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概要:2023年第2四半期、パブリッシャー各社の収益源はデジタル広告やeコマース事業よりもデジタルサブスクリプション事業へと移っています。2023年下半期はどうなるのか、パブリッシャーの第2四半期収支報告に見られる傾向と、そこから予測される2023年下半期の動きをまとめました。
収支報告が一段落し、2023年第2四半期の結果を見ると、パブリッシャー各社ではデジタル広告やeコマース事業よりもデジタルサブスクリプション事業が稼ぎ頭になっていた。従って、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times Company)やガネット(Gannett)、ニューズ・コーポレーション(News Corp)の経営トップも、収支報告ではこぞって、第2四半期では有料購読者のユーザー1人あたり平均売上額(ARPU)が増加したことを一番の話題として取り上げた。
ガネットのCEOマイク・リード氏は2023年8月3日の同社収支報告で、「第2四半期には、この2年で最高レベルのAPRUを記録した」と話した。さらに、「2023年下半期ではデジタルに限定したサブスクリプション事業全体の収益もARPUも、引き続き上昇傾向を維持させたい」と述べていた。
しかし、このかすかに明るい兆し以外は、大半のパブリッシャーが「デジタル広告は苦戦が続いている」と報告している。BuzzFeedはeコマース事業の収益も公開している唯一のパブリッシャーだが、同社も第2四半期の収益は減少傾向だったと発表した。
とはいえ、潮目は2023年下半期に変わるだろうという楽観的観測は、どの収支報告でも同じように聞かれ、パブリッシャーのトップは2023年末までに収益前年比増を実現すると述べている。それでは、パブリッシャーの第2四半期収支報告における主な傾向と、そこから予測される2023年下半期の動きについて見ていこう。
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数字で見るパブリッシャーの第2四半期
バズフィードの第2四半期総収益は7790万ドル(約113億円)、前年比27%減
ニューズ・コーポレーションの子会社ダウ・ジョーンズの最新四半期の総収益は前年比3.3%減で、5億4600万円(約792億円)に減少
ドットダッシュ・メレディスのデジタル収益は2億1200万ドル(約307億円)で、前年比10%減。一方、紙媒体の収益は前年比21%減で2億700万ドル(約300億円)
ガネットの2023年第2四半期総収益は6億7240万ドル(約975億円)、前年比10.2%減
アリーナ・グループの第2四半期総収益は前年比9%増、5880万ドル(約85億3000万円)
ニューヨーク・タイムズは最新四半期が総収益5億9090万ドル(約857億円)、前年比6.3%増
ARPUはデジタルサブスクリプションを測定する新しい人気メトリック
ニューヨーク・タイムズやガネット、ニューズ・コーポレーションは3社とも、第2四半期でデジタルサブスクリプションが成功を見せており、特にニューヨーク・タイムズとガネットは、ARPUの数値改善を強調している。このような成長を見せたのは、積極的な価格設定やバンドルモデルの構築、新規購読者獲得時のコスト削減に取り組みながら、有料読者の定着率改善策を講じたからだ。
ガネットのデジタル限定購読者総数は2023年第1四半期末の202万人から2023年第2四半期末には195万人に3.5%減少したが、ARPUは同期間に7.6%増加し、第1四半期の購読者1人あたり5ドル90セント(約860円)から第2四半期の6ドル35セント(約920円)に伸びている。さらに同時期にはデジタル限定サブスクリプション総収益も6%近く増加しており、同社CFOダグ・ホーン氏は収支報告で、これは「短期的な収益増加よりも長期的な収益化を優先するために熟考を重ねた行動の結果である」と指摘した。
ニューヨーク・タイムズでは、購読者1人あたりの平均収益が第2四半期に9ドル15セント(約1330円)に達し、前年比3.6%増、前四半期比1.2%増を見せており、エグゼクティブバイスプレジデント兼CFOのウィリアム・バーディーン氏は、この傾向は「単独製品の長期購読者における価格上昇に起因するものだ」と話した。さらに、第2四半期には、100万人を超える購読者が、単独製品でこれまでよりも高い料金を支払い始めたという。
同社は、2023年末までには少なくとも150万人の単独製品購読者に対して価格上昇を通知する計画で、たとえバンドル製品にアップセルできないとしても、購読者数が減ることはないだろうと考えている。
バンドル製品に関しては(購読者のアップセル・定着に向けて、ニューヨーク・タイムズではクッキング[Cooking]やアスレティック[The Athletic]のような特定分野のパブリケーションのコンテンツを提供する戦略を実施)、2023年第2四半期に購読者が28万人増加した結果、すでに300万を超える購読者が正式に登録しているという。この数字は、2022年第2四半期に追加されたバンドル購読者数の2倍に迫る勢いだ。
デジタルサブスクリプションの成長
会計年度が7月1日から翌年6月30日のニューズ・コーポレーションでは、新聞発行事業とサブスクリプション事業が2022年度第4四半期の4億3400万ドル(約629億円)から2023年度第4四半期の4億3200万ドル(約626億円)と200万ドル(約3億円)の減少を計上している。これは2022年度の期間が1週間分長いためであり、同社の収支報告によれば、その1週間の利益を外せば、前年比1%増になるという。
