賃金の上昇を実現すること、労働環境を改善し、ワークライフバランスを重視すること、そして若者の意見や希望を尊重し、彼らが希望を持てる未来を描ける社会を作ることが求められています。

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