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概要:日銀が1日発表した9月短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス18、非製造業がプラス2となった。市場予想ではともに悪化が見込まれていたものの5期連続で改善し、製造業DIは2018年12月以来の高水準となった。部品の供給制約で自動車のDIが低下する一方、製造業のそれ以外の業種では堅調なIT関連需要などを背景に軒並みDIが改善した。
[東京 1日 ロイター] - 日銀が1日発表した9月短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス18、非製造業がプラス2となった。市場予想ではともに悪化が見込まれていたものの5期連続で改善し、製造業DIは2018年12月以来の高水準となった。部品の供給制約で自動車のDIが低下する一方、製造業のそれ以外の業種では堅調なIT関連需要などを背景に軒並みDIが改善した。
10月1日、日銀が発表した9月短観によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス18、非製造業がプラス2となった。東京都で2020年5月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
先行きDIは、自動車減産の影響で製造業は足元より悪化の予想。非製造業は、緊急事態宣言解除後の経済活動活発化への期待から改善を見込んでいる。
<製造業、紙パは17年ぶり高水準>
大企業・製造業の業況判断DIはロイターがまとめた予測中央値(プラス13)を上回った。
「自動車」は前回のプラス3からマイナス7に低下して20年12月以来の低水準。一方、IT関連需要の伸びを受け、「紙・パルプ」、「化学」、「金属製品」、「生産用機械」、「電気機械」が改善。中でも「紙・パルプ」は製造業の業種別で改善幅が最も大きく、2004年9月以来の高水準となった。
「石油・石炭製品」や「鉄鋼」では原材料価格高騰の転嫁が進み、業況が改善した。
大企業・製造業の先行き判断DIはプラス14と、低下を見込む。自動車減産の影響が波及する見通し。
<非製造業、先行きは宣言解除に期待>
大企業・非製造業の業況判断DIは20年3月以来の高い水準。ロイターがまとめた予測中央値(ゼロ)を上回った。IT関連財の好調で「卸売」が改善、貨物輸送の活発化で「運輸・郵便」も改善した。一方、緊急事態宣言の延長で「対個人サービス」はマイナス45と前回のマイナス31から悪化した。
大企業・非製造業の先行き判断DIはプラス3と改善を見込む。ワクチン接種の進展や緊急事態宣言解除への期待感から、「不動産」、「小売」、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」で足元より改善を予想している。
<堅調な設備投資計画>
21年度の設備投資計画では、大企業・全産業が前年度比10.1%増と、ロイターがまとめた市場予想の9.1%増を上回った。9月調査としては2018年以来の高い水準。前年の水準が低かった反動という側面があるものの、この要因を踏まえても「比較的しっかりとした動きになっている」(日銀の担当者)という。
企業金融では資金繰り判断DIが大企業、中小企業で改善。中堅企業では1ポイント悪化したがプラス13と「楽である」との回答が「苦しい」との回答を上回っている。金融機関の貸出態度は大企業、中堅企業、中小企業とも「緩い」が「厳しい」を上回る状況が継続。
事業計画の前提になっている21年度の想定為替レート(全規模・全産業)は、ドル/円が107.64円、ユーロ/円が126.50円だった。ドル/円は6月調査の106.71円、ユーロ/円も125.27円に比べて円安方向に振れた。
企業の物価全般の見通し(全規模・全産業)は、1年後が前年比プラス0.7%(前回はプラス0.6%)、3年後はプラス1.0%(同プラス0.9%)、5年後はプラス1.1%(同1.1%)だった。
今回の短観の調査期間は8月26日から9月30日。回答基準日は9月10日で、回答基準日までで7割台半ばが回答した。
(和田崇彦 編集:田中志保)
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