ニューズ・コーポレーションの2023年度損失は、その一部がデジタル限定サブスクリプションの成長で相殺されている。特にウォールストリート・ジャーナル(以下WSJ)は前年比10%増、前四半期比3%増で、第4四半期にはデジタル限定サブスクリプションが340万件となり、収支報告によれば、WSJのサブスクリプション総数の86%を占めるという。一方、ダウ・ジョーンズの消費者向け製品のデジタル限定サブスクリプション事業は450万件に達し、前年比12%増、前四半期比4.6%増となった。
ニューズ・コーポレーションCEOのロバート・トムソン氏は、「デジタルサブスクリプションの成長が見られるようになったのは2023年1月から6月の半年だ」と説明した。同社では、読者がビジネス専門媒体の顧客として落ち着く前に、バンドル販売を利用して、マーケットウォッチ(MarketWatch)からWSJ、バロンズ(Barron‘s)やインベスターズ・ビジネス・デイリー(Investor’s Business Daily)へと読者の「道筋」をつけてきたが、今回の成長はこうした企業努力の賜物でもあるという。
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第2四半期のデジタル広告収益で、標準よりも大きく数字を伸ばしたアウトライヤーは、アリーナ・グループとニューヨーク・タイムズである。ニューヨーク・タイムズのデジタル広告収益は、予測を上回る前年比6.5%増の7380万ドル(約107億円)で、アリーナ・グループは、デジタル広告収益が前年比19%増の総額2930万ドル(約42億円)に達している。
アリーナ・グループの収支報告によると、同社がアウトライヤーになれたのは、同社のプログラマティックCPMが業界基準を41%も超える結果を出したからだとし、オペラティブ(Operative)のSTAQベンチマーキングデータ(STAQ Benchmarking Data)の数字を引き合いに出した。
一方のニューヨーク・タイムズの場合、今回の成長の主な要因は、同社のファーストパーティデータ製品が同社のニュースサイトとアトランティックの両方で使用されたことにある。これが、長らく同社の弱点であるポッドキャスト広告の相殺に役立った。
明暗が分かれる
ほかのパブリッシャーの結果は、この2社とはまったく違う。
ガネットのデジタル広告・マーケティング事業の第2四半期総収益は前年比11.4%減で、2億400万ドル(約296億円)。また、BuzzFeedも広告収益が大幅に減少し、前年比33%減の3540万ドル(約51億円)に沈み、ブランドコンテンツ事業も前年比22%減で3150万ドル(約46億円)だった。
BuzzFeedでプレジデントを務めるマルセラ・マーティン氏によれば、この結果をもたらした犯人は、マクロ経済下の広告に対する逆風であり、オーディエンスの時間と広告予算の取り合いで、し烈な戦いが繰り広げられてきたという。さらに、CPG(消費者向けパッケージ商品)やエンターテインメント、金融サービスの各広告分野が第2四半期で軟調な動きを見せたことも要因に挙げた。
その一方、Google Pixelスマートフォン絡みでGoogleと取引ができたおかげで、テクノロジー分野は、具体的な数字が明らかにされていないものの「前年比で増加している」とマーティン氏は説明した。第3四半期も引き続き厳しい状況が予測されるが、業績は前四半期と同等になるだろうと同氏は説明している。
ダウ・ジョーンズの広告収益は、今年度第4四半期に1億ドル(約145億円)と14%減少し、収支報告によると、紙面広告・デジタル広告ともにそれぞれ18%と10%の減少を見せている。なお、2022年が1週間多かったために、赤字が900万ドル(約13億円)計上されたという(前年比との差は約8%)。しかし、テクノロジー分野の広告費が好調でないことも、今回の急落の原因に挙げられると指摘した。なお、デジタル広告は広告総収益の60%を占め、1年前の58%から増加している。
ドットダッシュ・メレディスのデジタル収益は前年比10%減で、収支報告では、これはプレミアム販売の広告で減少が見られたこと、さらには、エンターテインメント分野および金融分野のトラフィック低下で、プログラマティック広告収益に減少が見られたことにも原因があると説明している。
投資すれば見返りがあるeコマース
ドットダッシュ・メレディスはeコマースの収益を特段公開していないものの、第2四半期の収支報告で「アフィリエイトコマース収益が堅調だ」と発表している。
ニューヨーク・タイムズのバーディーン氏も、「そのほかの収益のカテゴリーで標準を上回り、前年比16%増の6400万ドル(約93億円)に達した」と話している。特にワイヤーカッター(Wirecutter)が予想を超える結果でアフィリエイト収益を伸ばし、この成長に貢献したという。
一方、BuzzFeedはeコマースなどの収益が前年比17%減の1100万ドル(約16億ドル)だったが、マーティン氏は「これは傘下のコンプレックス(Complex)がメタバースショッピングイベントComplexland(コンプレックスランド)を今年開催しなかったことによる」と話している。
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