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概要:世界屈指のコンサルティング企業マッキンゼーは、2019年から採用選考に「問題解決ゲーム」を取り入れています。Insiderの記者がこのゲームに挑戦。気になるその内容は?
これがマッキンゼーの問題解決ゲームだ。
(出所)マッキンゼー
マッキンゼーは2019年1月から、オンラインの問題解決ゲームを採用プロセスに取り入れている。
マッキンゼーの人材分析・管理担当のグローバル・ディレクター、キース・マクナルティ(Keith McNulty)は、このゲームによってさまざまな経歴の人材が入社してくれるようになることを期待している、と話す。
従来マッキンゼーでは、履歴書、出身校、時には数学の標準テストをもとに応募者の評価を行ってきた。しかし現在では、紙の上での経歴以外の要素ももっと考慮して応募者を評価しようと考えているという。
「対面で会う前に応募者についてある程度理解したい、その方がより多様な人材を呼び込めることになるだろう、と考えました」とマクナルティは言う。「このゲームは当社の業務の複雑性を反映したものになっています。また、先進的なアプローチをとりたいという思いもありました」
マッキンゼーの選考の厳しさは有名だ(応募者のうち内定が出るのは1%)。採用されればかなり高額の報酬が手に入る。MBA修了者だと基本給は16万5000ドル、それ以外にも契約時のボーナスが3万ドル、初年度の業績賞与が3万5000ドルと推測されている。
マクナルティの部署がソフトウェア企業Imbellusと組み、この問題解決力評価システムを設計したのは2016年のことだ。採用担当者たちが2019年1月からこのゲームを活用し始めて時間が経過しているが、マッキンゼーはこのゲームが多様な人材の採用にどの程度効果があったかを評価するには時期尚早だとして、同社のダイバーシティに関するデータ提供には応じていない。
より多様な人材を採用する狙いでゲームやテクノロジーを活用する動きは、今回のマッキンゼーが初めてではない。例えばユニリーバは、エントリーレベルの採用にAIと神経科学に基づくゲームを活用している。これをきっかけに非白人応募者の採用が「著しく」増加し、出身大学も840校から2600校になったとユニリーバは話す。
筆者は今回、マッキンゼーの問題解決ゲームに挑戦する機会を得た。実際にプレイしてみてわかったことを以降で詳しく紹介しよう。
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面接前にゲームを1時間プレイ
プレイヤーのミッションは、さまざまな海の生き物が棲む持続可能な生息環境をつくることだ。
(出所)マッキンゼー
最初に、「あなたはある島の管理者です。この島では、生態系や野生動物が脅威にさらされています」というメッセージが出てくる。このゲームでは、島や生き物をどのように保護するかという決断を常に迫られる。
制限時間は1時間。応募者自身のコンピュータでプレイすることも可能だ。応募した後、面接選考に進む前にこのデジタル選考を受けることになる。
「このゲームの目的は、誰に次の対面面接に進んでもらうか、よりバランスの取れた意思決定を行うことです」とマクナルティは言う。
実際、分析チームのマクナルティやコンサルタントたちが応募者のプレイ結果を解釈し、データポイントを生成し、採用担当らが理解できる形にデータを変換しているという。
「プレイ結果の背後にある意味を私たちが翻訳し、応募者のそれ以外の情報と並べて、『100人面接できるとしたら、一番うまくいく可能性が高いのはどの人だろう?』と考えるのです」
サンゴや魚が棲みやすい環境をつくる
用意されているシナリオのうち3つは、外来種にどう対処するかを試されるものだった。
(出所)マッキンゼー
このゲームは4つの課題で構成されている。その中には、プレイヤーが新しい生態系を築き、土地の一部を脅かす外来種に対処するというものもあった。
また、多種多様な生き物が棲みやすい環境をつくるというシナリオもあった。共存しやすいサンゴ、魚、菌類について書かれた詳細なリストをじっくり読んだ後、筆者はそれぞれの生き物に最適な水温、水深、場所を考慮しなくてはならなかった。
ナンヨウハギ、ミドリイシサンゴ、オサガメなどの生き物を、3つの水温と水深レンジに合わせてグループ分けした。共存できる可能性を判断するため、そのカテゴリーに27種の生き物を当てはめていった。
次に、生き物の数を絞るために選択する水温と水深のレンジを1つだけにした。このゲームで一番難しいのは、捕食者と被食者それぞれのバランスをうまく取ることだ。
コンサルタントは、背景情報があまりない状況でもスピーディーに適応し、クライアントの課題を把握することが求められる。このゲームはその状況を模したものだ、とマクナルティは説明する。
「このゲームでは、そういうありのままの環境をモデリングしているのです。多くの情報の中から重要な情報を取捨選択しなければいけない。それはコンサルタントの仕事の現場で実際に求められる思考です」
筆者はあるシナリオで、外来種の侵入から植物を守るというミッションを課せられた。侵入者がいつどういう方法で攻撃してくるか検討がつかなかったため、大きなプレッシャーがかかり、限られた情報をもとに自分で判断するしかなかった。おまけに持ち時間も少なく、リソースも限られていた。
「コンサルタントの仕事に変化はつきものです。先を見越して、次に何が来るか予想し、状況が変わった結果どうなるのかに基づいて計画する。そういったことも我々コンサルタントの仕事です」とマクナルティは語る。
応募者はスコアを教えてもらうことはできないが、マッキンゼーのコンサルタントが結果を説明してくれる。ちなみに筆者の場合は、プレイ中にモニターされることもなく、結果も教えてもらえなかった。
決め手は情報整理力とクリティカル・シンキング
これは島の管理人になるロールプレイングゲームだ。
(出所)マッキンゼー
テストを受けるにあたって筆者が有用と感じたスキルは、次の4つだ。
意思決定力:4つのシナリオすべてで、制約のある環境下でも可能な限り最善の意思決定をすることが求められた。最初は完璧な結果を出すことばかり考えてしまっていたので、結果として時間やリソースをかなり無駄にしてしまった。
創造性:課題へのアプローチや解決に唯一の正解はない。実際、どのシナリオでも様々な解決方法があった。
適応力:このテストを受けていて一番よくないのはパニックに陥ることだ。いずれのシナリオもあまりに複雑なので圧倒されそうになる。
情報整理力:海の生態系をつくる場面などでは特に、紙とペンで図を描くことでシナリオを理解しやすくなった。
事前に資料を読んでおくと時間の節約に
マッキンゼーのデジタルテストはどのコンピュータでも受けられる。
(出所)マッキンゼー
小さなことだが、テスト対策として応募者ができることがいくつかある。
このゲームは応募者が想定していたものと違う可能性が高いため、プレイするにあたっては頭を柔らかくして臨むことを勧める、とマクナルティは言う。また、自分が一番集中できて高い生産性を保てる環境で受けるべき、とも。
「周囲が落ち着かずすぐに気が散ってしまうような場所は避けた方がいいでしょう。ただのゲームとはいえ、集中できることも大変重要です」
応募者がやってしまいがちなミスの最たるものは、事前にマッキンゼーが送ってくる準備書類を読まずにプレイしてしまうこと。読まないと選考通過できないというわけではないが、それで10~15分くらいとられてしまいかねない。
マクナルティは言う。「これまで見つけにくかった場所で人材を見つけること。そこに風穴を開けて多様な人材に平等なチャンスを提供することが、私たちの狙いです」
※この記事は2020年7月17日初出です。
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