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概要:最近の人工知能(AI)ブームは2000年代初めにソーシャルメディアが誕生した時以来の熱狂的なもので、投資家は生成AIに多額の資金を注ぎ込み、サンフランシスコにおける新たな起業を後押ししている。
[サンフランシスコ 13日 ロイター] - 最近の人工知能(AI)ブームは2000年代初めにソーシャルメディアが誕生した時以来の熱狂的なもので、投資家は生成AIに多額の資金を注ぎ込み、サンフランシスコにおける新たな起業を後押ししている。
7月13日、 最近の人工知能(AI)ブームは2000年代初めにソーシャルメディアが誕生した時以来の熱狂的なもので、投資家は生成AIに多額の資金を注ぎ込み、サンフランシスコにおける新たな起業を後押ししている。
そこでこの黎明期にあるAIセクターが、新型コロナウイルスのパンデミック後に衰退が進むサンフランシスコ市中心部の再生に貢献してくれるのではないか、との期待も生まれた。
だが急成長を続けるAI事業は、市の経済や商業不動産にとって「特効薬」にはならないかもしれない。ロイターが取材した十数人の業界専門家はこうした見方を示した。
AI関連企業はスリムな人員規模を維持して業務を自動化することにこそ強みがある以上、いくら生成AIが盛り上がっても雇用を大きく創出してくれないからだ。
シリコンバレーの投資家、ジェレミア・オーヤン氏は「サンフランシスコの商業不動産がAIのおかげで持ち直すという楽観的な予想は控えるべきだと思う」と語り、AIスタートアップ企業は仕事を人間に任せる前にAIに割り振ると指摘する。
サンフランシスコのブリード市長の事務所がベンチャーキャピタル企業のデータを使って分析したところでは、米国の最有力AI関連企業20社のうち11社が同市にあり、2008―23年に合計で157億ドルを調達した半面、市内の雇用数は3400人に過ぎなかった。
これはサンフランシスコ中心部がパンデミック中に失った推定15万人の日勤労働者のたった2.3%だ。同市ではコロナ禍に見舞われる前まで、総生産の75%近くをオフィス勤務の労働者が生み出していた。
サンフランシスコに拠点を置くインデックス・ベンチャーズのパートナー、エリン・プライス・ライト氏は「これらの(AI)企業は、エアビーアンドビーないしドロップボックスのように何千人もの従業員を採用せず、カフェテリアも持とうとしないのはほぼ間違いない」と述べた。エアビーアンドビーとドロップボックスはいずれもサンフランシスコに本社があり、合計でおよそ1万人が働いている。
対照的にマイクロソフトが出資し、爆発的に普及した対話型AI「チャットGPT」を開発したオープンAIの場合、過去8年で110億ドル余りを調達しながら、従業員数は500人程度にとどまる。サンフランシスコのミッション地区に本社を構える同社は、問題解決にはAIを駆使するのが流儀だ。
例えば顧客からのサポート要請への対応として、オープンAIは自社AIに従業員がより効率的に対応するのを手助けする方法を学習させる道を選んだ、と従業員の1人が明かした。
個人個人のニーズに合った買い物をオンラインで提案しているオクテインAIのマット・シュリクト最高経営責任者(CEO)は「われわれはAIが本物の従業員として機能する段階に到達しつつある。あなたたちが生きている間に、1人で立ち上げた企業の価値が10億ドルになる光景を目にするだろう」と予言した。
<誰が果実を手にするか>
サンフランシスコは麻薬やホームレス、住宅価格高騰といった社会問題に悪戦苦闘しつつも、ブリード市長が最近名付けた「AIの世界的な首都」として認められるという評価を得ている。
その一例として、ドバイに拠点を置く起業家マイク・グラボフスキ氏はロイターに対し、自身が見た投資家オーヤン氏による6月のツイートの内容を教えてくれた。それによるとサンフランシスコでは、2週間のうちに44件、1日当たり約3件のAI関連イベントが開催されたという。
サンフランシスコのこうした熱気は、パンデミックからさかのぼること10年前にアルファベット傘下のグーグルなどがオフィスを開設し、幾つものスタートアップ企業が市経済においてより重要な部分を担うようになった景色を彷彿させる。
そして同市は、ツイッターに適用したようなテック企業の本社を呼び込むための8年間の給与税支払い減免措置を通じて、ハイテク産業の一大拠点になった。
ところが最近は中心部の空洞化を物語るニュースが次々に出てきている。
不動産会社CBREによると市内のオフィスビルの空室率は30%超に達しているほか、ベンチャーキャピタル企業はより落ち着いた地域を選び、多くのハイテク企業は人員削減も進めている。市政府のデータでは、サンフランシスコ中心部を走る高速鉄道「BART」の輸送客数は依然としてパンデミック前の3分の1にとどまる。
麻薬のまん延とホームレス増加で、観光客や出張者は中心部に行くのを敬遠し、一部のホテルは資金繰りが危機的状況になっている。百貨店ノードストロームを含む複数の小売り事業者は、低調な客足を嫌って中心部の店舗閉鎖に踏み切った。
専門家の中からは、従来のハイテクブームとは違う形になるとしても、いつかはAIが市経済を押し上げてくれると期待する声が聞かれる。ルートVCの投資家リー・エドワーズ氏は、以前は幾つかの大手IT企業が数千人規模で雇用する構図だったが、AIが企業経営のハードルを下げてくれるので、今後はより多くの小規模企業が生まれて数十人単位で採用され、やはり全体の雇用は増加するとみている。
ただAIの果実は結局少数者の手に帰し、既に市内で広がっている格差を一層拡大するだけだとの見方もある。
マサチューセッツ工科大でテクノロジーが格差に及ぼす影響を研究しているダロン・アセモグル氏は「生成AIは、これまでのデジタル技術よりも集中度が高く、一握りの企業が先頭に立つことになる。経営部門トップや比較的上位層のエンジニア、プログラマー、管理職らが多くのメリットを享受する」と述べた。
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