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概要:待ったなしで進む地球温暖化。二酸化炭素の排出量を削減するために欠かせないのが、再生可能エネルギーの有効利用。果たして、日本ではどの程度、再生可能エネルギーを導入できるのでしょうか?
出典:IRENA Reaching Zero with Renewables
そもそも、今世界では、どの程度の量の二酸化炭素が排出されているのでしょうか?
このグラフは、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表した、2010年から2050年までの間に想定される二酸化炭素の排出量の推移です(資料)。
IRENAでは、将来的に何も温暖化対策を実施しなかった場合に想定される二酸化炭素の排出量をベースに、産業や発電所などで現実的に二酸化炭素の排出量をどの程度削減できそうなのかを、いくつかのシナリオを元に推計しています。
2017年に全世界で排出された二酸化炭素の量は約369億トン。
何も対策を行わない場合、2050年には、年間465億トンの二酸化炭素が排出されることになると予想されています。
二酸化炭素を排出する原因はいくつかあります。
二酸化炭素の排出量とその原因。
出典:IRENA Reaching Zero with Renewables
物資の輸送や交通のために必要な燃料や、火力発電所の燃料を燃焼させる際に生じることもあれば、産業部門で燃料として消費されたり、製造プロセスで生じたりすることもあります。
IRENAの推計では、こういった人類が発生させているすべての二酸化炭素は、省エネの取り組みや再生可能エネルギーの導入によって、最終的に94%ほどを抑制できるとしています。
火力発電の代わりに太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを用いて削減することはもちろんのこと、電気自動車などをはじめとした動力源に電気を使った製品拡充し、再生可能エネルギーから得た電力で動かすことで、燃料となる化石燃料の消費を抑制する期待があるのです。
こういった背景から、再生エネルギーへの注目は、日本でも高まっています。
2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、「再生可能エネルギーの主力電源化」が定められました。
日本の電力の8割は火力発電
火力発電所の燃料や、ガソリン車・飛行機の燃料として化石燃料が消費されると、その分二酸化炭素が排出される。
Dmitry Kalinovsky/Shutterstock.com
では、日本では、どの程度再生可能エネルギーが使用されているのでしょうか?
日本で1年間に発電されている電力量(住宅に設置している太陽光発電などは含めない)は、2019年度の実績で約1兆2000億kWhでした(電力調査統計 結果概要【2019年度分】)。
このうち、再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電、水力発電ほか)で発電された割合は、15%程度。水力発電(揚水発電含む)を除いてしまうと、全体の5%程度に過ぎません。
個人の住宅の屋根に設置している太陽光パネルで発電し、そのまま消費されてしまった分がカウントされていないとはいえ、残念ながら現状の日本で「再生可能エネルギーが主力電源化している」とは言えません。
また、2011年の東日本大震災以降、原子力発電の稼働率が非常に低くなっていることも影響し、日本の発電電力量の約80%は火力発電(石炭、LNGが主な燃料)でまかなわれているのが現状です。
火力発電や原子力発電は、大規模な発電所によって大量の電気を安定的に供給できる点が非常に大きなメリットです。
その点、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを用いた発電は、一箇所一箇所の出力が少なく、太陽の日照時間や風の強さなどの自然環境に応じて出力が変動します。こういった特性から、再生可能エネルギーは不安定で、主力の電源として使いにくいのではないかという不安の声も依然として多く聞こえます。
デンマークの洋上風力発電。
REUTERS/Nikolaj Skydsgaard
しかしながら、世界を見渡してみると、ヨーロッパでは再生可能エネルギー先進国が数多く存在します。
40%近くを再生可能エネルギーでまかなうドイツ。風力を中心に太陽光やバイオマス発電で80%近くをカバーするデンマーク。山岳地帯という地形的特徴を活かし、ほぼ100%に近い電力を水力でまかなうノルウェーなど、日本とは比べ物になりません(国際エネルギー機関(IEA))。
再生可能エネルギーだから、主力の電源として使いにくいというわけではなさそうです。
では実際のところ、再生可能エネルギーを使った発電で、日本の発電電力量はどこまでカバーすることができるのでしょうか。
京都大学で再生可能エネルギーを導入する上での経済的な仕組みなどを研究している安田陽特任教授は、
「単純にエネルギーの資源量を考えれば、再生可能エネルギーを用いた発電で、日本全体の消費電力量をカバーすることは十分可能です。技術的にも、すでに実現できる水準に達しています」
と話します。
なんと、新しい技術の開発などがなくても、やりようによっては日本でも再生可能エネルギーを用いた発電だけで、国内全体で必要な電力量をまかなうことができるというのです。
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