マイクロソフトのアクティビジョン買収、残るハードル英当局のみ

米マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザード買収計画を阻止するため米連邦取引委員会（ＦＴＣ）が求めていた暫定的な差し止め命令について、サンフランシスコ連邦高裁は14日、ＦＴＣの請求を退ける判断を下した。米ゲーム業界で過去最大規模の買収の実現に向け前進した。

買収手続き完了の期限は18日。同高裁の判断を受け、残るハードルは英規制当局のみとなった。

マイクロソフトのブラッド・スミス社長は「世界的な規制レビューのマラソンのゴールラインにさらに一歩近づいた」とコメントした。アクティビジョンの担当者にコメントを求めたが、現時点で返答はない。

アクティビジョンの株価は時間外取引で一時4.4％上昇し94ドルを付けた。通常取引終値は90.07ドルだった。マイクロソフト株は1.5％高。

カーン委員長率いるＦＴＣは、マイクロソフトに買収されればアクティビジョンの人気ゲームが競合他社のゲーム機やサービスに提供されなくなる恐れがあるとして提訴した。米裁判所による買収の一時差し止め命令は米太平洋時間深夜に失効する。

マイクロソフトによるアクティビジョン買収を巡る訴訟に関連し、ゲーム機などの資料を運ぶ法務担当者（６月23日）

Photographer: Loren Elliott/Bloomberg

マイクロソフトがアクティビジョンへの30億ドル（約4160億円）の違約金支払いを回避するには18日の期限までに取引を完了する必要がある。

ＦＴＣは高裁の判断についてコメントを控えた。

英競争・市場庁（ＣＭＡ）は４月、クラウドのゲーム市場に与える影響に対する懸念を挙げ、買収を認めないと発表。しかしその後、マイクロソフトに是正案を提出する機会を与えることに同意した。ブルームバーグは今週、マイクロソフトが当局を納得させるため、英クラウドゲーム事業の経営権の一部を手放すことを検討していると、事情に詳しい複数の関係者を引用して伝えた。

両社がＣＭＡによる差し止めの解除を求めている請求について、英裁判所は17日に審理する予定。